地方デパート 逆襲(カウンターアタック) プロジェクト その17 地域とつながるための考え方

地方デパートの特性

 地方デパートは、新しい施設を作ったり、有名テナントを入店させたりした場合、リニューアルオープンという形を大々的に打ち出して顧客の誘引を図ります。また、年に何度かイベントを行い、新しい顧客の導入を図ります。もちろん、それは、地域に楽しみをもたらすという点では大切なことです。

 しかし、考えておきたいのは、「点」でなにかを仕掛けること、或いはコト消費に経済的な売上増を期待するということは極めて難しい、ということです。なぜならば、そこに集う顧客の数は大都会と比べて圧倒的に少ないからです。目新しいことをしても、同じことが繰り返されれば顧客の退きは都会と比べて極めて早いのです。

 ここ数年、生食パンの店が全国的に量産されましたが、地方を中心に開店から1〜2年で急速に閉店をしています。特に、パン屋らしくない奇抜なネーミングのお店などは、名前が目立つだけに飽きられ方も早かったようです。

 その店の実質的なサービスの良し悪しには限界があり、顧客の数が少ないので企画の発信だけでは成立しないのです。そして、そんなに色々な発信を出来るほど予算もありません。といって、新しい試みをしなければ良いというものではありません。

ギバーとしての暮らしのサポーターの活用

 新しい試みをするにあたり、顧客に継続的に来店してもらう、或いは固定客になってもらうという根底の理念をしっかり持って欲しいのです。その理念の体現者こそ、私たちがCAプロジェクトで掲げる暮らしのサポーターです。暮らしのサポーターは、来店してくれた顧客にきめ細かく対応して、顧客とコミュニケーションをとり、次につなげるための道筋を作るのです。つまり、来店していただいた顧客に対して、今度はこちらからお邪魔させてもらえる流れを作るのです。

 顧客から邪魔だと考えられるのではないかと、デパートの側が気を回す必要はありません。それは、モノを売ることを優先しようとするテイカーの思想です。顧客のためを考えて行動するというギバーとしての理念があれば、時間をかけて顧客と向き合っていく中で必ず結果は出てくるはずです。顧客と相扶けあう関係にあると、デパートが自らを位置づけることが出来れば良いだけなのです。それは、デパートが公益的存在であるということを自らに課すことで成立することになります。