連載小説 英雄たちの経営力 第2回 豊臣秀吉 その4

 ところが信長の「御茶湯御政道」が軌道に乗り始めたところで本能寺の変が起こる。

 この時、信長は安土から『九十九髪茄子( つくもかみなす)』『勢高肩衝( せいたかかたつき)』、そして前述の『珠光小茄子』といった名物の茶入れ、また玉澗( ぎょくかん) や牧谿( もっけい) の筆になる表具を本能寺に運ばせ、公家や博多商人を相手に大寄せ( 展示会も含めた大茶会) を催すつもりだった。だが名物の大半は本能寺の業火に焼かれてしまい、信長の「御茶湯御政道」は頓挫( とんざ) してしまう。

続きは本誌紙面を御覧ください

伊東 潤
矢野 元晴