つながるデパートカーニバル 第一弾 銚子電鉄竹本勝紀社長トークショー開催

令和5年10月18日松菱百貨店7F特設会場

 津松菱百貨店7階で開催されているつながるデパートカーニバル第一弾「やばいよやばいよ銚子電鉄」は、連日「海苔会社と電鉄会社」のコラボレーションに関心を持った多くの来場者を集めているが、10月18日には銚子電鉄竹本勝紀社長を招いてのトークショーが行なわれた。1時間を超える講演は、時間の経つのも忘れさせられる興味深いエピソードの連続であった。

 まず、銚子電鉄がどん底から何度もはい上がってきたことの具体的描写に圧倒させられた。万年赤字路線の会社が、起死回生を図った「ぬれ煎餅」販売の大成功。利益を一気に吐き出すことになる元社長の1億円を超える横領。東日本大震災の甚大な被害、その後の大規模な線路の修復工事。絶体絶命の中で、修繕費を「助けて欲しい」と求めた―社員のメールでの叫びに応えた全国からの奇跡の支援。このドラマチックで生々しい大逆転劇に聴講の方々は引き込まれ、涙する人も見られた。

 竹本社長は、経済学が得意な税理士で現在も多くのクライアントを抱え、会計事務所を切り盛りしている。近年は、相続税の案件も増え、自ら申告実務に携わる。税の専門家である竹本社長の見立てでは、道路の整備は揮発油税で無償で賄われるが、鉄路は鉄道会社が自らの負担で保全していかなければならない。目的税として少しでも鉄路への補助があれば廃線の続く日本の鉄道も踏み止まることは可能であるという。鉄道会社が収支で苦しむのは、単に利用者数の減少ではなく、安全基準を守るために負担し続ける保全費用なのであるということを教えられた。

 一方、竹本社長は運転免許を持ち、運転手として月に何本か電車の運行も行なうなど現場に関わっているから、監督官庁との対峠の仕方も堂に入っている。「弱小私鉄」と上から目線の国交省幹部に対し得意の統計学の数値を示し、泡を吹かせたこともあったとか…。

 さて、銚子電鉄の最大の魅力は、自虐ネタを徹底的に明るく愉快に言い切るところである。いくつかの商品の例を示したい。

  • タイタニック → 鯛パニック 
  • サバイバルカレー → 鯖威張るカレー 
  • うんこドリル → 安全運航ドリル
  • 上り銚子(行) → 上り銚子本銚子
  • うまい棒 → まずい棒
  • わっ紅茶だ → 和紅茶

 トークショーの後は、会場内で更に会話を求める顧客と竹本社長の熱のこもったやり取り、ぬれ煎餅の焼き体験が賑やかに行なわれた。今回こしらえた改札口で社長と一緒に記念撮影する多くの顧客は大満足で会場を後にした。

 わずか6.4kmの銚子電鉄のこれからに、目が離せない。その理念には公益を担う志を持ち、デパートの逆襲プロジェクトと同質のものがあるからである。