地方デパート 逆襲(カウンターアタック) プロジェクト その19 公益と営利のバランス
CAプロジェクトは、デパートが公益事業体としての矜恃をもって事業を行っていくことを目指す施策です。その際、経営の安定との両立に懸念を感じる人もいると思います。先義後利。まず、顧客のことを考え、信頼関係を得た上で利益を得る、というような方法では、今の時代、先に倒れてしまうのではないかという懸念です。
もちろん、公益を標榜するのは建前ではなく、実践です。相手のための活動である以上、その部門で利益を上げることができないことは、ある面予定通りです。但し、事業を進める中で公益を掲げながら確実に利益を得ることが出来る部門もあります。それは、商品であれば、美術品や宝飾雑貨品であり、事業部門であれば外商部です。そして、事業の中で、この二つは有機的に結びつきます。
信頼を得ている購買力のある顧客に、宝飾雑貨品を外商員が密着して購入をしてもらうという形は、当然進めなければなりません。いや、むしろ今迄以上に徹底して進めていくことが肝要です。それは、デパートとしてその顧客から利益を搾取するのではなく、デパートを助けてもらうために購入をしていただくこととも言えます。
もちろん、顧客に買い物を楽しんいただく、幸せな思いをお持ちいただくという目的に基づいた行動であり、当然ながら寄付を求めるということではありません。気持ちよく買い物を楽しんでいただくことが第一です。そして、買っていただく最大の商品は外商員自身であることは変わりありません。そうした関係を作るためには、デパートが公益を掲げ、外商顧客にも日頃からその意義と社会性をしっかり伝えていくことで、より強固になっていくわけです。
公益を掲げ事業として成立していくためには、赤字でも地域、顧客、そして従業員に対してもやらなければならない責務があります。そこで生じた財務上のマイナスを、利益をしっかり上げる部分に注力していくことでカバーすることが要諦です。この両輪をバランス良く機能させることで、地方デパートは公益事業体として将来に向けて力強く踏み出すことが出来ます。
デパート新聞社 社主