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デパートのルネッサンスはどこにある? 2020年12月01日号-14

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都心百貨店の現況 〈3大デパート他〉

先ず、大手百貨店3社の10月売上前年比を見て行こう。

三越伊勢丹▲1・7%
髙島屋+2・7%
大丸松坂屋▲6・1%
(数値はすべて既存店ベース)

 尚、アイテム別詳細については、一面記事を参照いただきたい。 

 3社の内、高島屋のみ前年同月実績を上回った。前年の消費増税による買い控え反動に加えて、高額品が堅調だったと言う。他の2社、三越伊勢丹、大丸松坂屋も前月に比べて減収幅が縮小した。

 三越伊勢丹は三越銀座店を除いて増収に転じた。伊勢丹新宿本店は2・7%増となり、三越日本橋本店は3・4%増となった。但し、三越銀座店は26・9%減で、インバウンド需要の落ち込みが響いた。全店的に、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など高額品が上向いて来た。 高島屋は二子玉川店、日本橋店、立川店といった店舗名にSCの付く3店舗が2ケタ増となった。三越伊勢丹同様、特選衣料雑貨、宝飾品、リビングが前年を上回った。

 大丸松坂屋は大丸神戸店、松坂屋名古屋店が2ケタ増で、ラグジュアリーブランドが20%増、美術・呉服・宝飾が40%増だった。

 大手3社以外でも、そごう西武は西武池袋本店が4%増を確保したほか、時計・宝飾品など高級雑貨が80%増となり、髙島屋同様前年比6・3%とプラスに転じた。

 一方、阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店全体では1・1%減も、ラグジュアリーブランドが2ケタ増、時計が2倍となり、高額品が全体を牽引した。

 但し、こちらもインバウンドマイナスをカバーするには至らず、前年比で2・8%マイナスに止まった。

 新型コロナウイルスの影響で、外出を控える傾向は都心であるほど強く、入店客数は30~40%マイナスと低迷したままだ。各社とも、特選衣料雑貨が堅調だった一方、ナショナルブランドを中心とする衣料品や、デイリー要素の強い服飾雑貨は10%マイナスだった。髙島屋とそごう西武も増収を確保したとは言っても、前々年と比べて2ケタ減を強いられており、「消費の回復」という実感には、程遠い状況だ。

 もちろんこれは10月のデータであり、続く11月12月も緩やかな回復傾向が続くという保証はどこにもない。

 現に、11月下旬からコロナの新規感染者数は不気味なほど増加しており、メディアでは明確に「第三波」の襲来だと断じている。

コロナ第三波襲来〈東京、札幌、大阪〉

東京の新規感染者

18日 493人
19日 534人
20日 522人
21日 539人

全国の感染者数

18日 2200人
19日 2390人
20日 2426人
21日 2595人
 
11月下旬に、東京都でコロナの新規感染者が500人を超え、全国では2000人規模まで拡大した。加えて、19日北海道で300人、20日大阪府で400人と、それぞれ過去最多記録を更新している。連日の最多人数更新のニュースにより、我々は「しばらく忘れていた」コロナの脅威を、否応なく再認識した。いや、正確には忘れていたのではなく、努めて「忘れようとしていた」のだ。9月10月は映画館やスポーツ観戦等の人数制限が緩和され、ウィズコロナという呪文を唱えて、騙しだまし、日常生活を取り戻そうとしてきたのだ。
更に、政府によるGoToキャンペーンが進み、観光地にも、そして都心の百貨店にも、着実に人出が戻って来つつあった。百貨店の入口では、引き続き検温とアルコール消毒は行われていても、ニューノーマルではなく、従来の日常が戻って来た様な錯覚に、陥っていたのかもしれない。
10月の中旬までは。

 そして、GoToトラベルに続き、GoToイートキャンペーンがスタートした。政府の「感染予防をしながら経済を回す」という今までのスタンスを当然踏襲している。政府分科会の尾身会長は、ニューノーマルならぬ新しい食事の作法 を、ニュース番組で披露している。曰く「左手でマスクを外し、食べ物を口に入れ、会話をせずにマスクを戻す」。開いた口が塞がらない、とはこのことだ。我々は一体どんな映像を見せられているのか。政府の感染予防のトップである科学者が、全国民に向けて、マスクを外して、食べて、またマスクを付ける、という「会食マナー」をレクチャーしているのだ。

#静かなマスク会食 〈Where to go〉

19日には菅総理が「静かなマスク会食」を提唱し、20日には田村厚労相が「会食はフェイスシールドを付けて」と追い打ちをかける。誰も「今は危ないから会食は控えて」という、ごく普通の提言はしない。GoToイートとは誰もが忖度を強いられるほど、重要な施策なのか。百歩譲って、苦境にある飲食店に対する配慮だとしても、多忙を極める医療従事者には、会食の余裕など微塵もない。

 極め付きは西村大臣の「神のみぞ知る」発言だ。いろいろ対策をしても、感染者が減るかどうかは判らない、ということだ。彼らは、日本国民にどうして欲しいのか。
感染者が増えても「国民がルールを守らなかったから」とでも言うつもりなのだろうか。

 小池都知事は同じ内容だが、もう少し工夫して会食の「5つの小」を提唱している。「3密」程ではないが、アピールとしては納得性が高い。

 最後に都知事の百合子さんではなく、女優のゆり子さんのインスタグラムを紹介する。

綺麗だったなぁ。
日頃の疲れが飛んでいったなぁ。
それにしても、
静かなマスク会食…という
言葉に
少なからずの
ショックを受けたのは
私だけではないだろうなぁ。
そんなことをするくらなら
そんな会食行きたくないなぁと
わたしなら思ってしまいます。
みなさん実践されてるのですか。
マスクしながらの
会食って…
そんなことするくらいなら
黙って食べます!
#静かなマスク会食

石田ゆり子 instagram

 因みに彼女のインスタのフォロワーは、全国で248万人いる。
21日になってやっと菅首相が「Gotoの見直し」に言及した。分科会の提言に渋々従った形だ。まぁ、政府批判をしても、感染者数は減らないし、百貨店の売上も戻っては来ない。少し冷静になって話を進めよう。

ファッションの現況 〈地方・郊外との格差〉

 10月の既存店ベースのファッション概況は、前述の様に、前年の消費増税反動で、増収に転じた店舗が相次いだ。百貨店はラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など高額品が売上げを伸ばした。一方専門店は、気温の低下とともに秋物が売れ、セールの抑制により客単価も上向いた。但し、7月以降一貫して、都心と地方・郊外では明暗を分けたままである。このことは本紙8月合併号で伝えたが、状況は今も変わっていない。都心部を避け、自宅に近い近 隣で買い物をする傾向が強く表れた形だ。

 冒頭で申し上げた様に、百貨店では高額品が全体を牽引し、都心店舗でも前月に比べ減少幅は縮まり、客単価の上昇が客数減を相殺する形となって来た。入店客数自体は徐々に回復しつつあるが、まだ前年の70%台だ。

 前述の三越銀座店に加え、同様にインバウンド需要が大きかった大丸心斎橋店、高島屋大阪店といった大手百貨店の旗艦店は、軒並み2ケタ減を継続している。一方で、地方・郊外店は高島屋二子玉川及び立川店だけでなく、大丸神戸店、松坂屋名古屋店などが、2ケタ増を確保した。

小売のニューノーマル 〈進化論と必然〉

 百貨店では季節商品の稼働よりも、高額品が全体を牽引、という構造だ。とりあえず10月は一筋希望の光が差した。

 だが、コロナ第三波は百貨店を取り巻く小売り環境を、半年前に逆戻りさせそうだ。であれば、もはや誰にとっても、以前の日常は帰って来ない。コロナによるニューノーマルは、新しい日常=常識を現出させ、百貨店という旧態依然の「小売=商売」をも、否応なく改変して行くからだ。顧客が変わったら、当然売り手も変わらざるを得ない。それが、商売の必然だからだ。

 都心の大手デパートでも、地方百貨店であっても、その変化の波は平等に押し寄せる。そして、不思議なことに常に「強者」が生き残るとは限らないのだ。百貨店はニューノーマルに「適応」出来るのだろうか。

連載 デパートのルネッサンスはどこにある?

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