昭和24年10月創刊

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デパートのルネッサンスはどこにある? 2021年08月01日号

コロナ禍の「復興五輪」という虚言

 本欄は5月6月と4号続けて、新型コロナやその感染者増というよりも「緊急事態宣言」という政府の施策に翻弄される百貨店の苦境を取り上げて来た。

 1年延期されたTOKYO2020、そのコロナ禍の真っただ中での開催の是非を巡って、国民の「分断」は続いている。今号もまた、デパートのルネッサンス( 再生・復活) を語る前提として、10年経っても疎かになっている、東日本大震災の被災地の「復興」の実態を伝える。

▼2020年7月23日

 先ず、丁度1年前の2020年8月合併号の記事を振り返って見たい。

 タイトルは〈コロナ禍で生き残りを模索するデパート〉である。小見出しに●コロナ第2波襲来?とある。

 『緊急事態宣言の全面解除から、ほぼ2ヶ月が経ったが、ここのところ連日「全国的な感染者数の記録更新」が続いている。特に首都東京では7月23日の新規感染者が300人を超えた。もはやアベノマスクの配布以上の愚策として評判の悪い「Go Toキャンペーン」からも東京は除外された。』と記している。

 続けて●コロナが分けた明暗として、比較的コロナ影響を受けなかった食料品(デパ地下)の様子や、化粧品の様に、百貨店ならではの対面接客が出来ず、販売手法の見直しを迫られた業種や、レストランや稼ぎ頭であった衣料品の不振を伝えている。一方で郊外立地のGMSやアウトレットモールの堅調も綴られている。

 賢明なる読者諸氏は既にお気づきだろう。そうなのだ、百貨店を取り巻く厳しい環境は、この1年、まったく変わっていないのだ。

 期待していた「インバウンド特需」はコロナと五輪延期により消滅したままだ。加えて前号でも記した様に、度重なる「緊急事態宣言」の乱発と延長、再延長により、国民の自粛疲れ、自粛慣れもここ1年で遂にピークに達した。政府が期待した「人流の抑制」も以前の様には達成されなくなって来た。

 飲食店への「禁酒法」程ひどくはないものの、百貨店への風当たりは依然として強く、不要不急の外出禁止や「贅沢禁止」のスケープゴート状態は続いている。
 それでも、昨年の今ごろは、オリンピックを1年先送りしたことにより、「コロナ禍のオリンピック」という現在の悪夢よりは「まだまし」というところだろうか。※この時点で開催を2年先送りにしていれば、ア スリートもボランティアも、それを応援する国民も、誰も悩まずに済んだのだが・・・詳細は前号(7月15日号)に記した通りだ。

▼2021年7月23日

2021年7月23日に開会式を迎えたTOKYO2020大会であるが、新型コロナの新規感染者数が7月20日以降連日1000人を超え、前日の22日には既に2000人に迫る勢いとなった。幸い?22日からは4連休となり検査数自体が減少するので、来週の27日火曜日までは一旦数字上は沈静化する見込みだが。
※その後の感染爆発の可能性についてはあえて触れない。本紙を読んでいる方は既に結果をご存知のはずだ。

 分科会の尾身茂会長は20日、東京都の1日の新規感染者数について、8月第1週には過去最多の3000人まで増加するとの見通しを示した。それに伴い、医療逼迫(ひっぱく)が起きる可能性も「極めて高い」とした。
※因みに今までの東京の新規感染者数の最多は、1 月7 日に記録した2520人だ。

 尾身氏は「2週間後には新規感染者数が今の2倍になって、年末年始の第3波のピークを超える可能性が出てきた」と述べた。尾身氏もさすがに政府への「忖度」はあきらめた様だ。

 オリンピックの「安心、安全」な開催と、ワクチン1日100万回接種の2本立てで、自民党総裁選と衆院選を乗り切ろうとしていた菅総理の思惑は、早くも黄色信号が点滅している。

 それにしても、日本選手の金メダルラッシュで、五輪開催に否定的な世論がひっくり返ると、本当に思っているとしたら、菅氏はそれこそ総理大臣としての資質に欠けていると断じざるを得ない。

 資質に欠けると言えば、西村担当相の酒類提供停止に応じない飲食店への圧力問題など、ここに来て菅氏の取り巻きの失策も増え、政権の末期症状が顕著になって来た。

 前号で伝えた「五輪反対は反日」発言の安倍前首相は、結局オリンピックの開会式を欠席された。自分の都合が悪くなると「直ぐにお腹が痛くなる」方なので、体調が心配だ5年前のリオ五輪の閉会式での、マリオの コスプレをまた見たかったのに残念だ??

◆「復興五輪」はどこにある?

 安倍氏と言えば、今回のTOKYO大会を「復興五輪」と命名していたことを覚えておられるだろう。彼は2014年の所信表明演説で「何としても『復興五輪』としたい。日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけとしなければならない」とコロナ禍の「復興五輪」という虚言述べた。だが、コロナのパンデミック(世界的大流行)が東京大会を一変させた。

 安倍氏は開催が1年延期された2020年3月、新たなスローガンとして「人類がコロナに打ち勝った証し」を提示し、菅氏も継承するとともに「安心安全の大会」と繰り返してきた。だが結論として、政府は防疫を達成できず、安倍氏は総理の椅子を投げ出した。後継の菅氏も、最後まで模索した有観客五輪を、結局断念せざるを得なくなった。

 復興五輪も安心安全も、歴代首相のスローガンはことごとく覆っているのが現状だ。

 今月13日、開会式が行われる国立競技場近くに、被災地復興支援へのお礼をテーマにした記念碑がひっそりとお披露目された。先の見えないウイルスとの闘いに心をすり減らす国内外の人々と被災地を、つなげられるのだろうか。「復興半ばにある被災地で生きる人たちの姿を、五輪を通して伝えたい」と考えていたボランティアの女性は「今は、この大会に意義を見いだすのが難しくなった」と話す。

◆置き去りにされた被災地と被災者

 コロナ対応をめぐる賛否の中、東京オリンピックが開幕した。東日本大震災からの「復興」を掲げて誘致した五輪。ところが、福島の原発は、原子力緊急事態宣言が今も発令中だ。コロナのみならず、原発事故の緊急事態宣言も出たままで開かれる東京五輪となった。

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、福島市で7月28 日に開幕する野球で始球式を行う予定だという。氏はインタビューに答え、東日本大震災の被災地での開催は「甚大な被害を受けた町や地域の復興を示すことになる」と語っている。

 フレコンバッグ( 汚染土壌を収納するフレキシブル・コンテナ・バッグのこと)の集積場などを見ることもなく、避難者の肉声を聞くこともなく、「復興」というコトバを繰り返すだけで、駆け足で福島を去っていくのだろう。

 「人類がコロナに打ち勝った証し」の五輪は、今や全く逆の意味を我々に提示している。

 結局今大会は、コロナに翻弄され、国民を分断した東京五輪、として後世に名を遺すことになるのだろうか。ある意味、テロにより最悪の事態となった1972年のミュンヘンオリンピックを上回る「パンデミック五輪」として世界中の人びと記憶に残るのであろうか。

 次号からは本業に立ち返り、デパートのルネッサンスを語ろう。これ以上変な事件が起きないコトを祈っている。

連載 デパートのルネッサンスはどこにある?

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