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デパートのルネッサンスはどこにある? 2022年01月15日号-41

都内百貨店「初売り」2年ぶりにぎわい

 大変久方ぶりではあるが、新年なのでちょっとだけ明るいニュースからスタートしよう。

伊勢丹新宿本店では開店前に前年の2倍の客列

 都内百貨店の初売りは、そごう・西武が1日、三越伊勢丹や高島屋などが2日から始まった。全館クリアランスセールが一斉にスタートし、コロナ下で前年は控えていた集客イベントなどが再開され、2年ぶりににぎわいを取り戻した。年末商戦でも伊勢丹新宿本店がインバウンド売上を含めた19年度実績を上回ったという、細谷三越伊勢丹社長のコメントが発表された。年末の12月中旬から、売上回復の流れが年明けにも波及した格好だ。

 伊勢丹新宿本店は、開店前に前年比2 倍の6500人が並び、初売りとクリアランスセールの一斉スタートで入店客が増えた。入店客数は西武池袋本店が6割増、三越日本橋本店、高島屋日本橋店は2~3割増と、まだら模様ながら、全体としてプラスに転じている。

 オミクロン株への置き換えが進行しつつも、新型コロナウイルス感染者数の絶対数は落ち着いたため、「家族連れでの来店で買い物を楽しむお客様が増えており、消費マインドの回復傾向が見られた」と、一時的に抑制されてきた反動がリベンジ需要を生んだ。

 銀座三越では、店頭売上は4~6割増だったものの、(販売が密になる)福袋のECへの転換を、前年の5割から7割にシフトしたことで、婦人衣料・雑貨、食品、リビング雑貨などの福袋は午前中でほぼ完売した、という。

 外出の機会が増え、加えて気温低下により防寒アイテムの売れ行きが良かった。婦人服はコート、セーターなどの動きが良く、「セール、プロパーにかかわらず欲しいアイテムを求めた結果プロパーが伸びた:新宿伊勢丹」「10万円以上のコートが動いた:池袋西武」という。同様に紳士服はビジネスアイテムが好調で、通勤用のコートをはじめ、ワイシャツや肌着のまとめ買いが目立った。雑貨類は「インターナショナルブティック、婦人靴、寝具、トラベル用品が1・5~2倍で目標値を上回った:新宿小田急」という。特に新宿伊勢丹では、全館のプロパー売上げが5割増となり、セールの伸び率を上回った、という。オミクロンショック

 そんな、大手百貨店の順調な滑り出しも、残念ながら長くは続かないかもしれない。

 東京都1月8日の新型コロナ1224人感染確認久々の朗報である「初売り好調の百貨店」に水を差すニュースが忍び寄っていた。都心や沖縄でのコロナの新規感染者数が、正月三が日明けから徐々に増加しているのだ。

 1月5日には、遂に「沖縄の新規感染者600人超」というネットニュースが飛び込んで来た。収束慣れしつつあった我々には、ちょっとした衝撃だ。昨年の今頃の再拡大を思い出し、暗澹たる気持ちになった。オミクロン株による市中感染増を防ぐことはもはや不可能なのではと、去年の正月のデジャブ(既視感) を、切実に感じる。

■沖縄の感染者数
5日623人
6日981人
7日1414人
8日1759人

■東京の感染者数
5日390人
6日641人
7日922人
8日1224人

 シロウト意見で恐縮だが、ざっくり言うと2日で2倍に増えている様に見える。

 全国でも同様だ
5日2635人
6日4472人
7日6208人
8日8480人

 沖縄の第6波が、対岸の火事ではないことは、東京の感染者数の増加を見れば明らかだ。

 東京都内の8日の感染確認は1224人となり、もはや「感染の急拡大」を否定出来ない状況となった。都内の一日の感染確認が1000人を超えるのは、去年9月15日以来。79人だった1週間前の土曜日の15倍、 641人だった6日の2倍に増加しており、感染は急拡大している。8日までの7 日間平均は5 0 0 人を超えて502・1人となり、前の週の8倍を超える増加。

 8日に感染が確認された1224人のうち、42%にあたる517人が20代、21%にあたる261人が30代で、20代と30代で全体の6割余りを占めた。また、46%にあたる565人はワクチンを2回接種しており、いわゆるブレークスルー感染となる。

 2度とコロナ感染者数を記事として取り上げたくない、と願っていた筆者だが、やはり叶わぬ夢となってしまった。去年の10月から12月までの3ヶ月間だけが、猛威を振るったデルタ株が収束し、オミクロン株に置き変わる間の「短い春」であったのかもしれない。東京都の感染状況について、小池知事は8日夜、記者団に対し「驚異的な感染拡大が続いている。オミクロン株の疑いがある患者が推計で7割を超えて、急速に置き換わりが進んでいる。コロナを取り巻く景色は昨年末に比べてあっという間に変わった」と述べた。

 そのうえで「医療提供体制のひっ迫もさることながら、社会全体が動かなくなれば大変なことになる。『エッセンシャルワーカー』を抱える組織には、ワクチン接種を進めるとともに、事業の継続計画をいまから立ててほしい。それ以前に、感染しないさせない、を徹底してほしい」と呼びかけた。

 オミクロン株の割合は8~9割という報告もあり、正に「オミクロンショック」とでも呼ぶべき状況だ。成人式やスポーツ・エンタメだけでな第41回く、飲食店や観光、そしてもちろん百貨店への再びのマイナス影響が、大いに懸念される。

 ワクチンのブースター( 3回目) 接種については、前回同様、医療従事者や65歳以上のお年寄りから「前倒し」でスタートする、としているものの、肝心のワクチンの在庫が(ファイザーもモデルナも)少なく、政府の「掛け声」に対して、各自治体のコロナ担当者は右往左往しているのが実態の様だ。前政権のコロナ対応への後手後手批判を思い出す。ことコロナに対しては、事前の対策はほぼ無意味なのであろうか。今回も、マスコミが警告を発する間もないうちに、いつの間にか感染が広がってしまう、というイメージだ。

 但し、感染力がデルタ株の3倍と言われるオミクロン株ではあるが、一つの救いは重症化率が低いことだ。当然死亡率も低く、昨年8月のデルタ株による第5波の時の様な、病床逼迫→自宅療養→急変も入院できずに死亡という「悪夢」だけは今のところ回避できそうだ。

 もう一つ気がかりなのは、比較的若年層の感染割合が高く、アメリカでもそうだが、ワクチンの義務化が進んでいない12歳未満の子供への感染だ。

 新型コロナ対策をめぐっては、沖縄、山口、広島の3県に9日からまん延防止等重点措置が適用された。政府は、3県と連携しながら飲食店の営業時間短縮などの対策を徹底するとともに、医療提供体制の確保に万全を期したい、としている。「まん延防止等重点措置」と聞けば、次は再び(いや4度目か)「緊急事態宣言」の発出か、と誰もが身構えてしまう。冒頭の「初売り好調の百貨店」という明るいニュースも2020年正月の「あだ花」となってしまうのであろうか。

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