連載小説 英雄たちの経営力 第1回 織田信長 その3
青年時代の信長
話が交易と経済に向かってしまったが、信長から学べることをおさらいしておきたい。
まず信長軍団はなぜ強かったかだが、父の代から財力に物を言わせて兵を養えたのは確かだが、それだけでは、駿河・遠江・三河三国を領有する今川義元には勝てない。
青年時代の信長の白眉は天文二十三年(一五五四)の村木合戦だろう。この時、信長は二十一歳にすぎなかったが、今川方が知多半島に築いた橋頭保の村木砦を落城に追い込んだ。この戦いで、信長は今川方の後詰勢が来る前に砦を制圧しようと短期決戦を挑んだ。それは自軍の損害を顧みないもので、信長が少年時代から徒党を組んできた次三男を中心とした者たちが命を顧みないほどの戦いぶりを示した。また信長自ら鉄砲を撃つなどして率先垂範を実践したのも事実で、信長が命を的に戦う男であることを証明した。
敵の後詰がやってくることが確実な場合、寄手は早急に城を落とさねばならない。つまり「勝機を見極める目」が重要であり、それを信長は持っていたことの証左になる。
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『黒南風の海 – 加藤清正』や、鎌倉時代初期を描いた『夜叉の都』、サスペンス小説『横浜1963』など幅広いジャンルで活躍
北条五代, 覇王の神殿, 琉球警察, 威風堂々 幕末佐賀風雲録 など。