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デパートのルネッサンスはどこにある? 2021年03月15日号-21

JFRが発表した津田沼パルコ、新所沢パルコの閉店について

 2月24日午後、J.フロントリテイリング株式会社は、代表執行役である好本社長名で、「株式会社パルコ 津田沼・新所沢パルコの営業終了に関するお知らせ」を発表した。
以下転載する

 当社の連結子会社である株式会社パルコは、以下の通り津田沼パルコ、新所沢パルコの営業終了を決定しましたので、お知らせいたします。

     記
1.グループ経営構造改革
〈中略〉
 こうしたなか限られた経営資源を成長分野に再配分し、持続的な成長実現につなげていくため、津田沼パルコおよび新所沢パルコの営業終了を決定しました。
 子会社であるパルコ2店舗の閉店を発表し、以下続けて理由を述べている。
2.営業終了の判断に至った経緯・理由
(1)津田沼パルコ
津田沼パルコは1977年7月に開業して以来、地域の皆様からのご支援をいただきながら、津田沼駅前に立地する商業施設として43年に亘り営業してまいりました。
 この間、新たに津田沼駅周辺および郊外、総武線沿線等での開発が進行し、競合店の開業・増床リニューアルが続くなか、同店は地域マーケットに対応した改装や営業力の強化、運営手法の効率化などに取り組んでまいりましたが、近年では減損損失を計上するなど厳しい事業環境にあります。
 現状は地域の多くのお客様に支えていただいておりますが、今後におきましても津田沼駅周辺の再開発などが計画されており、店舗を取り巻くこれらの商環境の変化などを勘案した結果、建物賃貸借契約の満了時期をふまえ、2023年2月末をもって営業終了することを決定いたしました。

(2)新所沢パルコ
新所沢パルコは1983年6月に開業して以来、地域の皆様からのご支援をいただきながら、新所沢駅前に立地する商業施設として37年に亘り営業してまいりました。
 この間、同店は地域のマーケット変化に対応した大型専門店の導入や営業力の強化、運営手法の効率化などに取り組んでまいりましたが、近年は所沢駅周辺および郊外において競合店の開業・増床リニューアルなどが進行し、今後におきましても所沢駅周辺での大規模開発も予定されています。
 現状は地域の多くのお客様に支えていただいておりますが、今後の店舗を取り巻く商環境の変化および開業後40年を経過する2024年3月以降に予想される設備関連の投資負担などを勘案した結果、2024年2月末をもって同店の営業を終了することを決定いたしました。

以上がJ.フロントリテイリング(以下JFR)の発表である。
これを受けて業界紙である繊研新聞の同日16時更新の記事。

 パルコは津田沼パルコ(千葉県船橋市)と新所沢パルコ(埼玉県所沢市)を閉館することを決めた。津田沼パルコは23年2月28日、新所沢パルコは24年2月29日に営業を終了する予定。同社はここ数年、地方や郊外の複数の施設を閉鎖し、経営資源を都市部の主力施設や新施設に集中する戦略を加速している。2施設の閉鎖もその一環。いずれも、開業から約40年経ち、施設が老朽化していることに加え、周辺の再開発などによって競合が激化していた。

 津田沼パルコは77年に開業、店舗面積は約4万8000平方メートルで、19年度(20年2月期)のテナント売上高は119億9400万円。

新所沢パルコは83年に開業店舗面積は約3万9000平方メートルで、19年度のテナント売上高は100億7100万円だった。

閉店の理由は

 第一報だからか、意外とあっさりした記事だ。大手百貨店の一角である大丸松坂屋の本体ではなく、昨年完全子会社化した「傘下の企業の閉店情報」にすぎないから、かもしれない。

 閉店理由は、親会社であるJFRの中期計画に基づく、
①経営資源の集中
②当該施設の老朽化
③周辺エリアの再開発=マーケット内競合激化
という至極もっともな項目がならんでいる。

 パルコが、津田沼店を2年後に、新所沢店を3年後に閉店することを、親会社もパルコ自体も正式に表明した後だが、筆者にはちょっとした違和感がある。
状況を整理する。

 本紙では常に、三越伊勢丹、髙島屋、大丸松坂屋の3大百貨店グループの状況を伝え続けている。
 2020年12月15日号の当コラム「百貨店よ、どこへ行く」では、奇しくも髙島屋と大丸松坂屋が、揃って「脱百貨店」の意志を表明している。髙島屋曰く「百貨店はテナントの一つに」そして「東神開発がグループの軸」だと続けている。一方J.フロントは「百貨店ごっこやめた」「自社売り場をテナントに」と、テナント化=パルコ化を掲げている。三越伊勢丹が、デベロッパー事業をあくまで内製化しているのに対し、髙島屋と大丸松坂屋は、東神開発とパルコという、各々の不動産=ショッピングセンターを担う子会社を、グループの主軸に据える、と表明したのだ。

 もちろん、だからこそパルコとしては、店舗のスクラップ&ビルド(取捨選択)を進めなくてはならないのかもしれないが。

 JFRにとって、パルコ事業に軸足を移し始めた矢先の、2店舗閉店のニュースは、コロナ禍という異常事態も含めて、「すべて予定通り」なのか、一抹の不安を抱くのは、筆者だけだろうか。

5年で4店+2店

 今回閉店を決定した2店舗は、いずれも年間売上が100億を上回っており、郊外型SCの標準的な売上としては、及第点の水準と言える。また、パルコ18店舗の中で、今現在、両店の売上を下回る店舗は1店舗や 2店舗ではない。

 パルコはこの5年間で、千葉、宇都宮、大津、熊本の4店舗の営業を終了しているが、いずれの店舗の年商も最終的には30~50億台まで落ち込んでいた。更に、直近に閉店した4店舗は、早くても閉店の1年前に「閉店告知」をしており、今回の様に2年3年前に情報を開示するのは「極めて異例」の対応と、言わざるを得ない。

 昨年の丁度今頃、パルコはJFRグループの完全子会社となった。今回の発表は、パルコにとっては上場廃止後初の店舗閉店となる。親会社の意向=経営資源の再配分?が大きく働いている、と考えるのは穿ち過ぎなのだろうか。

 因みに、2016年11月に閉店した千葉パルコの跡地は、31階建てのタワーマンションになるという。竣工予定は2023年の3月であり、奇しくも、2年後のその時点で、千葉県からパルコは一掃される形となる。

 一方、去年2月に閉店した熊本パルコは、同じく2023年に、上層階に大手ホテルチェーンが入居する、複合ビルの建設が進んでいる。

 そんな中、宇都宮パルコ跡だけは、閉店から2年近く経過するも、後継が決まらない状況だ。この様に跡地利用未定のまま撤退を決めるのは、決して稀な例ではない。

新陳代謝と淘汰

 街の賑わいの一翼を担っていた商業施設が、マンションやホテルに取って代わられる、という事案は多く、全国の地方百貨店跡でも、同様の案件が散見される。尚、このテーマは、昨年2月に掲載した、山形の大沼デパートの破綻を皮切りに、本紙は何度も取り上げている。

 都心、地方、郊外を問わず、不振に陥った百貨店、商業施設は撤退を余儀なくされる。それは小売を生業とし、顧客を相手に商売をする者の宿命である。過疎化の進行による客数の減少、オーバーストアによる競合負け、ビルの陳腐化、老朽化は、ある意味仕方がないという側面もある。人間の身体と同じく、商売でも新陳代謝は必要だからだ。そして、人類の進化同様、熾烈な生存競争の果てに、淘汰されてしまうリスクは、常につきまとう。

低迷する大都市圏

 コロナ第3波による新規感染者の急増を受け、2021年1月8日から、日本は再び緊急事態宣言下に置かれた。この1月の都心大手百貨店(特に大丸松坂屋)の売上前年比マイナスについては、前号(3月1日号)に 詳しく掲載した。百貨店以外でも、新宿ルミネや池袋パルコといった、いわゆる駅立地のSCは、40%以上の売上マイナスを記録していることも記した。

 それと比較するため、今回は月間売上が10億以上の都心立地パルコ上位4店舗の1~2月の前年比を見てみよう。※2019年末にリニューアルオープンした渋谷店は、前年値がイレギュラーなため除外した。

1月2月
池袋54.2%58.0%
名古屋60.5%73.9%
仙台65.9%73.0%
福岡60.4%71.8%
津田沼79.0%80.9%
新所沢89.5%88.9%
パルコ 前年比

 ざっくりとした推移で言うと、地方の大都市は緊急事態宣言が解除される前であっても、1月の60%(▲40%)に対し、2月は70%台( ▲30%) へと、およそ10ポイント弱、数値が改善している。一都三県と違い、地 方都市ほど、新規感染者数の減少を、実感しているのだろう。

 もう一つは、首都圏の基幹店である池袋店が、50%台(▲40%強)と低迷しているのに対し、準郊外立地の津田沼店の前年比は80%(▲20%)、ターミナル駅でさえない新所沢に至っては90%弱(▲10% ) と大健闘している、ということだ。

 因みに2月の全館売上は、津田沼店が約7億、新所沢店は約6億だった。

 繰り返しになるが、直近の「都心低迷VS郊外堅調」の流れからは、今回の2店舗の閉店理由は容易には計り知れない。すくなくとも、疲弊した地方百貨店の閉店とは、いささか異なる原理が働いていることは伺えるが。

閑話休題

 JFRの発表から2週間近く経ったが、関連のニュースがネットに上がっていた。『「パルコ2店舗の閉店」から考える、これからの買い物のしかた』というタイトルだ。

 記事は、「両店舗の閉店の原因はネット通販だ」、と結論づけている。

 台頭するネット通販が、コロナ禍を追い風にして、ますます隆盛を極め、コンビニやスーパー以外の小売は、すべて、淘汰されてしまうだろう、という内容だ。

 この手の記事だったか。読んだ時間が無駄になってしまったな、というのが、率直な感想だ。百歩譲って、今ECやネット通販が少なからず、リアル店舗=対面販売のシェアを脅かしている事は、だれも否定しないし、出来ない。これは認めるが、いくつもある様々な要因の内の一つを、ことさら主要因の様に扱うのは、単純に「違う」と思う。この記事の筆者は、自分の意見を言いたいために、閉店する百貨店やSCの売上不振の原因をすべてECのせいにしている。こういう論調は「一般化のワナ」と呼ぶそうだ。

 更に、この記事を読んだ人のコメントに「パルコなのに、無印やユニクロ、GUどころかニトリやしまむらが出店していて、これじゃあイオンと変わらない」という「ご批判」も載っていた。先ずはイオンに謝罪して欲 しいし、上記のテナントが出店しているからイオンと同じで「つまらない」どころか「パルコじゃない」というのであれば、今のパルコはほぼ全店、「パルコらしくない」コトになってしまう。
40代以上の「パルコファン」の方に良く見られるご意見だ。この話は長くなるので、また別の機会に述べたいと思う。

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