連載小説 英雄たちの経営力 第3回 徳川家康 その4

家康の治水(ちすい)事業

 戦国時代というと、常に戦乱状態で、田畑は荒廃して農民は困窮にあえぎ、武士たちは殺し合っていたかのようなイメージがある。果たしてそれは正しいのだろうか。

 実は人口学の観点から見るとと、戦国時代の大半を成す十六世紀は、人口が飛躍的に増加しただけでなく、人々が飢えに苦しんだ室町時代までとは異なり、比較的豊かな時代だった。

 人口増は労働人口や生産量の増加も伴う。それゆえ戦国期は経済成長の時代でもあったのだ。また治水・干拓(かんたく)事業や新田開発によって、耕地面積が飛躍的に広がったのも事実だ。

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伊東 潤
矢野 元晴