昭和24年10月創刊

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えきの駅食文化探訪 第3回 髙島屋柏店 久米村副部長( 本館食料品) インタビュー

柏高島屋ステーションモールには4つの館(やかた)があり、S館専門店と新館専門店はショッピングセンターの開発、運営・管理をする高島屋のグループ会社・東神開発が運営し、本館髙島屋とS館髙島屋は髙島屋柏店が運営する。髙島屋柏店は、千葉県内にある百貨店3店舗のひとつであり、柏市内唯一の百貨店。

久米村副部長

「先ず、髙島屋柏店の立地と顧客特性をお聞かせください。」

(久米村副部長)
 商圏の大部分は店舗がある柏市を中心に我孫子市、松戸市、流山市の4市であり、地元密着型の店舗です。全国的に観ても稀有な例ですが、柏市や隣接する流山市の人口は若いファミリー層を中心に年々増加している地域です。お客様は、自転車、自家用車、電車、バスと幅広い手段でご来店されます。当店全体の顧客年齢層は60歳代以上が主力ですが、食品フロアの顧客年齢層は1階フロア(和洋菓子売場)では20歳代から70歳代以上までと実に幅広い顧客層が中心です。近年は、1階フロア(和洋菓子売場)での若い年齢層が好む様々なイベントが奏功し、若い年齢層のお客様のご来店が増えています。

 逆に、地下1階(生鮮3品・惣菜売場)は、地元固定客がとても多く、富裕層の居住エリアからのご来店もあり、高齢者層が中心顧客層です。

「柏店の強い売場をご紹介ください。」

(久米村副部長)
 ひとつは地下1階フロアの生鮮3品です。コロナ禍でやや売り上げが減少した品目はありますが、全般的に売上は好調です。魚、肉、野菜を地元の企業中心に構えています。鮮魚の「北辰(柏市)」は地元企業の出店を目指して4年前に出店して貰いました。当店から至近の柏市場の隣に本社があります。野菜・果物の「サン・フレッシュ(柏市)」は、当店のすぐ近くが本社です。精肉の「肉の匠いとう ( 柏市)」は、大手ハムメーカーの伊藤ハムのグループ会社店舗であります。伊藤ハムの東京工場は柏市にあり、当店は地域一番店ですので、万全な品揃え体制を敷いて頂いています。

 当店における生鮮3品目の売上は高く、昨年はその強化のために精肉売場のリニューアルをしました。北辰は毎週火曜日に「出来たて直売市」を開催しています。火曜日の来店客数はやや落ちる傾向があり、朝焼きかつ即売会や、茹でたて真蛸・いか即売会など変化をつけた商品の提供で来店客の増加を目指しています。「肉の匠いとう」は、毎週火・水曜日、週替わりで銘柄豚の販売イベントを行っています。

 毎月20日は、千葉県産を中心に銘柄和牛の一頭売り尽くし。最近は、生産から屠畜、小売りまで手掛けて産直のチルド黒毛和牛ホルモンの販売を始めました。和牛ホルモンのチルド販売は関東圏の百貨店では殆ど見られないものです。伊藤ハムの九州工場から木曜日に納品され金曜日から土曜日までに完売する実に鮮度が高い商品であり、一度食したら毎週お求めになられるお客様が多いのが特徴です。当店の見立てがお客様に大いに支持されている商品と言えます。野菜は、3階のエントランスにおいて毎週「日曜朝市」特売を行っています。生鮮3品を買われるお客様は毎日ほぼ同じ方ですので、商品に変化をつけていくことと鮮度が命です。これらを各取引先と共通認識して取り組んでいます。

 もうひとつの強い売場は、1階フロアです。3年前にリニューアルをしました。洋菓子に関しては、ガトーフェスタハラダは、髙島屋では唯一の出店です。外せないフォションとペックもしっかりと入れています。地元洋菓子店の展開にも力を入れています。「レタンプリュス(流山おおたかの森)」は、日本を代表するフランス菓子の名店で修行したパティシエが手掛けます。樹杏(柏市)はとても家庭的な品揃えです。

 強化したのは、菓子売場の常設の催しスペースです。物産展ではなく、1階のフロア中央の「イベントコーナー」スペースにおける1週間ごとに替わる催事。リニューアル後の同スペースの売上はとても高水準です。洋菓子売場においても、同じご来店客のために目先を変えて面白い商品、新たな商品を次々に投入する手法を取り入れています。柏店のお客様は新しい商品に飛びつかれます。逆に飽きられるのも早いのかもしれません(笑)。継続的に新商品を出していくことが必要だと考えています。この5、6年で当店の周囲から相次いで百貨店が無くなりました。以前は柏駅東口にそごう柏店があり松戸駅前には伊勢丹松戸店がありました。西武百貨店つくば店も閉店しています。その環境下の当店には、お客様から菓子等の手土産、ギフト需要が求められていると考えています。その様な背景で、1階の菓子売場はリニューアルをし強化をしたのです。若い層のお客様もご来店される1階菓子売場の商圏は他のフロアに比べ広いと分析をしています。現在、1階中央アリアの催事スペースに出店中の治一郎(静岡県浜松市)は、プリンとバームクーヘンを1日100万円前後売り上げています。その爆発力は目を見張るものがあります、当店の様な郊外店は都心店舗と異なり、1テナントあたりの出店スペースが確保できるメリットがあり、売上が大きくなるのも特徴です。

 ツオップ(松戸市)は全国的な人気を誇るパンのブランドです。同店には2か月に1度、第一水曜日に同店で販売して貰っています。正午からの販売開始前に売場のある1階から4階の階段まで行列となる程の人気です。毎回、50種類以上を完売します。6月には一番人気のカレーパンの限定販売の新企画を組んでいます。出来立ての提供に拘るシェフのために当店の厨房で揚げて貰い販売するものです。これは、お客様の要望から生まれた当店にしかできない企画です。

 和菓子売場では、髙島屋の本社が中心に企画をしている「銘菓百選(日本橋店、新宿店、横浜店、玉川店、柏店での展開)」の売上が絶好調です。直近4月は老舗を超える売上を上げるまでに成長しており、コロナ禍前の2019年度比で20%伸びました。しかも、営業時間がコロナ禍より毎日1時間減っているにも拘らずです。

「4月30日に地下1階惣菜売場に新たなショップがオープンしています。そのコンセプトをお聞かせください。」

(久米村副部長)
「地下1階の客層がガラッと変わる売場が登場しました。惣菜売場にオープンしたのは、柏市を中心に、千葉県のベーカリーよりパンを集めた集合編集型のベーカリーセレクトショップ「BAKE Rs‘JOY KASHIW A」です。

 毎日ご来店されるお客様にもご満足いただけるよう約20のブランド(店舗)の商品が日替わりで登場。約100種類の商品が店頭に並んでいます。同セレクトショップは、横浜店で展開している「KANAGAWA BAKERs` DOCK」の手法を取り入れたものであります。スタートしたばかりですが、今後は回転数を増やしボリュームを増やすことで30ブランド約150種類に拡大したいと考えています。パンはバラエティ感が命です。毎回同じお客様が来られた時に、現状のブランド数では継続的に売り上げが伸びていきません。ある程度ブランドを変えながらブランドを増やしていく戦略を取っていきます。ご来店の客層に特徴的なのは、男性のおひとり様や若い女性客がご来店されている事です。地下1階フロアに同ショップを入れた狙いは、高齢者層顧客が中心のフロアに若い顧客層を集客したいとの目的がありましたので、まさにその狙いが奏功しています。

「地域との連携の取組みについてお聞かせください。」

(久米村副部長)
 地元店の応援をしています。前述しましたが、べーカリーセレクトショップ「B A K E R s ‘JOY KASHIWA」は、柏市を中心に、千葉県のベーカリーの応援を目的にした企画です。今後も参加して貰うブランド(店舗)を増やしていきます。また、駅改札口を出たコンコースに繋がる当店3階の正面エントランス脇を使い、当店すぐ近くののパン屋3店(パンエシュクレ、銀座に志かわ、ベーカリーハレビノ) が木曜、金曜、土曜、日曜に販売をする仕組みを作りました。当店3階正面入口の往来は激しく、パン屋の売上が上がり当店の売上にも繋がります。コロナ禍でわざわざお客様がパン売場に降りずにパッと買って帰りたいとのお客様の声があったのがこの仕組みを作る最初のきっかけです。

 また、催事で販売して貰おうと近くのいい店を誘致しています。そのような飲食店はテイクアウトのノウハウが無く、新しく口座を開いてテイクアウトのノウハウを伝え、出店して貰うのです。地産地消「千産千消」フェアは毎年6月と11月の年2回開催しています。売場で定期的に出店して貰う流れをつくりました。地元の取引先の出店や、食材を横串にした商品の売り場での展開です。食料品については、地元飲食店との連携が強く、地元の海苔、蕪を使い横ぐしにした総菜やお弁当のフェアや千葉産の肉を使うフェアを定期的に行っています。このゴールデンウイークには地元柏で人気を集める和食店「魚の蔵」と当店テナント「魚の北辰」のコラボ商品(おつまみ盛り合わせ等)の企画を組みました。チラシに「魚の蔵」の店主が掲載されることで「魚の蔵」では店自体の販促効果が上がります。一方で「魚の北辰」はいつもと違う新たな食の見せ方ができます。

 食とは離れますが、街づくりを地元の商店街と一緒につくりましょうとの方向性から、5月6日からは、地下2階催会場をお貸しして、地元うらかし(柏の裏の意)エリアの商店街の青年会が主宰する「ウラカシ百年会」の古着等の販売催事を行いました。このような街の賑わいを創出する方向性に沿ったものを今後も積極的に行っていきます。

「フードロスの取組みはありますか」

(久米村副部長)
 スタートしたばかりですが、サンジェルマンが毎週金曜日に売れ残ったパンを市内の児童福祉施設に預ける仕組みを作っています。

「食品売場の課題と戦略をお聞かせください。」

(久米村副部長)
 当店にとって最も基本的な事は、お客様にご来店して頂くことです。オンライン等で売上を作るのもひとつの手段ですが、先ずご来店して頂かなければ他のフロアにも売り上げが波及していきません。ご来店の手段のひとつに洋菓子やお弁当のWEB予約限定商品を作り、ご来店してお持ち帰り頂く戦略があります。母の日、ゴールデンウイーク等の特別な時は、普段扱っていない商品を揃え、それを目当てにご来店して頂く戦略を取っています。1階の和洋菓子売場を強化することも重要な戦略です。日替わりで普段売っていない商品を揃え、その情報をSNSで発信する工夫もしています。地下1階フロアについては、生鮮3品目を筆頭に顧客が固定化している状況です。地下1階のパン全体の売上は1日あたり90万円のサンジェルマンを筆頭に大きいですが、今後の売上拡大のためには今までと違う顧客層を掴んでいく必要があり、「BAK ERs‘JOY KASHIW A」にその役割を期待しています。特に、課題であるZ世代といわれる年齢層の方にご来店頂きたいとの狙いがあり、日々SNSでその商品情報を発信し続けています。これらの様々な販売促進手段により若い顧客層を獲得し商圏を広げていきます。

活躍する社員さんご紹介

和洋菓子、ワールドフーズ売場 趙係長

和洋菓子売場の担当 趙 慶舜(ちょう きょんすん)さん

入社8年。生鮮・惣菜・催事を経て2年前より現職

 当店は他店と比べて食料品の売上シェアが大きく、その大きな理由として日々ご来店される日常使いの方が多いことが挙げられます。週に3、4回、時には毎日来てくださいます。買うものを決めてご来店される方も多いですが、ここに来れば何か美味しいのもがある、という信頼のもとご来店される方もとても多いです。その方々にご満足頂けるよう、飽きさせない品揃えを意識しており、最近では、週替わりで内容が変わるイベントコーナーが特に人気です。当店は、千葉県、茨城県の多くの地元の方に支えられている店舗です。千産千消フェアでは、普段出店のない有名なパティスリーやレストラン、パン屋さんのご協力のもとイベントを開催、最近ではウラカシ百年会とのコラボイベントも開催致しました。地下1階には地元のベーカリーを集積販売する「ベーカーズジョイ」もオープンし、毎日10ブランド以上の地元のパンで賑わっています。また、当店は、百貨店と併設でショッピングモールであるステーションモールがあり、ご年配の方だけでなく、学生さんやご家族連れ等幅広い年齢層のお客様がいらっしゃいます。最近、30周年を迎え、柏レイソルとのコラボ企画を行いました。来年は本館髙島屋が50周年を迎えるため、ここまで支えてくださった皆様に感謝を伝えるべく、様々な企画を計画中です。ぜひ楽しみにしてください。

私のイチオシお菓子 – さがえ屋「やみつきしみかりせん」

濡れ煎餅の一歩上をいく煎餅を作りたいという職人の気持ちを実現したお煎餅。濡れ煎餅なのに驚きのパリパリ食感で、こだわりの醤油が中までしっかりしみ込んでいます。名前の通りやみつきとなり。あっと言う間に1袋食べてしまいます。月に1度の入荷ですが、午後には売り切れてしまう大人気商品です。

主たる、地元応援店の人気商品

  • 焼きそばのまるしょう(柏市)「特製ソース焼きそば」
  • たこ焼き 海賊船(柏市)「たこ焼き」
  • 割烹 しの田(松戸市)「戸定邸弁当」
  • カレーの店 ボンベイ(柏市)「柏のキーマ」
  • 中国料理 文菜華(柏市)「気仙沼産ふかひれ姿煮弁当」
  • パティスリー メヌエット 匠の極みモンブラン(我孫子市)「丸ごとメロン」、「いちごのパイシュー」
  • パティスリー SATSUKI(ホテルニューオータニ幕張店) (千葉市)「スーパーメロンショートケーキ」
  • パティスリーハヤトヤマダ(松戸市)「和栗のモンブラン」
  • パラオア(鎌ヶ谷市)「パラオア」
  • ハレビノ(柏市)「幸せのバナナパン」

店舗データ

髙島屋柏店
  1. 店舗名 柏タカシマヤ
  2. 所在地 千葉県柏市末広町3-16
  3. アクセス JR線、東武アーバンパークライン(野田線) 柏駅直結
  4. 開店年月日  1973年11月2日
  5. 売場面積 25,720㎡
  6. 売上高 27,145百万円(2021年度)

※周辺地域の人口:柏市43万、松戸市49.6万、流山市20.6万、我孫子市12.9万

食料品カテゴリー別売上構成比率

和洋菓子37.0%、・惣菜28.4%、生鮮21.2%、その他13.4%

年代別構成比率(買上金額)

20歳代以下1.5% / 30歳代5.1% / 40歳代11.4% / 50歳代20.7% / 60歳代以上61.3%

敬称略