地方デパート逆襲カウンターアタック(CA)プロジェクトの方針概要 - 松菱百貨店
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株式会社津松菱と株式会社デパート新聞社は、令和5年2月1日津松菱百貨店が三重県における公益的存在として、地域の生活・文化の発信地としての使命をまっとうするための包括的協力体制をとることに合意しました。
この合意に基づいて、今後松菱百貨店が進めていく戦略こそ地方百貨店逆襲(カウンターアタック〈CA〉プロジェクトです。地方デパートが大都会のデパートとは異なる独自の理念を明確にして、将来に向けて地域のランドマークとしてその存在を強く打ち出していくことをCAプロジェクトの大方針として掲げます。令和5年8月に、デパート新聞読者の皆様には号外でお伝えいたしたところですが、本号ではその詳細を公開します。
1.理念
3つの理念をもって進めます。
(1)公益事業であると認識する
地方百貨店は、地域の方々の最大多数の最大幸福を達成することを、使命としなければなりません。デパートはあらゆる人々を受け入れることのできる器をもっています。改めて「誰かのため」を常に考えて活動すべきことを能動的に意識していかなければなりません。
松菱は、1936年に三重県初の百貨店として、その前身の大門百貨店として開業しました。まさに、地域の生活と文化を向上させることを第一義に掲げて、経営を続けてきました。その公益理念はデパート自身の利益を優先するのではなく、不特定多数の地域の人々の利益を優先することで達成されるのです。CAプロジェクトは、常に公益を意識した活動をして参ります。
(2)地方デパートは人を買ってもらう
大都市のデパートと地方のデパートは、同じデパートであっても今や進むべき道は全く異なります。その違いを一言で言うならば、大都市のデパートは「モノを買うところ」、地方デパートは「人を買うところ」であるということです。
デパートの社員全員が、自分を買ってもらう心構えを持って地域の方々に対して日々勤めを果していかなければなりません。自分本位の合理的思考を排除し、販売員である前に一人の思いやりある人間として顧客と向き合っていくことが何よりも大切です。モノを売ることよりも、顧客のことを第一に考えて接する勇気を持つことを心がけるのです。
(3)顧客が本当に求めていることをさせていただく
デパートはモノを売って利益を得るところです。だからこそ、一歩譲って、まずは地域の人々に自分たちが出来るサービスは何なのかを考える精神を持たなければなりません。デパートが顧客のために何をさせていただけるのかを、常に考えるのです。
それは、交換価値に基づいて商品を提供するという流通業の思考から、人と人が本当に必要なものを取引することで根元的な価値を生み出すサービス業の思考への移行を意味します。人の温もりある商品の使用価値を顧客に伝えるという、人間社会の原点に戻った脱資本主義の視点でもあります。
この3つの理念は、有機的に結合すべきものです。それぞれの理念をバランス良く活かしていくことで、地域の中で役割を果たす唯一無二のデパートの存在が浮き彫りになっていくはずです。そして、この理念の下に具体的な施策を実現させていくことになります。
2.具体的な主要戦略
①暮らしのサポーターの設置
②最上階7階のフロアーで「つながるデパートカーニバル」を常設開催
③生活・文化の無料相談所の開設
④地域を廻る「つながるデパートバス」の導入
3.全国の地方デパートとの抜本的な連携-地方百貨店連合の形成
地方百貨店の衰退が進み、数多くの店が閉店を余儀なくされています。既に、全国で独立系のデパートは50を切り、デパートが一つも存在しない県も発生しています。多くのデパートが閉店していった中で、現在も事業を続けているデパートは、それぞれ独自の魅力を持っている可能性があると思われます。その共通項を見つけ出し、その部分をより磨いて、今後の経営に活かしていくことはとても非常に合理的な方法です。
なぜなら、地方の文化はすべて地域ごとに異なった特性があるものの、中央集権制度により、長く政治的・社会的に後方に置かれたその立場は非常に類似しているからです。そうした環境で存続するための独自の哲学をもっているはずです。
大都市の百貨店と一線を画し、地方百貨店としてこの独自のスタイルを明確にすることは重要であり、同時にタイムリミットはすぐそこまで来ています。
地方デパートが連携し、独自の良さを共有し、新たなデパート像を築くことが出来れば、様々な情報伝達媒体のある今の時代だからこそ、多くの人々にその良さを理解してもらい、支持を得ることも十分可能であると考えます。地方百貨店が新たな文化を作っていくために、百貨店同士がしっかりタッグを組んでいくための戦略を松菱は発信します。
4.従業員を守る
松菱は、会社の理念として、「すべての従業員の人間性を尊重し、従業員一人一人が活き活きと働き、幸せな人生を送ることが一番重要であると考えます。」と掲げています。この理念をCAプロジェクトの一つの象徴として捉えます。公益を進めていくデパートの使命は、従業員がまず幸せであってこそ顧客及び地域の方々に対して思いやりをもったコミュニケーションが出来るということを、決して忘れません。
5.実施期間
令和5年6月から令和8年5月迄の3年間とします。
6.CAプロジェクト実行者代表
松菱百貨店 谷政憲社長、川合正常務
デパート新聞社 田中潤社主、三留正社長
CAプロジェクト実施予告
令和5年10月11日(水)~29日(日)の期間、つながるデパートカーニバル第一弾「やばいよやばいよ銚子電鉄」を開催します。出川哲朗さんの実家海苔店横浜蔦金商店と千葉県銚子の銚子電鉄のコラボレーショによる商品の展示販売、改札口の設置、社長のトークショーなど企画満載。