デパートのルネッサンスはどこにある? 2024年01月01日号-83

ルネッサンス5度目の春

 2020年3月15日号からコラム「デパートのルネッサンスはどこにある?」の連載を開始し、4回目の正月を迎える。もう直ぐ5度目の春を迎えるという事だ。

 ルネッサンスの始まりは、奇しくもコロナ過の始まりと相前後しており、本コラムの最初の3年は、コロナとデパートの「戦い」の記録だったと言っても過言ではない。

コロナ後遺症

 昨年の本欄でも依然として「コロナ過」に言及しており、ほぼ3年に亘り、デパート業界がいかに「この疫病」に翻弄されてきたかが窺(うかが)える。

 もちろんコロナは、百貨店やショッピングセンターの様な小売業だけでなく、日本中、世界中のあらゆる経済活動を妨げてきた。

 そんな中で、観光立国を目指していた日本が比較的大きなマイナスを被ったことは間違いない。

 こと、公衆衛生に関して「世界一清潔で安全な国」を標榜 (ひょうぼう)し、自負してきた我が国としては、ちょっとショックな結末だった。元々少ない「自尊心」が傷ついた事案でもあった

 特に最悪のタイミングとなったのは、半世紀ぶりの開催となった東京オリンピックだ。安倍元首相の指示により、一年遅れの2021年に強行開催したことが悔やまれる。

 故人を悪く言うのはこの国の慣習に背くことになるが、何らかの「利権」絡みなのかなぁ、と感じてしまうのも事実だ。

戦から税へ

 さて、コロナの愚痴と恨み言で紙面が尽きては申し訳ない。2023年を振り返ってみよう。

 因みに、年末恒例の清水寺が揮毫(きごう)する「今年の漢字」は「税」であった。

 前年2 0 2 2 年の「戦」は、言うまでもなくロシアによるウクライナ侵攻であったわけだが、皆の予想を裏切って、未だに延々と続いている。

 それどころか、パレスチナの地では、ガザ地区を巡ってハマスとイスラエルの戦闘も勃発した。火種がもう一つ増えてしまったのだ。

 それでも、極東の僻地の我が国では、遠い異国で続く「戦」ではなく、国民生活に直結する「税」を選んだ。

 日本人の海外音痴ぶりを揶揄している訳ではない。それほど「他人の心配をしていられる程、暇でも楽でもないんだ」ということなのだ。

 企業が空前の利益を出し、株高が続いても、物価高と可処分所得が実質減る一方の生活は、更に苦しさを増しているからだ。

 我らが「増税メガネ」こと岸田首相が、海外を歴訪する度にお金をバラまいて来るのも癪に障る(しゃくにさわる)のだ。

 海外貢献(難民や発展途上国の人々の支援)自体は、誰に聞いても「善」なのだが、同時に「我々庶民の懐具合も考えてくれよ!」も当然本音だ。

五輪と万博

 従って、万博に金がかかるどころか、追加資金の総額が不明、となれば「何故オリンピックに学ばない!」というのが、国民の「心の声」なのだ。

「そんな金があるなら『異次元の少子化対策』とやらに使えばええやんか?」となぜか関西弁の怒号が頭の中でこだまする。

 そもそも今更、五輪や万博で「世界に貢献する日本」を喧伝して、それが何の足しになるのか教えてほしい。「GDPでは中国に抜かれたけれど、日本はまだまだ元気です!」と誰に向かってアピールしているのだろう。

 もしかして日本国民に向けて「過去の栄光」は幻ではない、とでも言いたいのであろうか?

 そろそろ本題に戻る。

そごう・西武

 コロナが収束し、インバウンド需要が再燃し、百貨店全体としては久々の「商売モード」に沸いた2023年であった。では2023年の本コラムの主要テーマは何だったかといえば、間違いなく「そごう・西武」であろう。

 具体的にはセブン&アイによるそごう・西武の売却であるが、その象徴として「池袋西武本店を、半分ヨドバシカメラにしてしまう」という「異常事態」をお伝してきた。 また、今回の「騒動」のクライマックスは、西武百貨店池袋本店で8月31日に決行された61年ぶりのストライキであったことに、議論の余地はないだろう。

 そごう・西武労働組合の寺岡委員長のインタビューを通じて、一過性の話題としてではなく、百貨店の未来につながる重大ニュースとして、詳細にお伝えしたつもりである。

 残念ながらスト決行の翌日9月1日にはそごう・西武売却の決議がなされ、そごう・西武はフォートレス・インベストメントの傘下に入った。

 そしてそれは、ヨドバシカメラが、池袋西武の本館に出店する「準備完了」を意味する。

 従って2024年は、ヨドバシカメラが西武百貨店を半分に縮小させ、JR池袋駅直結の一等地である北側に「進出を果たす年」なのである。

 昨年のセブン&アイから、2024年はヨドバシカメラに敵役(かたきやく)が変わった、という事なのだ。

 何とかコロナを生き延びたものの、都心でも地方でもシュリンク(縮小)し続ける百貨店。その象徴としての池袋西武の生末(いくすえ)を本紙は見届けて行く所存だ。

連載 デパートのルネッサンスはどこにある?

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