高殿円先生と三宅香帆先生のスペシャルトークショーを開催 松菱百貨店4階

コミュニケーション書店「食べる本屋さん」

 昨年12月に三重県津市の松菱百貨店にオープンした「食べる本屋さん」、本紙デパート新聞の購読者の皆様には既にお馴染みのことだが、「地域のコミュニケーションの場」として誕生した、まったく新しいタイプの書店だ。

 おかげさまで新聞社やテレビ局からの取材も多く、マスコミ的には「全国的に街中の書店が減っている中でのグッドニュース」として取り上げやすい様だ。

 書店業界の方でなくても、書籍が取とりつぎ次という名前の「問屋」からすべての本を仕入れていることはご存じだと思う。この「食べる本屋さん」は全国の小さな出版社から直接本を仕入れているのだ。言わば知識の「産直野菜」だ。もちろん規格外品も多いが、味が通常物流品に劣るわけではけしてない。その分「食べる本屋さん」は大量に仕入れ大量に返品しないのでロスは少ない。SDGsな書店だとも言えよう。今回はイベント紹介の記事なので、説明はこれくらいにしておきたい。くわしくは本紙2024年12月15日号の一面をご参照いただきたい。「食べる本屋さん」の名前の由来や開業趣旨を判りやすく解説している。

 さて、3月2日のひな祭り前日の午後1時から、松菱百貨店4階の「食べる本屋さん」の店頭に特設会場を設置し、スペシャルトークショーを開催した。

 ファシリテーター(司会進行)は作家・脚本家として「トッカン特別国税徴収官」や「上流階級富久丸百貨店外商部」などのベストセラーで知られる高殿円(たかどのまどか)先生。ゲストは文芸評論家の三宅香帆先生という、まさにスペシャルな対談企画となった。

 三宅先生は、毎週木曜19時からTBS系列で放送している「プレバト」の2月27日放送の俳句コーナーで見事1位となり(なんとこれが2度目の1位)、司会の浜田雅功さんから「特待生」の称号を付与され(ご本人談)、新進の高学歴タレント(京都大学)として売り出し中だ。

 尚、「食べる本屋さん」の店主は、本紙デパート新聞社主の田中潤なのだが、今回は編集長の山田が社主の代わりにイベント進行のお手伝いさせていただいた。早速実況を始めよう。

 高殿、三宅両氏の書籍購入を条件として、トークショーとその後のサイン会に参加いただけるのだが、事前に用意した座席以上のお客様が来場し、急遽ご予約以外の座席を増設した。筆者もパイプ椅子を運んだ。結果として着席50名+立ち見客20名の計70名の参加となり、あまり広いとは言えない「食べる本屋さん」は両氏のファンで埋め尽くされた。

 尚、意外に年配男性の比率が高く、両氏のファン層の広さを実感することとなった。

 筆者は、熱心なファンの方が開演1時間前の12時に来場されたのには驚いた。最前列を確保して、少しでも間近で話を聞きたいというファン心理の現れなのだろう。

 実際のトークは、高殿先生の新刊「私の実家が売れません」や、個人出版した「98万円で温泉の出る築75年の家を買った」という熱海に温泉付き古民家を購入した時の爆笑話を皮切りに、三宅先生の「人生を狂わす名著50」や「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の解説から、読書の面白さを語り尽くしていただいた。「食べる本屋さん」のコンセプトをなぞる様な、読書好きには至福の時間が流れ、あっという間に予定時間が尽きてしまった。

 その後のサイン会も、お二人が気軽に写真撮影に応じてくれたため、楽しく和やかに、著者と読者の交流が続いた。ファンの皆様も大満足で帰途につかれた。

 トークショーとサイン会の間に、デパート新聞田中社主の新刊「資本主義からの脱出」や拙著「セブン&アイはなぜ池袋西武を売ってしまったのだろう?」の宣伝もついでにさせていただいたことを付記しておく。

 最後に3月15日に開催予定の「津高生による本の交流会」(ビブリオバトルのミニチュア版)の告知もさせていただいた。
こちらは店主田中が司会を務める予定なので、ご期待いただきたい。
老いも若きも関係なく、本好きは「コミュニケーション本屋」の楽しみを既に見つけている様だ。
本紙のこうした地方デパート逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクトの戦略が、百貨店と書店という絶滅危惧種を守る取り組みに繋がることを祈っている。いや、祈るだけでは駄目だ、地域と連携し、そのエリアの「カルチャー」を守ることを実践していく事を約束する。
ご期待、いや応援、いやいや是非参加して欲しい。一緒に文化を守って行きましょう。

デパート新聞編集長 山田悟