連載小説 英雄たちの経営力 第3回 徳川家康 その4
家康の治水(ちすい)事業 戦国時代というと、常に戦乱状態で、田畑は荒廃して農民は困窮にあえぎ、武士たちは殺し合っていたかのようなイメージがある。果たしてそれは正しいのだろうか。 実は人口学の観点から見るとと、戦国時代 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第3回 徳川家康 その3
では、かつて鎌倉幕府のあった鎌倉はどうだろう。 鎌倉は東西北の三方を山に囲まれ、南の一方だけが海に開けた馬蹄形(ばていけい)の地形をしていることから、九条兼実(くじょうかねざね)の日記『玉葉(ぎょくよう)』では「鎌倉城 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第3回 徳川家康 その2
家康の江戸入部 東京への一極集中についての議論が行われるようになってから久しいが、近頃は「地方への首都機 能の移転」といった言葉も聞かれなくなり、半ばあきらめムードが漂っている。 それだけ首都東京というのは根付いている […]
連載小説 英雄たちの経営力 第3回 徳川家康 その1
凡庸(ぼんよう)な男から天下人へ 家康については、これまで小説、エッセイ、ノンフィクションなど様々な角度から書いてきた私だが、今回は新たな視点、とくに天下政権の経営面から家康を掘り下げていきたいと思う。 家康がなぜ天 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第2回 豊臣秀吉 その5
こうした奇跡的な仕組みを編み出し、実際に成果を上げた秀吉と利休だったが、蜜月は長くは続かなかった。次第に秀吉は賢明さを失い、金の卵を産み続ける利休を殺してしまう。その理由は単純だ。 秀吉本人に黄金の茶室を生み出せるよ […]
連載小説 英雄たちの経営力 第2回 豊臣秀吉 その4
ところが信長の「御茶湯御政道」が軌道に乗り始めたところで本能寺の変が起こる。 この時、信長は安土から『九十九髪茄子( つくもかみなす)』『勢高肩衝( せいたかかたつき)』、そして前述の『珠光小茄子』といった名物の茶入 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第2回 豊臣秀吉 その3
信長の天才的発想 安土桃山時代は、世界的に貨幣制度が混乱した時代でもあった。というのも、日本が渡来銭( 銅銭) を受け容れて五百年が経ち、日本国内での流通量が増えてきたのと反比例するように、大陸国家( 当時は明) での […]
連載小説 英雄たちの経営力 第2回 豊臣秀吉 その2
人間関係を重視した秀吉 少年時代の秀吉は、遠江国人の松下加兵衛之綱( まつしたかへえゆきつな) に仕えた後、その許を去り、織田信長に仕えるようになった。だがその時期や経緯は全く不明だ。 一つのヒントとして、前田利家と […]
連載小説 英雄たちの経営力 第2回 豊臣秀吉 その1
出自の謎と仮説 織田信長に続く天下人として今日でも人気が高い豊臣秀吉だが、その出自については、いまだ明らかになっていない。史実として認定されているのは以下の二点になる。・尾張国愛知郡中村の出身だった・尾張国を離れ、遠江 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第1回 織田信長 その4
信長は何を見ていたのか 信長の国家構想は、その死によって未来永劫の謎になった。だがその後継者の秀吉によって、その痕跡を読み取ることはできる。それゆえ秀吉が信長から何を学んでいったかを、まず考えることから始めたい。 秀 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第1回 織田信長 その3
青年時代の信長 話が交易と経済に向かってしまったが、信長から学べることをおさらいしておきたい。 まず信長軍団はなぜ強かったかだが、父の代から財力に物を言わせて兵を養えたのは確かだが、それだけでは、駿河・遠江・三河三国 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第1回 織田信長 その2
南蛮画の隆盛と「四都図」から学んだ信長 十六世紀という信長や秀吉の生きた時代は、スペインやポルトガルの世界進出が本格化し、世界の最東端の日本にも到達した大航海時代の最盛期だった。彼らが大海に漕ぎ出したのは交易による利潤 […]
連載小説 英雄たちの経営力 第1回 織田信長 その1
今回から「英雄たちの経営力」と題し、歴史上に傑出した業績を残した英雄たちを取り上げ、その成功の秘訣を紹介していきたいと思う。 信秀と信長 織田信長は天文三年(一五三四)、尾張国の那古野城ないしは勝幡(しょばた)城で生 […]