渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第49回 大田原編第2回)
東武大田原店が最後のシャッターを下ろした夜から、少しだけ時間をさかのぼる。 私が大田原店の最寄駅「西那須野」に着いたのは、その日、8月31日の午前10時半だった。これまでと今回とでは、大きく違う条件がある。東武大田原店 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第48回 大田原編第1回)
辺りが薄暗くなってゆく午後6時半、ファサードに飾られた「TOBU」のロゴが、その輝きを強くしていった。 東武宇都宮百貨店大田原店は、あと30分ほどで最後の営業を終える。8月31日が月曜だからということもあるのだろう、 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第47回 水戸編第7回)
「何だか落ち着く街ですね」 帰りの電車に乗る前に、水戸駅前通りの古書店に立ち寄った。この辺りの郷土史に関する本を探してもらった流れ上、山形から来たことを明かすことになった。 「スタミナラーメンも食べましたよ」 店の主 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第46回 水戸編第6回)
汗が背中をぬらし始めたころに、目的の店が見えてきた。ホテルから歩いて40分かかっただろうか。ファサードの看板には堂々たる筆文字で「総本家松五郎」、その脇には「茨城スタミナラーメン」と大きく書かれた垂れ幕が構えている。開 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第45回 水戸編第5回)
2020年に老舗デパートが破綻して以降も、私の住む山形県山形市には往時を思い出させる催しが残っている。「北海道物産展」だ。 デパート破綻の直後にはホテルの宴会場で、そのホテルが閉業すると道の駅で、と会場を移しながら現 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第44回 水戸編第4回)
2階より上の売り場は、お客の入り方自体はこれまで見てきた地方デパートとよく似ていた。フロア全体としてお客より店員の方が多く、売り場の見守りや手入れに時間の多くが割かれている。しかし、やはりこの京成百貨店は何かが違ってい […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第43回 水戸編第3回)
カウンターに立つ女性は一瞬、私の背後へ、つまり京成百貨店のある方角へ目線をやった。 「おしゃれなスカーフですとか、いい香りのハンドクリームですとか、喜ばれるものがきっと見つかると思いますよ」 その答えに、私は素直にう […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第42回 水戸編第2回)
観光案内所で教えてもらった通り、水戸駅ビル「エクセル」のみなみ館3階には、農産県の地力を披露するかのような売り場が展開されていた。「べにはるか」「ほしこがね」「シルクスイート」など、さまざまな品種の干し芋や、水戸産の梅 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第41回 水戸編第1回)
出発前日の4月21日夕方、青森県で最大震度5強の地震があった。揺れは私の住む山形県にも届き、山形と東京とを結ぶ山形新幹線は運転を見合わせることとなった。 取材予定を変更せざるを得ないか。そのような考えが頭をよぎった。 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第40回 長野編その11)
帰りに松本駅前の土産物屋に寄ってみようかと考えたが、さすがに夜9時を過ぎているのでシャッターが下りていた。ホテルの前でバスがハザードランプを点滅させている。それを見て、自分のうっかりに気が付いた。 今朝、部屋に置いて […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第39回 長野編その10)
—— 長野市と松本市って、仲が悪いんですか? 唐突な、しかも無礼とも言える問い掛けに、彼女は笑顔を崩さなかった。それは私が客だからなのかもしれない。 しかし土産屋の主人があらわにした長野市への対抗意識に触れたら、や […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第38回 長野編その9)
来た時とは別の道を使って駅前のホテルへ戻ることにした。イオンモール松本を出てすぐに、蔵の立ち並ぶ商店街が現れる。「中町通り」といって、江戸時代から商家の集まっていた所らしい。 かつては善光寺への参詣者が通ったそうだ。 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第37回 長野編その8 )
あの落胆は、2年ほど前だったろうか。 たまに買い物に行っていた山形市の食品スーパーが、しばしの休業期間を挟んでリニューアルオープンを迎えた。以前の外観はいかにもローカルスーパー然とした、親しみやすさとお得感を演出した […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第36回 長野編その7 )
車は水を弾く音を立てながら走っているが、私の肩口をぬらすものはない。相変わらず重たい空の様子から察するに、雨はいったん休憩といったところだろうか。 ——ご当地グルメも、松本文化も。 駅前の屋上看板を見上げつつ、その […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第35回 長野編その6 )
朝、目が覚めた瞬間から、耳に入ってくる音の種類が変わっていた。換気扇に比べてやや高い、継続的なノイズが部屋を包んでいる。カーテンを開けると、窓の下では色とりどりの傘がさまざまな方向へ動いていた。 出発までにやむだろう […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第34回 長野編その5 )
長野の地酒と土産用のそばを紙袋に入れてもらった。店の主人はだいぶ目が弱っているのか、瞳がすっかり隠れるくらいにまぶたをすぼめながら釣り銭を数える。私は財布を胸の辺りに抱えて待ちながら、それとなく先ほどの話の続きを促 […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第33回 長野編その4 )
シャワーで汗を流した後、スマートフォンで長野の食の名物について調べてみる。混む時間を避けて、早めに街で晩酌をしようという魂胆だ。 「馬刺し」「山賊焼き」「信州サーモン」。この三つに興味を引かれた。しばらく情報の密林をさ […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第32回 長野編その3)
辺りに目をやると、妙に色彩が鈍く見えた。どうやら松本パルコが閉じているからだけではない。まだ午後2時前だというのに、近接する飲食店にほとんど明かりがついていないのだ。 定休日の店が多いのかと思ったが、よく見るとそうで […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第31回 長野編その2)
それが当然なのだろう。閉店から2カ月を経た井上百貨店は、にぎわいの余韻すらまとわずに、巨大な置物と化していた。 思い出を持つ松本市民ならば、閉じたシャッターにも温かい回想を映すことができるに違いない。だが初めて訪れた […]
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第30 回 長野編その1 )
デパートにとってこんなにも残酷な街を、私は初めて見た。 以前に岐阜市柳ケ瀬を訪ねた時も、名古屋へ電車で30分足らずで行けてしまうという環境に驚いた。だが今回の目的地である長野県松本市の場合は、駅から歩いて15分ほどで […]

