デパートのルネッサンスはどこにある? 2021年11月15日号-36

百貨店復活のカギ 「富裕層シフト」 – コロナ禍で閉店する百貨店

そごう川口店

百貨店 閉店

 ネット上にて「コロナ禍で閉店した百貨店5選」というタイトルの記事(Yahoo) に、20万を越えるビューが付いていた。本紙のWEB部門から聞いたところ「百貨店」というワードを「閉店」とともに検索するケースが多いという。
以下抜粋する。

 コロナ禍、さまざまな業種の店舗が閉店に追い込まれた。大手百貨店といえども例外ではない。しかしこれら百貨店の閉店にはコロナ禍というよりも時代の流れを大きく感じさせる。閉店した百貨店をみてみよう。

新潟三越
 新潟三越は2020年3月22日をもって閉店。インターネット通販が進む中、消費者の百貨店離れが進み、大きく利益を落としたことが要因、としている。2018年に閉店が決まり、コロナ禍の中での閉店となった。現在は大手不動産会社と地元ゼネコンなどが跡地の再開発を進めている。
※本紙11月1日号の株式会社新潟三越伊勢丹の牧野社長のインタビューでも触れているが、伊勢丹と三越の統合による社内競合の解消という面も大きい。

そごう川口店
 JR川口駅前にあるそごう川口店は2021年2 月28日に閉店した。1991年10月、再開発の核テナントとして開店、そごうでも全国で30店舗目の出店だった。2019年に閉店が決まり、コロナ禍で30年の歴史に幕を閉じた。

 近隣エリアにあるアリオやイオンモール川口といった「日常使い」のショッピングセンターの存在感が強い。

髙島屋港南台店
 髙島屋港南台店は2020年8月16日に閉店。売上高の減少もその理由だが、こちらは増床し「港南台バーズ」としてリニューアルオープンした。リニューアル店舗には食の大型専門店や無印良品、カメラのキタムラ、スターバックスなど多くの有名店舗が入居。既存店舗のユニクロも面積を2・5倍に拡大した。
※2020年9月1日号に本欄にて取り上げている。詳細はバックナンバーを参照いただきたい。

松坂屋豊田店
 松坂屋豊田店は2021年9月30日に閉店、20年にわたる歴史に幕を閉じた。名鉄豊田市駅前のシンボルとして愛された同店。近隣市町村にも大型店が誕生したことやネット販売の普及が痛手となった。2020年に閉店を発表、コロナ禍が追い打ちをかけた結果となった。

西武大津店
 西武大津店は2020年8月31日をもって閉店。最終日は25000人が来場し、慣れ親しんできた同店舗に別れを告げた。1976年にオープンし44年の長きにわたり地元に親しまれた。大きな拍手の中の閉店と なった。

 6月15日号の本欄「苦戦を強いられるそごう・西武」でも言及している。大津市と言えば滋賀県の県庁所在地ではあるが、実態としては京都、大坂のベッドタウンであり、郊外立地百貨店の運営の難しさを象徴している。

消費者の購買形態の変化が大きな要因

 コロナ禍の中、親しまれてきた百貨店が消えていった。しかしコロナ禍の影響以前に、インターネット販売の普及など、消費者の購買形態の変化が大きな要因だ。確かにインターネットでの買い物は便利だ。しかし百貨店の閉店は私たち消費者にとって一抹の寂しさを感じさせずにはいられない。

 繊研や日経、東洋経済でもダイヤモンドオンラインでもなく、ネットニュースの一般読者も「デパートの閉店」には興味がある様だ。この記事は、ちょっとだけノスタルジックに結んでいるが、そもそもその「私た ち消費者」が、買わないから閉店する、という因果関係は語られてはいない。

 地方、郊外の(老舗や大手の支店を問わず)、デパートの閉店を目にする機会が増えた、ということだ。全国的に百貨店の閉店が「常態化」している証左であろうか。一般消費者は「寂しい」で良いが、我々デパート新聞としては、嘆(なげ)いてばかりもいられない。この先の反転攻勢=ルネッサンスを考えなくてはならないのだから。さて、本題はここからだ。

 前号で百貨店のDX(Eコマースシフト)を取り上げたが、大手百貨店が掲げるもう一つのNEXTテーマは「富裕層シフト」だ。まずはJフロントを見て行こう。

※2021年5月15日号で三越伊勢丹の、続く6月1号では大丸松坂屋の「富裕層シフト」を取り上げている。ご興味があればバックナンバーをご参照願いたい。

大丸松坂屋は富裕層シフトを鮮明に

 J.フロント リテイリング(JFR)は、百貨店事業の「富裕層シフト」を鮮明化している。大丸松坂屋百貨店の基幹9店舗において、顧客別売上高に占める外商シェアを2020年2月期の24%から2年後の24年2月期には30%に増やす。コロナで消費が低迷する中でも、消費意欲が旺盛な「富裕層」に狙いを定めたのだ。

 10月12日にオンライン開催された21年3〜8月期決算説明会において、24年2月期を最終年度とした「中期経営計画の進捗」を発表した。顧客別売上高ではコロナ前の20年2月期に比べて富裕層を対象にした外商の割合を6ポイント高める。これに対して、カテゴリー別売上高でもラグジュアリーブランドを24%(20年2月期は17%)にアップし、美術・宝飾・呉服を13%(同9%)に引き上げる、としている。一方、ボリュームゾーンの婦人服・婦人雑貨は15%(同19%)、紳士服・子供服は8%(同9%)に縮小し、長らくデパート売場の主力MDであったファッション比率をダウンさせる。JFRの好本達也社長は市場環境の変化を述べた上で、「成長戦略として間違いない」と言い切った。

 コロナ禍であっても、株高を背景にした富裕層の消費は手堅い。旅行や外食を自粛したお金が、百貨店のラグジュアリーブランドや宝飾・時計などの高級品に回って来ている。21年3〜8月期の店舗別売上高を一昨年の同期間を比べると、トラフィック(鉄道旅客)への依存が高い大丸東京店が半減、大丸梅田店が44%減なのに対し、外商など固定客に強みを持つ大丸神戸店が17%の減、松坂屋名古屋店が16%減まで持ち直している。コロナが収束に向かい、富裕層市場の安定した伸びは続くと見ているのだ。

松坂屋名古屋店は外商シェア5割へ

 そんな中で、大丸松坂屋百貨店の一番店である松坂屋名古屋店は、この中期で改装計画に乗り出す。品揃え、サービス、空間演出において、外商の提案力を高め、売上高に占める外商のシェアを、現在の40%から50 %まで高める、としている。

 外商のオンラインサイト「コネスリーニュ」では、若い富裕層を狙った品ぞろえやイベントを強化する。24年2月期にはオンライン経由の売上高100億円を目標に定めている。

 先月発足したばかりの岸田内閣は、経済政策において「成長と分配」を掲げ(最初は分配と成長と言っていたが)、かつての豊かな中間層の復活を打ち出した。ただ、政策には不確定な要素が多く、もちろん実現度も未知数だ。百貨店は、元々の強みである外商ビジネスに磨きをかけ、アベノミクス以降増え続けている富裕層を取り込むことで、収益の安定を図る方向で足並みをそろえる。
※尚、アベノミクスの負の遺産である、二極化による貧困層の増大に関しては、別の機会に触れる。

30年間変わらぬ年収 「縮む中間層」

 衆院選挙の前から、にわかに「経済政策」についての議論が活発化している。特に、日本の平均賃金が約30年間変わらず、先進国の中で「相対的」に貧しい国になったという話だ。もう一つは「コロナ禍」を経て、所得格差が一段と広がったという状況が報じられ、選挙の争点になった。
※与野党のバラマキ政策競争とも言われたが、元々、個人消費にかかわる小売業というのは、国の経済政策の影響を強く受ける。中でも長い歴史を持つ百貨店は「時代を映す鏡」そのものだ。高度経済成長を経て一億総中流と呼ばれた時代に絶頂を迎えた百貨店は、バブル崩壊後のデフレ、インバウンドバブルや、今回のコロナ禍による停滞を経て、改めて「富裕層シフト」を鮮明にしている。

中間層から富裕層へのシフトチェンジ

 今一度JFRの決算説明会での「中期経営計画の進捗」に戻ろう。「富裕層の地盤が厚い大丸神戸店は、他店に比べて消費の回復が早い」コロナ後の百貨店事業の見通しをそんな表現で説明した。そもそも、百貨店の富裕層シフトは今に始まったことではない。コロナ前から外商を中心にした富裕層の消費は拡大を続け、それ以外の一般客の消費は低迷していた。コロナによってコントラストがより鮮明になった、と言う事だ。
富裕層は客数としては少ないが、一般客に比べて客単価がはるかに大きい。百貨店各社のカード会員の分析では、年間購入額10万円以下の会員の消費は減り続けているのに対し、100万円以上の会員の消費は伸び続けている。都心旗艦店の売上高に占める外商シェアは20〜40%だ。

 外商は昔から百貨店の強みであったが、中間層の百貨店離れによって重要性が増しているのだ。
※先に述べた様に、貧困化により「中間層」自体が減少している、と言う表現が適切かもしれないが。

 ある百貨店幹部は、消費の2極化について「本来なら10年かけて起こる変化が、コロナで早送りになった。われわれも迅速に動かなければ生き残れない」と話す。貧困化はアベノミクスにより静かに進行し、コロナ禍がそれを「加速した」と言う構図なのか。後述する。

三越伊勢丹もマス(中間層)から個(富裕層)へ

 伝統的に外商に強い三越日本橋本店は、モダンアートなどのニューリッチ層に向けた品ぞろえを強化している。

 また、伊勢丹新宿本店が10月から開始した買取りサービス「アイムグリーン」は、富裕層の利用が多い、と聞く。今年4月に就任した三越伊勢丹ホールディングス(HD)の細谷社長も、事業戦略の目玉として外商の強化を打ち出す。細谷社長は「マスから個へ」と表現する。「百貨店はずっとマス狙いだった。広く網をかけるのが常識だった。今後は個のお客さまに照準を合わせる。個々のお客さまとの付き合いを深める商売に変わる」と。

 かつて百貨店は駅前の一等地に巨大な店舗を構えて、とにかく幅広く集客することが常識だった。大勢の人を集めて店舗内を回遊させれば、売場にお金が落ちるからだ。だが、中間層の百貨店離れが進んだこと(実 態は減)で、不特定多数のマス(大衆)に網を広げるビジネスモデルは限界を迎え、ロイヤリティの高い顧客と密接につながることが高収益に結びつくようになったのだ。

 細谷社長には21年3月まで社長を務めた岩田屋三越での実績がある。福岡で外商スタッフと商品バイヤーが専用アプリで連携を強めたり、年間300万円以上を購入する顧客のための貴賓室を設けたりするなど、富裕層の満足度を高める施策を打って来たのだ。岩田屋三越は、コロナ前の19年3月期に過去最高の営業利益を達成した。今、そのノウハウを三越伊勢丹HD全体に広げようとしているのだ。

 「個へのシフト」は20年以上言われ続けて来たCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の神髄であり、マーケティング的に「何を今更」的な違和感がつきまとうのは筆者だけだろうか・・・ 

失われたアッパーミドル市場

 百貨店の全国売上高は1991年の9・7兆円をピークにずっと右肩下りで、コロナ前の2019年には5・7兆円まで縮小していた。「ユニクロ」「ニトリ」に代表されるカテゴリーキラー、全国に急増した大型 ショッピングセンター、そしてEC(ネット通販)に顧客を奪われたことが敗因であることは明確だ。

 この間、百貨店を下支えしたのは、富裕層とインバウンド(訪日客)だった。これは政府の経済政策の結果ともいえる。特に2012年末に発足した安倍内閣の政策に起因するところが大きかった。

 アベノミクスの柱は、大規模な金融緩和と財政出動による円安の誘導である。

 日経平均は継続的に2万円台を回復し、富裕層の資産を底上げした。コロナ禍でも株価の上昇は続き、今年9月には3万円を突破するに至った。野村総合研究所によると、純金融資産を1億円以上保有する富裕層は 05年に約87万世帯だったの対し、現在は約133万世帯とおよそ1・5倍に増えた。

中間層の購買力減

 円安はインバウンド(訪日客)増加に拍車をかける役割を果たした。2019年までの訪日客の増加は、観光地として日本が魅力的だったからとか、日本流のおもてなしの成果などと言う声が多かった。しかし、大前提として日本の物価が安くなったからだ、というのが真相だ。デフレスパイラルで物価と賃金が低く抑えられたため、外国人にとって日本はショッピングもサービスも「お得な国」になっていたのだ。

 対照的に、日本の中間層の購買力は落ちた。前述した様に、最近急に報道が増えているが、日本人の平均年収は30年間横ばいだ。朝日新聞によると、2020年度の日本の平均年収は424万円で、30年前に比べて 18万円しか伸びていない。僅か4%の増加だ。

 欧米や韓国が高い成長率を達成する中で、先進国中最も賃金が安い国になってしまったのだ。しかも社会保険料の負担が増えているので、可処分所得は確実に減少している勘定だ。かつてのように百貨店で少し背伸びをした消費を楽しめる人は少なくなった、と言うのが実態であり、悲しい現実だ。

インバウンドから国内の富裕層へ

 2020年から、コロナ禍により訪日客は激減した。都心の旗艦店では免税売上高が30%に達していたところもあったので、大手百貨店にとっては大打撃である。インバウンド一本足打法に舵を切った髙島屋新宿店は、空港型市中免税店「高島屋免税店SHILLA&ANA」を昨年秋にクローズした。同じコンセプトで2016年にオープンした三越銀座8Fの「JAPAN DUTYFREE GINZA」は今どうなっているのだろう。ホームページを検索したところ11月30日まで「淡路島洲本市フェア」を開催していた。目玉商品はご推察の通り「玉ねぎ」だ。本欄にて何度もお伝えしている「インバウンド需要の消滅」の代表事例として記した。もちろん筆者は淡路島には何ら含むところは無いし、玉ねぎも大好きだ、と言う事を念のため付記しておく。

 逆に国内の富裕層は、海外旅行を自粛したお金を百貨店での消費に回した。ラグジュアリーブランドのバッグや服、時計、ジュエリーなどが緊急事態宣言下でも活発に売れた。中間層を対象にしたボリュームゾーンの婦人服や紳士服が、在宅勤務の増加もあって苦戦するのと対照的だ。

 前述した通り、外商など固定客に強みを持つ大丸神戸店が17%減、松坂屋名古屋店が16%減まで持ち直したのは、外商客、顧客= 富裕層の下支えの賜物と言って良いだろう。

 コロナ前から所得の2極化による中間層の先細りは進行していて、コロナはその状況を加速させたに過ぎない。かつてのように分厚い中間層によって百貨店が再び成長することは難しい。百貨店は最も得意とする外商などの富裕層消費に、経営資源の軸足を移し、文字通り足並みを揃えた。

GAISHO

 繰り返しになるが、そもそも百貨店は富裕層市場で優位性がある。日本の百貨店独自の「外商」ビジネスは、多くの富裕層と長年の関係を築き、場合によっては何代にも亘って信頼関係を保ってきた。
※本紙社主による連載「地方百貨店の時代」7月15日号及び9月1日号、10月1日号など、何度も外商の重要性を伝えているので、購読者諸氏には是非こちらもご参照いただきたい。

 デパート外商は、ラグジュアリーブランドや呉服・宝飾・美術などの高級商材だけでなく、日常の衣食住に至るまで、至れり尽くせりで富裕層の生活をサポートして来た。欧米のラグジュアリーブランドの間でも、 日本の百貨店の「GAISHO」の名前は認知されていると聞く。

 今後は、従来のシニアを中心とした富裕層だけでなく、「ニューリッチ」と呼ばれる30〜50代の新しい富裕層に向けて、デジタルなどを駆使した新しい外商ビジネスを築こうと、各社は知恵を絞っている。百貨店のネットワークと総合力を用いて、衣食住から遊び、教養までワンストップでさまざまなコンテンツを提供する。現時点でこの分野は百貨店の独壇場と言って良い。前述したJFRの「コネスリーニュ」が良い例だろう。

復活の兆し

 最後に、最新の大手百貨店各社の売上状況(速報値)を確認しよう。大手百貨店の10月売上高は、全社が前年水準を上回っている。

10月の売上前年比

三越伊勢丹  9・5%
髙島屋    5・8%
大丸松坂屋  6・9%
そごう・西武 0・2%
阪急阪神   3・8%

大手百貨店の10月売上高(既存店ベース)は全社が前年同月実績を上回った。緊急事態宣言の全面解除で入店客数が上向き、8、9月に比べて大きく改善した。月後半からの気温低下とともに、コートなど防寒衣料が動いた。ただ、売上げの伸びは1ケタ台の小幅にとどまっており、消費回復と言うには程遠い。

三越伊勢丹

 伊勢丹新宿本店が13%増、三越日本橋本店が7%増、三越銀座店が11%増だった。ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品が引き続き好調だったことに加え、ブルゾン、コート、ブーツなど冬物の実需品が売り上げを伸ばした。「外出が増えたことで衣料品や雑貨などを買い求める動きが活発だった」という。

髙島屋

 日本橋店、新宿店が2ケタ増となり、大型店が軒並み前年を上回った。特選衣料雑貨が20%増、美術品が2倍で、高額品が伸びた。低迷が続いていた衣料品は婦人服が4%、紳士服が1%増え、婦人のコートやドレス、紳士のスーツ、ワイシャツ、ネクタイの動きが良かった。「食事会や発表会、お受験などハレの場に向けた需要が上向いた」という。

そごう・西武

 西武池袋本店が5%増で「ブライダル関連のドレスやジャケットなどが良かった」という。

 但し、基幹店である池袋西武(5%増)以外の店舗は、他の大手百貨店と比べて、ほとんど回復していないことは、そごう・西武全体の10月の伸び率が0・2%という数字から明らかである。誰も、そごう・西武一人負けの状況には触れていない。

阪急阪神

 阪急うめだ本店は8%増だった。コロナ前の19年比でも増収を確保した。19年10月に消費増税の反動減があった影響で、18年10月と比べると1割減だった。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことから 「目的買い、まとめ買いが目立った」という。

富裕層一択の是非

 アベノミクスにより増加したと言われる「富裕層」。くどい様だが大事なコトなので繰り返す。2極化で増えた新たな富裕層よりも、減少した「中間層」の方が、はるかに多いのだ。元来はデパートの上顧客であったアッパーミドル層が「貧困化」により激減したのだ。

 大手百貨店は、その生き残りをかけ、富裕層市場に経営資源を集中している。さて、我らが地方百貨店はどうすれば良いのだろうか。答えは一つではないだろう。

 繰り返しが多くて恐縮だが、小売業は国の政策の影響を受けやすい。今、大手百貨店は「貧乏人じゃ商売にならないから、金持ちだけ相手にしよう」という施策を「富裕層シフト」と呼んでいるのだ。もちろん「商売」であるから、それを「軽率」と咎めることは差し控えたい。だが、果たしてそれで良いのだろうか。本紙も共に考えて行く。

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