復興支援活動に寄与する「選べるガチャガチャランド」が埼玉県に初登場!! - 地方デパートの公益活動支援を掲げ熊谷の八木橋百貨店へ

地方デパート逆襲( カウンターアタック、CA) プロジェクト 全国展開へ < 続報>

 デパート新聞社と松菱百貨店が進めている‶ 地方デパート逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクト″は、全国の地方デパートに波及し始めている。

 「選べるガチャガチャランド」7月16日からスタートした鳥取県のJU米子髙島屋を皮切りに、7月30日からは姫路市の山陽百貨店と、相次いで開催された。特にJU米子髙島屋は当初の8月17日までの会期を8月末まで延長し、異例の一か月半催事となった。

 そして今回の八木橋百貨店は、満を持しての北関東初開催であり、もちろん埼玉県への初上陸となる。

 もう一つのトピックは、今回の八木橋での催事は、来年の3月までという初のロングラン開催であるという事だ。長期開催を実施する八木橋のチャレンジを、当然デパート新聞も精一杯サポートしたいと思っている。

 さて、「選べるガチャガチャ」とは何か、というところから始めよう。その名の通り通常の回転式のガチャガチャマシンを使わない事はお判りだろう。剥き出しのカプセルトイをアイテム毎に数百のカゴの中に入れた状態で、顧客が気に入ったカプセルトイを手に取って選ぶことが出来る、カプセルトイの新しい販売方法である。

 因みに、今回八木橋百貨店2階の約40坪のイベントスペースのために、600種類、16000個以上のカプセルトイを準備しているのだ。
※ 単価は1 0 0 円~5 0 0 円( 中には1000円や1500円の高額ガチャもある)

 本紙購読者であればご存じだと思うが、三重県津市の松菱百貨店では二年前から「選べるガチャガチャランド」の販売を実施しており、近隣顧客だけでなく大阪・愛知・岐阜・滋賀など、他府県からわざわざ来店される様になった。

 彼ら(というより彼女らの方が多いのだが)は、インスタグラムやTikTokといったSNSを見てからの来店率が非常に高く、従来の百貨店顧客とは違ったルートで情報を得ている事が判る。これは八木橋百貨店でも同じかそれ以上であり(なにしろ八木橋には専任のSNS広告の担当者がいるからだが)オープン初日から、まとめ買いをする若い客層が目立った。

 レジ対応の百貨店スタッフも「こんなに学生服のお客様が来たのは、見たことがない」と驚いていたくらいだ。

 八木橋百貨店はこの埼玉県熊谷の地で、創業から128年の老舗百貨店である。立地特性から、海外のラグジュアリーブランドとまではいかないまでも、都心で揃うアフォータブルなブランドはほぼ網羅している。それに加えて八木橋は、若年層を取り込むための新しい試みにも余念がない、ということが今回の「選べるガチャガチャランド」の導入と、SNSの有効活用で判った。
※用語解説:アフォータブルブランドの定義

 アフォータブルブランドは、高級感を保ちながらも、ラグジュアリーブランドに比べると安い価格帯のブランドを指す。これらのブランドは、セオリーなどのウィメンズアパレル業界に代表されるように、手が届きやすい価格帯で高級感を提供するのが特徴。

 そもそも「選べるガチャガチャランド」は、これを運営する公益法人である東日本大震災雇用・教育・健康支援機構(以下、震災機構という)がこの事業の収益金をすべて被災地や児童福祉施設に寄付することを目的に進めている。

 つまり、顧客は間接的に、そして自動的に、被災地支援を行なうことになるのだ。それにより、デパートが地域住民とともに担うべき公益的役割が果されることになるのだ。

 「選べるガチャガチャランド」は地方の活性化を目的にしているので、大都市のデパートでは開催しない。地方デパートにしかないイベントで、大都市からも顧客を呼ぶことが出来るまさに地方デパートの「逆襲」プロジェクトなのだ。

 今回のプロジェクトは「全国の地方デパートにこのプロジェクトの魅力を伝え、地方デパートと地域住民のコミュニケーションを高めて行きたい」という理念を共有する、デパート新聞社社主田中潤と松菱百貨店の川合正常務、そして八木橋百貨店の福島利也取締役本店長の肝いりでスタートすることが出来た。

 結果として、初日から連日200人以上のお客様を集め、滑り出しは順調だ。因みに一客単価は2000~2500円ほどになる。

 筆者もオープニングに立ち合い、品出しや、袋詰めのお手伝いをしたのだが、どのお客様も店舗滞在時間が驚くほど長い。それは前述した様に600種類のカプセルトイが16000個あり、その中から「宝探し」をしているのだから、当然といえば当然なのかもしれない。

 買う楽しみ、保有する充実感だけでなく、欲しいものを探す事自体が、マニアならずとも「至福の時間」である事は容易に想像できるからだ。

 さて、実は2年前の本紙2023年5月15日号に、八木橋百貨店を3面丸々使って取材している。以下再掲載する。

「地域密着型の八木橋百貨店が熊谷市の魅力を発信」

 八木橋百貨店( 埼玉県熊谷市・八木橋宏貴社長)は、2023年2月15日に東日本で初の「Plugs Market(プラグス マーケット)」をオープンした。地域密着型で特徴ある店づくりを進める八木橋百貨店と、地域の魅力を発見、発信、可能性を育むマーケットを創るハンズとのコラボレーションショップ。

出店経緯 (※筆者注:現在は八木橋百貨店の経営戦略主幹を務める宮地豊氏の話)

 当初、ハンズの直営店を導入するよう要請致しましたが、ハンズのほうからハンズMDだけではない、通常のハンズとは違う、地元の逸品を発掘するような売場を持った業態でやらないかと打診がありました。それがまさに「プラグスマーケット」です。

 上層階で展開しようと進めていましたが、途中でコロナ禍になり、当社の主力顧客層である50歳代~70歳代のお客様が洋服を買われる機会が消失し、来店する動機が無くなってしまった。地階食品、1階化粧品、7階催事場での集客は出来ているものの、衣料品での集客が年々減少していきました。そこで、3階の婦人服フロアの半分以上を使い( 約1 4 0 0 ㎡ )、新たな顧客の誘引を図りたいと考え、3階へ導入することにしました。(以上)
https://www.departshinbun.com/archives/11334 (デパート新聞バックナンバー参照)

話しを戻そう。

 八木橋百貨店の総責任者である福島本店長の「熊谷市民に何か新しい発見、楽しみを提供したい」という思いが、今回の長期催事開催につながったのだと筆者は考える。

 だから、フロアの担当者が「上司が新しいイベントを奨励し、一緒に実現できる様に考えてくれる」と誇らしげに語っていた事が印象に残った。そして彼女は、店長からパート社員に至るまで、スタッフ全員が「お客様に楽しんで貰いたい」という思いを共有し「アットホーム」な職場環境だ、とも語ってくれた。

 実は、働くスタッフ自身が、変わる事や、新しい事を好まない「古い体質」の百貨店は、筆者の知っている限りまだまだ多い。そうした内的なマイナス要因に、人口減少やコロナ禍といった外的要因が加わり、立地条件からそもそもインバウンドの恩恵が皆無となれば、特に地方で百貨店の閉店に歯止めがかからない事にも頷うなずける。残念ながら。

 であればこそ、八木橋百貨店の新たなチャレンジに期待したいし、「選べるガチャガチャランド」がその一助になれば幸いに思う。