コミュニケーション書店「食べる本屋さん」4 階売場で営業開始 - 松菱百貨店
―地域のコミュニケーションの場が誕生へー
令和6年12月4日(水)10時、三重県津市松菱百貨店4階紳士服売場の一画に、地方デパート逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクトの中核的戦略であるコミュニケーション書店「食べる本屋さん」がオープンした。「食べる本屋さん」は人間関係が希薄になっていく現代社会で、地域の文化発信の拠点であるデパートが書店を通じてコミュニティを作っていこうという取り組みである。
本屋さんなので、本は当然販売するのだが、その在り様は既存の書店とは全く異なる。「食べる本屋さん」では全国の小さな出版社から自社の自慢の本を何冊か選定してもらう。そこに推しメッセージを記入したポップカードを添えて出品をしてもらっている。すべての本は面陳(本の表紙をが見えるように)ディスプレイして販売するという贅沢な空間を作っている。
書店の減少・取次店の合理化などで、出版社が作った本を全国の読者に届けるというハードルが年々高くなっている。といって、インターネット販売では本の温もりが伝わらない。こういった課題を克服し、読者と出版社との出会いの場を作り、新たな形で出版社の販路を拡げていこうという試みでもある。
朝から切れ目なく様々な世代の顧客が訪れ、思い思いに本を手に取る姿が見られた。また、売場中央には7~8人が座ることができる大きな机と椅子が備えられ、自然に本を手に取ってくつろぐ空間となる。当日のサービスとしてバリスタから無料で挽きたてのコーヒーが提供され、ゆっくりと味わう顧客の姿が印象的であった。
なお、日本初の試みにテレビ局・新聞社など数多くのマスコミ関係者もオープンと同時に取材に訪れ、来店した顧客に対して感想を聞くやりとりが続き、顧客たちからは異口同音にデパートが企画した新しい文化発信の形に支持の声が拡がった。今迄全く松菱に来たことがないという市内の母と娘の二人の顧客は三冊購入し、「これからも来たい」ときっぱり言い切ったのが印象的であった。