昭和24年10月創刊

メニュー
メニュー

デパートのルネッサンスはどこにある? 2022年03月01日号-44前編

コロナと共に過ごした2年間(総括)

先ずは、2月後半時点の全国の感染状況等を確認しよう。

17道府県で「まん延防止措置」延長

新たな変異ウイルスである「オミクロン株」が猛威を振るい、全国のコロナ新規感染者は、8万人を超える日が続いている。2月の中旬を境に、ピークを越えた様に見える。とは言え、当初「専門家」が異口同音に言っていた「急激に増加したので、急激に低下する」ことはなかった。見方によっては「高止まり」とも言える。中々下がらないというのが実感だ。同じ様に、オミクロン株の特性として「重傷化しにくい」と言われていたにもかかわらず、全国の死者数は連日200人を超えている。
※2月17日に過去最多の271人が死亡。

 政府は大阪や北海道など17道府県について「まん延防止等重点措置」を3月6日まで延長することを決めた。一方で、沖縄や山口など5県については2月20日の期限をもって同措置を解除する。以下、国のコロナ対 策の基本方針と各都道府県の対策についてまとめた。

図表1

 今回のまん延防止等重点措置は、1月9日から沖縄、山口、広島の3県を対象に適用が始まり、21日からは東京や愛知など計13都県が追加された。さらに27日からは大阪や北海道など計18道府県が追加。2月5日からは和歌山県も加えられた。2月13日が期限だった東京など13都県への重点措置は3月6日まで延長され、2月12日から高知県も追加され、対象地域は計36都道府県まで拡大した。

 さらに2月20日に期限を迎える大阪や北海道など21道府県と27日に期限を迎える和歌山県のうち、17道府県について3月6日まで延長する一方、山形、島根、山口、大分、沖縄の5県については20日をもって解除す ることを決めた。これによって2月21日以降は31都道府県が対象となる。

 1月9日から3月6日までの約2ヶ月の「オミクロン期」がコロナの最後の感染爆発であるコトを切に願う。後述するが、例えそれが筆者の「楽観バイアス」に過ぎないとしても。

ウィズコロナの2年間

次に2020年3月から2022年2月までの丸2年間を「コロナ禍の2年間」と位置づけ、この期間を振り返り、筆者なりに総括してみたい。

 コロナ禍の2年間は、好むと好まざるとにかかわりなく、世界中の人びとに降りかかった永い「災厄」だ。もちろん、コロナ禍を「好んだ」人はいなかったであろうが・・・

 感染者が出始めた当初は、起源である中国の化学兵器説などの「陰謀論」も噴出したが、その後は自国の( そして自身の)感染防止対応に忙殺され、そうした説は下火となっていった。

 ソーシャルディスタンスやステイホームといった、耳慣れない警句が日本( と世界) を飛び交ったが、日本を含めたアジア圏の感染者数の「謎の低さ」も結局は解明されないままだ。

 現時点での未来予想の「答え合わせ」は難しいが、筆者の本音で言うと「まさか2年以上もかかるとは思わなかった」というコトだ。失礼、2022年の2月一杯で、コロナが収束する様な論調になってしまった。「オミクロン株のまん延はコロナの終わりの始まりだ」というポジティブな通説を、知らず知らずに下敷きにしていた様だ。こうやって、同じ様な楽観論を繰り返してしまうのかもしれない。

 半年前にデルタ株が収まった後、昨年の10〜11月にも同じ様な気持ちになっていた。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の格言通りとは言え、人間というのは弱く、情けないモノだ。

 こんな時でも、自分に都合の良い「説」を信じたくなってしまう。その当時の、ワクチンの2回接種という個人的な状況と、菅政権の終焉という社会的な状況も、筆者の勝手な安心感を後押ししていたのかもしれない。
※前述した様に楽観バイアスと言うらしい。

1月から9月までの非日常

本欄では何度も言及しているが、コロナ禍で最も影響を受けた業種は、観光やエンターテインメント、そして飲食店であろう。もちろん医療や介護の現場は言うまでもない。

 そして小売業の中では、百貨店が突出してマイナス影響が大きかったことも、紛れもない事実である。デパートは不要不急の代表としてスケープゴート化され「贅沢は敵」やデパ地下は密= クラスターの温床など、「百貨店は悪」というレッテルまで貼られたからだ。

 先ず、この2年間の緊急事態宣言やまん延防止の発令状況を総括する。
※前述した2022年1、2月を除く

図表2

 2020年は4〜5月の発令の後、半年以上「無発令」のインターバルがあった。その間には政府によるGoToキャンペーンという、観光業の救済目的と、聞こえは良かったが、今となっては「あだ花」の企画として、当時の与党幹事長の評判をも悪くした印象だ。

 一方2021年に入り、1/1〜9/30までの9ヶ月間の東京都の緊急事態宣言の発令状況は

緊急事態宣言211日77%
まん延防止34日12%
発令なし28日10%

 9ヶ月、計273日の うち245日( 89 ・7%) が発令日という結果だ。

 2021年の第三四半 期までの「異常事態」ぶ りが判る。普通の日が1 割と、圧倒的に少ないの だ。

緊急事態宣言発令下の東京都

 その期間と措置内容、イベントの収容制限を記す。

図表3

 次に日本とデパートの今後の見通しを検証してみよう。

 22年の日本経済の状況( 2021年末時点での識者の予測)

 2021年10月の緊急事態宣言解除後、新規感染者数が低位で推移しており、飲食や宿泊など外出関連業種を含め、国内経済活動の再開が進んでいる。ワクチンの定期的な接種、無料のPCR検査の拡大、医療供給体制の強化などにより、外出関連の経済活動を本格的に再開させつつ、医療逼迫を回避できる可能性が高まっていくだろう。22年にかけては、経済活動の正常化に伴う雇用・所得環境の改善に加え、コロナ危機下で積み上がった約40兆円の過剰貯蓄の一部が消費に回ることもあり、潜在成長率を上回るペースでの回復を見込む。もっとも、半導体などの供給制約は、22年にかけても引き続き企業活動の抑制要因となると予想される。実質GDP成長率は、21年度、22年度とも+2%台半ばと予測。コロナ危機前の水準(19年10―12月期)まで回復する時期は、22年前半となろう。
※2022年の1〜2月のオミクロンショックにより、上記の予測はだいたい3ヶ月遅れとなるであろう。それにしても40兆円の過剰貯蓄と言われれば、デパート新聞としては、今後の消費の回復にちょっと期待してしまう。

 前置きが長くなってしまった。我らが百貨店の「今後」はどうだろう。百貨店はコロナ後も生き残れるのか?

 さて、2 ヶ月前、2021年のクリスマス商戦を思い出して欲しい。百貨店のジュエリーコーナーや高級ブランド品の売上は順調に回復したと聞く。その前の年( 2020年12月) には都知事から「不要不急の贅沢品」として、高級ブランド品が槍玉に挙げられたコトは覚えておられるだろう。デパ地下でのクラスター発生がそれに追い打ちをかけたと記憶している。

 そんなスケープゴート状況から、この秋冬はようやく本格的に動き出した感がある。大手百貨店4社の11月の売上高は前年比プラスで推移し、更にこれからリベンジ消費が盛り上がるタイミングだ。
※この時点ではオミクロンショックは加味されていない。只、今回は政府が緊急事態宣言の発出を見送ったコトもあり、百貨店のマイナスはかなり抑えられたと言える。11月の売上高を見れば、その回復ぶりがわかる。

2021年11月の百貨店4社売上高
J.フロント( 大丸松坂屋) +16.1%
三越伊勢丹ホールディング+14.5%
H2Oリテイリング(阪急・阪神)+11.5%
髙島屋+8.9%

 好調の背景には、富裕層向けのハイブランド等の高額品、スーツケースなどコロナ以前に売れていた商品の再稼働や、コロナ当初は非接触の奨励により不振化した化粧品の復活が挙げられる。ステイホーム政策が緩んでも、口が肥えてしまった人びとに支持される高級食材も継続堅調だ。しかし、衣料品、特にリモートワークの普及により不振化したスーツを含め、紳士服の売上は復活の兆しすら見えない。

 全体として見ると、本当に百貨店はこのままV字回復の道を歩むのかは、正直不透明といわざるを得ない。

デパートはコロナ禍を乗り切ったのか

 先ず結論から言えば、これ以上の数値の悪化はないだろう。そう仮定するのは、今後、オミクロン株のような変異株が流行しても、2020年の1回目の緊急事態宣言時ほどに日本経済が冷え込むことは考えにくいからだ。なぜなら、既に世界はコロナとの向き合い方を知っており、同様に日本政府が、今後すべての経済を止める可能性は極めて低いからだ。

 だから、病床が逼迫しても、緊急事態宣言の再発出は立ち消えとなったのかなと、つい深読みをしたくなる。今後は、コロナに対して「克服」は不可能としても、少なくとも「共存」する社会がニューノーマルとなっていくのだろう。

 たとえ、若年層、特に就学児童の新規感染者増による家庭内感染の拡大や、高齢者施設でのクラスターから、死者の絶対数が増加しても、だ。

 一つ恐ろしいのは、2年前や1年前には、あれ程注視していた日々の新規感染者数の増加に、我々が不感症になっている事だ。

 昨年夏のデルタ株の時に比べて、自分の周囲から感染者が発生しても、もはや驚かなくなっているのだ。まるで、コロナ感染が「非日常」ではなくなったかの様に。これがニューノーマルの生活というモノなのかな、と頭の一部では感じているのだが・・・話を戻そう。

10年安心とは言えないが、直近の破綻は回避

 例えば三越伊勢丹は、月に16億円の赤字を予想していたが、現在は12億円弱まで抑えられている。H2Oリテイリング( 阪急阪神) は月に14億を予想していたが、こちらも7億円弱に抑えられた。百貨店はこの先1〜2年以内に破綻することはない。むしろ、この厳しい環境下の中で、経営状況が改善している。

 三越伊勢丹は、11月10日の決算発表では、通期の純利益を従来予想の10億円の黒字から30億円の黒字( 前期は410億円の赤字) へと、およそ3倍に上方修正している。

(次号へ続く)

連載 デパートのルネッサンスはどこにある?

デパート新聞 紙面のロゴ
昭和24年10月創刊
百貨店に特化した業界紙
デパート新聞 購読申し込み