地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト そのその45 CA プロジェクトの松菱百貨店での(その1)

松菱百貨店でプロジェクトスタート

 令和5年春に松菱百貨店でスタートしたCAプロジェクトは、令和7年を迎え、いよいよ具体的な形をもって進んでいます。
CAプロジェクトは、地方デパートがそのデパートだけの魅力、つまりオリジナリティをもった店づくりをしていこうという戦略であり、目指すところは地域のランドマークとしてそこに住む方々のコミュニケーションの場になっていこうというものです。
デパートの利益だけを優先させるのではなく顧客に対して思いやりを持って接し、デパートを訪れた誰もに小さな幸せを体感してもらうことを目標としています。こうした公益事業としての取組みが実現すれば、必ずデパートは不特定多数の方々と相扶ける関係となり、将来も地域に不可欠な存在として存続をしていくことになるはずです。
本号からこれまでの取組みの実施状況をお伝えします。

7階特設会場のつながるデパートカーニバル

 さて、地域のコミュニケーションを抜本的に変えていこうという理念を掲げ、スタートしたCAプロジェクトは、令和5年7月から松菱7階の特設会場において、羽生結弦選手の復興支援ポスター展を開催いたしました。被災地を元気づけるという視点で、西日本地域の方々にコミュニケーションの輪を拡げる取組みです。SNSも活用し、NHK・読売新聞社などのメディアも報道をしてくれたことで、関西の幅広い地域から来場者が訪れ、未だ再建途上の東日本大震災の被災地の現状について意見交換がなされました。

 主催者の一般社団法人東日本大震災雇用・教育・健康支援機構が、岩手県大槌町で地元からの事業創生として運営する焼き立てパンの店「モーモーハウス」のフレンチせんべい、モーモーラスクなどオリジナルの焼き菓子も頒布され、人気を得ることができました。こうした地域を結びつける取組みとして、“つながるデパートカーニバル”という名の下に7階でのコミュニケーション活動は続いていくことになります。10月にはタレントの出川哲朗さんの実家の横浜の老舗海苔店「蔦金商店」と千葉県銚子市の電鉄会社「銚子電鉄」のコラボレーションで「やばいよやばいよ銚子電鉄」という地域の事業者同士によるイベントを開催しました。蔦金商店の海苔は、料亭や寿司店などで広く使われています。様々な風味の海苔と銚子電鉄のぬれ煎餅、まずい棒など自慢の商品は多くの顧客の関心を誘いました。

 単に物販に止まらず、ジオラマを設置して運転してもらったり、銚子電鉄の様々な沿線の映像を流しました。銚子電鉄竹本勝紀社長は軽妙な語り口で「潰れそうな会社が生き延びる」経営術を講演し、大爆笑が続きました。また、改札口を設置しての切符切り体験など様々な楽しいイベントを行いました。特に、ぬれ煎餅を焼いて海苔を巻いて食べるという両社の商品がコラボレーションした参加者実演イベントは、お子さんを中心に多くの体験者の「ワクワク・ドキドキ」を誘いました。20 日間会期のつながるデパートカーニバルは、地域の新たな顧客も動員し賑やかに終了しました。