デパート新聞 第2677号 – 令和3年12月15日
10月全国は2.9%増
日本百貨店協会は、令和3年10月の全国百貨店(調査対象73社、189店〈令和3年9月対比マイナス1店〉)の売上高概況を発表した。売上高総額は3848億円余で、前年同月比2.9%増(店舗数調整後/2か月ぶり増)だった。
百貨店データ
- SC販売統計10月
- 都市規模別・地域別 売上高伸長率
- 都内各店令和3年10月商品別売上高
- 神奈川各店令和3年10月商品別売上高
人事異動
- ㈱髙島屋
- ㈱東武百貨店
明日を目指す百貨店探訪 第8回 松坂屋静岡店
今回は、松坂屋静岡店 落合功男店長 を直撃インタビュー!
- 「まずは、松坂屋静岡店の現状についてお聞かせください。」
- 「大丸松坂屋百貨店のビジョンについてお聞かせください。」
- 「なぜ、5年先の提案なのですか。」
- ビジョンである「5年先の『未来定番生活』を提案する」を実現する為の静岡店の取組みはありますか。
- 「リニューアルのコンセプトと改装のポイントをお聞かせください。」
- しずおかMIRUIプロジェクトについて
- 顧客の特性について
- 商圏について
- 外商について
- 店頭について
- やさいバスの取組み
- 地域との共生
- 「静岡店のイチオシをお聞かせください。」
続きは 松坂屋静岡店 落合功男店長 直撃インタビュー - 明日を目指す百貨店探訪 第8回 を御覧ください。
編集長の注目企業インタビュー その1 - 新里製本所
地方デパートの悩みは、ズバリ、テナント不足であろう。ファッションが売れなくなった、という話が10年以上続き、コロナ禍でとどめを刺された感が強いが、テナント(やり手)不足が、地方の婦人服売場の減少問題の根本だ。今現在、この問題を解決する「特効薬」はない。
但し、いくつかの処方箋はあり、本紙の記事や広告欄でも、今まで様々な企業を紹介して来た。今回はそのうちの1社である新里製本所を、と言うより新里社長という人物を紹介したい。
続きは 編集長の注目企業インタビュー その1 - 新里製本所 を御覧ください。
地方百貨店の時代 その29 - 固定客づくり
デパート新聞社 社主
田中 潤
ロックイン
固定客の確保
前回に続き、経済の具体的考え方としてのロックイン効果について論じたい。一言でいえば、ロックインは、顧客の囲い込み戦略である。デパートが顧客をロックインするということは、顧客自身が進んで、つまり喜んで囲い込まれる環境をつくるということであり、デパートの一方的な儲け主義を顧客の意思に関わらず押しつけるというのとは意味が異なる。顧客とデパートがお互いを信頼しあって、将来に亙って良い関係を築いていこうという取り組みである。
例えば、現在でもロックインの一つの方法として、デパートはポイントカードを設け、一定のポイントを獲得した顧客には商品金額の割引など経済的メリットを与えるようにしている。しかし、こうした電子決済カードを使った特典付与は、既にマンネリ化しており、差別化するにはポイント還元率を高くするなど即物的な形でしか対応できなくなっている。
デパートでのロックイン効果
地方百貨店がロックインを実行するならば、地域に即した具体的方法を考えていきたい。例えば、デパートの発行するICカード1枚で地域の医療機関の紹介や医療情報の提供を受けられるとか、家庭内で生じた水道・ガス・電気に関する故障などのトラブルについて対応する事業者に仲介手続が行われるとか、人が亡くなった時の葬儀・お墓の手配などを実際に承ってくれる具体的な相談所・サービスセンターを利用できることなどが考えられる。主として無形の人的サービスが中心となるわけだ。
或いは、サービス部門を強化して地元企業への就職相談や紹介、農家・漁師への経営相談など地域経済に関する相談窓口になることも重要である。こうした活動によって、顧客・当事者だけでなく、広く地域の方々との結びつきが堅固になることは間違いない。優れたロックインが成立するのである。そして、それが進行した暁には、デパートは一営利企業から地域の公益を担う社会的共有資本へとその位置づけを明確にしていくのである。
行政では出来ないきめ細かいサービスを可能にするためには、デパートの培ってきた経験が極めて重要である。
朧
今年のプロゴルフの賞金王が決った。
獲得賞金額は男子が1億2700万円、女子が2億5500万円となんと女子が男子の2倍となっている。
女王の勝利数が多かったとはいえ、女子がこれだけ男子に差をつけるのは驚きに値しよう。歴史的には、1大会での男子と女子の優勝賞金額は、圧倒的に男子の方が多かった。
しかし、例えば、今年の女子の最後の大会の優勝賞金額は3000万円と、男子の通常の大会を遙かに凌駕している。それだけ、スポンサーの評価が高まってきているのであろう。テレビ中継でも、女子の方が視聴率は良好というデータもある。ゴルフという男性優位が際立つスポーツは、政治や経済の世界よりも進化は早いのかもしれない。
そういえば、男子マラソンの代表的大会である福岡国際マラソンも今年が最後であった。
無駄の物語 part25 - 電車内の風景 ストレスの発信
犬懸坂祇園
作詞、作曲などをしております
配慮に欠ける行動
電車に乗って気がつくのは、扉のすぐ前に立っている人が多いことである。自分が下車する際にすぐ降りられるという合理的思考からは当り前のポジションなのだろうが、下車しない駅で扉が開閉しても突っ立ったままでは乗降客は大いに迷惑する。
特に最近は、リュックを背負ったり携帯電話をいじっていたりするものだから、その人の個体体積は一層広がり、降り口を更に狭くしてしまう。ところが、当人はそのことにほとんど関心がない様子である。一旦降りるとか、横にズレるといった配慮はあまりない。
これは、自分にとっては無駄であっても相手のことを考え行動するべき典型的なケースであるが、残念ながら出来の良くない状況になることが多い。そもそも扉の前に立っていることで既にトラブルの種を蒔いているわけで、人が降りる時は一定の配慮をすることが当然である。せめて人に迷惑をかけないという配慮ができないのかと思うのだが、当人は自身の合理性を基準に迷惑になるレベルかどうかを無意識に判断し、「大したことはないだろう」と思うのだろう。しかし、もし短気な人がいたら、争いになる危険がないとは言えない。
一方、座っている人にも同様の傾向がある。電車が到着し、下車客が終って、新たな乗客が乗り込んでくるタイミングで席を立ち悠然と降りる人がいる。これも自身の合理性だけで降りるタイミングを決めているのであろうが、自身の行動が周りの人に多くのストレスを与えているということ、つまり、相手への思いやりに欠ける行動をしているという思考は働かないのであろう。
合理的発想からの脱却
自分にとっては無駄だと思うことを当り前に行うことができる社会になれば、こうしたことは必ず解決する。私たちは、合理的発想の根元となる目先の利益というやっかいな概念を封印することで、ストレスのない社会の一員となることができるのである。
特別寄稿 NY視察2019から見る、百貨店のさらに恐ろしい未来 第7章の1
第7章 日本の予測 10年後の百貨店へのメッセージ(前編)
百貨店を取り巻く環境は、大きく、そしてとてつもない速さで変化しています。
最終章の今回は、百貨店の置かれた状況の分析と、未来の百貨店への提言になります。
インバウンドで拡大し、コロナで大打撃を受けた百貨店
近年、百貨店はインバウンド需要を取り込むことで成長してきましたが、新型コロナウイルスによる環境変化で、インバウンド需要は消失してしまいました。
回復の時期が読めない今、百貨店は、大きく舵をきる必要があります。
続きは 特別寄稿 NY視察2019から見る、百貨店のさらに恐ろしい未来 第7章の1 を御覧ください。
連載:デパートのルネッサンはどこにある - 生き残りをかけ模索続く百貨店(後編)
SDGsOMO (後編)
大丸松坂屋
旗艦店である東京大丸にJ.フロントリテイリング初のOMO、ネット通販時代を反映したショールーミング店舗「明日見世」を開いた。
他店舗への導入も視野
大丸東京店4階に10月6日にオープンした大丸松坂屋百貨店初のショールーミングスペースは「明日見世(asumise)」アスミセと読む。
物販を要としてきた百貨店で「売らない」スペースを展開するという異例の取り組みだ。新型コロナウイルス感染拡大を機に「新しいリアル店舗のあり方を模索した」(大丸松坂屋百貨店DX推進部)として、リアルでの販売機会が少ないD2Cブランドを集積することで、既存顧客に回遊を促し相乗効果を狙うとともに、大丸東京店の課題の一つとなっていたというZ世代やミレニアル世代の新規顧客獲得を目指す、という。
明日見世のスペースは4階のイベントスペースに配置。売場面積は約30坪、什器や装飾物にはリサイクルできる素材やユーズド家具を組み合わせた。4階のフロアには「エンポリオアルマーニ」や「エポカ」「ベイジ」といったエレガントなウィメンズブランドのほか、「ユナイテッドアローズ」や「トゥモローランド」といったセレクトショップが並ぶ。イベントスペースではウィメンズのファッションブランドのポップアップを開催することが多かったが、明日見世はテーマに合わせてファッションからコスメ、生活雑貨まで幅広いラインナップを展開する。
続きは デパートのルネッサンスはどこにある? 2021年12月15日号-38 を御覧ください。