渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第40回 長野編その11)

 帰りに松本駅前の土産物屋に寄ってみようかと考えたが、さすがに夜9時を過ぎているのでシャッターが下りていた。ホテルの前でバスがハザードランプを点滅させている。それを見て、自分のうっかりに気が付いた。  今朝、部屋に置いて […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第39回 長野編その10)

 —— 長野市と松本市って、仲が悪いんですか?  唐突な、しかも無礼とも言える問い掛けに、彼女は笑顔を崩さなかった。それは私が客だからなのかもしれない。  しかし土産屋の主人があらわにした長野市への対抗意識に触れたら、や […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第38回 長野編その9)

 来た時とは別の道を使って駅前のホテルへ戻ることにした。イオンモール松本を出てすぐに、蔵の立ち並ぶ商店街が現れる。「中町通り」といって、江戸時代から商家の集まっていた所らしい。  かつては善光寺への参詣者が通ったそうだ。 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第37回 長野編その8 )

 あの落胆は、2年ほど前だったろうか。  たまに買い物に行っていた山形市の食品スーパーが、しばしの休業期間を挟んでリニューアルオープンを迎えた。以前の外観はいかにもローカルスーパー然とした、親しみやすさとお得感を演出した […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第36回 長野編その7 )

 車は水を弾く音を立てながら走っているが、私の肩口をぬらすものはない。相変わらず重たい空の様子から察するに、雨はいったん休憩といったところだろうか。  ——ご当地グルメも、松本文化も。  駅前の屋上看板を見上げつつ、その […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第35回 長野編その6 )

 朝、目が覚めた瞬間から、耳に入ってくる音の種類が変わっていた。換気扇に比べてやや高い、継続的なノイズが部屋を包んでいる。カーテンを開けると、窓の下では色とりどりの傘がさまざまな方向へ動いていた。  出発までにやむだろう […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第34回 長野編その5 )

   長野の地酒と土産用のそばを紙袋に入れてもらった。店の主人はだいぶ目が弱っているのか、瞳がすっかり隠れるくらいにまぶたをすぼめながら釣り銭を数える。私は財布を胸の辺りに抱えて待ちながら、それとなく先ほどの話の続きを促 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第33回 長野編その4 )

 シャワーで汗を流した後、スマートフォンで長野の食の名物について調べてみる。混む時間を避けて、早めに街で晩酌をしようという魂胆だ。 「馬刺し」「山賊焼き」「信州サーモン」。この三つに興味を引かれた。しばらく情報の密林をさ […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第32回 長野編その3)

 辺りに目をやると、妙に色彩が鈍く見えた。どうやら松本パルコが閉じているからだけではない。まだ午後2時前だというのに、近接する飲食店にほとんど明かりがついていないのだ。  定休日の店が多いのかと思ったが、よく見るとそうで […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第31回 長野編その2)

 それが当然なのだろう。閉店から2カ月を経た井上百貨店は、にぎわいの余韻すらまとわずに、巨大な置物と化していた。  思い出を持つ松本市民ならば、閉じたシャッターにも温かい回想を映すことができるに違いない。だが初めて訪れた […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第30 回 長野編その1 )

 デパートにとってこんなにも残酷な街を、私は初めて見た。  以前に岐阜市柳ケ瀬を訪ねた時も、名古屋へ電車で30分足らずで行けてしまうという環境に驚いた。だが今回の目的地である長野県松本市の場合は、駅から歩いて15分ほどで […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第29回 富山編その11 )

 大和富山店は、昭和7年から富山の街にそびえていた。  場所は現在店を構える総曲輪(そうがわ)よりやや東の西町交差点だ。なので当然、空から襲い掛かってくる焼夷弾を見たわけだが、幸い大和は戦禍を免れたという。瓦礫と化した街 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第28回 富山編その10 )

 夜は桜木町へ足を運んでみた。富山県最大の歓楽街と呼ばれる場所だ。  雑居ビルに取り付けられたクラブやスナックの看板が、それぞれの明かりで誘惑の色彩を作っている。それらを眺めながら歩いていると、野太い声が私に投げ掛けられ […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第27回 富山編その9 )

 もつ煮込みうどんですっかり温まった体のまま、帰りの路面電車に乗り込んだ。ソウルフードを食べたからか、土産はどんなものがあるのだろうと興味が湧き、行き先を富山駅に決めた。  路面電車の乗降場は、駅に直結している。ちょうど […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第26回 富山編その8 )

 「富山市のソウルフード」というキーワードを使い、インターネットで検索をすると、まず挙がってくるのは「白エビ」や「ホタルイカ」だ。これはソウルフードというよりも、富山県の名産品だろう。少しずつキーワードを変えてみる。それ […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第25回 富山編その7 )

  心の距離を態度として素直に表す。  これを富山の「県民性」または「市民性」として大半の人に当てはめるのは乱暴だろう。だが私がこの街を歩き始めて触れた人々には、そう受け取れる振る舞いが見られたし、だから初めこそ萎縮もし […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第24 回 富山編その6 )

 富山で見つけたら飲んでおけ・買っておけという地酒があるらしい。「勝駒」という銘柄だ。小さな酒蔵が丁寧に造っているものだそうで、そのため、味の良さはもちろんのことながら、なかなかお目に掛かれない希少品だという。  純米酒 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第23 回 富山編その5 )

 私が杯を傾けるごとに、店は慌ただしさを増してゆく。客席から聞こえてくるのは日常会話を少しにぎやかにしたようなもので、やはりここは地元の人々が集まる場所なのだろう。  とはいえ大和富山店についての話は漏れてこない。考えて […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第22 回 富山編その4 )

何とも身の縮む晩酌の始まりだ。生ビールが手元に届いてからしばらく、私は料理の注文をできずにいた。  割烹着姿の女性はジョッキを持ってきてくれた時もそっけなく、調理場の板前たちも相変わらず難しい表情で包丁や鍋を扱っていて、 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第21回 富山編その3)

 富山を訪ねたのはこれが初めてだが、実は長らく思いを馳せていた地だった。  私はおよそ20年前の秋、20代半ばで父を亡くしている。父は55歳だった。突然のことだったので心の準備も何もなく、家族はしばらく深い失意に暮れてい […]

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