昭和24年10月創刊

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編集部より

特別寄稿 NY視察2019から見る、百貨店のさらに恐ろしい未来 第7章の1

第7章 日本の予測 10年後の百貨店へのメッセージ(前編)

 百貨店を取り巻く環境は、大きく、そしてとてつもない速さで変化しています。

 最終章の今回は、百貨店の置かれた状況の分析と、未来の百貨店への提言になります。

インバウンドで拡大し、コロナで大打撃を受けた百貨店

 近年、百貨店はインバウンド需要を取り込むことで成長してきましたが、新型コロナウイルスによる環境変化で、インバウンド需要は消失してしまいました。
回復の時期が読めない今、百貨店は、大きく舵をきる必要があります。

ECの躍進

ユーザー層の拡大

 EC利用が拡大を続けています。
若年層はもちろん、55歳〜64歳の世代のEC利用が6割近くまで拡大しました。
今や全世代でECが利用されています。
65歳以上の高齢層も、20年6月時点で31.2%となっています。
※総務省の家計調査

 買い物弱者と言われてきた高齢者は、百貨店の優良顧客と言われてきましたが、いよいよ高齢者もネット通販を駆使する時代が到来しました。
全年齢層にECが生活の一部になっていくことで、百貨店の必要性もまた、変わっていくのではないでしょうか。

ECの百貨店化

 EC黎明期においては、ECでは低単価商品しか売れませんでした。
しかし、ECが浸透し、人々が買い物になれるにつけ、高額な商品がECで売れ始めています。ECが高額商品を扱うようになり、ある意味百貨店化しています。

メーカーの変化

 メーカーは商品を店舗に卸し、顧客は店舗を訪れて購入するもの・・・
というのは昔の話。昨今のメーカーは、自前のECサイトを通じてダイレクトに販売し、顧客とメーカーもダイレクトに繋がり始めています。
この変化は、コロナにより、さらに加速しています。

コロナ下の急成長企業

 店舗による販売を覆す事例がたくさん現れてきています。
路上のゲリラ販売で、3時間で150万を売るアパレル企業、
インスタグラマーが企画をした洋服を、駅ビルで2週間で2000万売る新興企業
など、メーカーが自分でブランドを立ち上げて、SNSでブランディングを直接行い、販売までやってしまう時代がきています。
誰かに売ってもらう時代ではなくなってきています。

メーカー主導の店舗

 ECだけでなく、店舗への誘導も、メーカーが主導して行いはじめています。顧客情報も、メーカーが直接保有し、アフターケアもメーカーと直接のやり取りが増えています。

 百貨店を含む販売店から、ネット通販・直営店へ顧客が移動し、小売までの権限が、メーカーに少しずつ移っています。売上はECと直営店で十分に稼げているメーカーにとっては、店舗の意味・位置づけが変わっています。メーカーは商品のタッチポイント(体験)をしてもらえる環境さえあれば、十分顧客とのコミュニケーションはとれる時代がきています。

注文・決済はオンラインでOK

 実店舗をタッチポイントとして展開している企業にとっては、その場(店舗)で売れる必要性がありません。

 商品を十分に体験した後、帰宅後にメーカーECサイトでゆっくり購入すればよいのです。

 もし仮に、売り場で購入を決断したとしても、顧客にとっては、百貨店のレジを通す必要性はありません。売り場で、メーカー直営ECサイトで、慣れた買い方をすれば十分なのです。百貨店を含め、店舗に対する依存度が下がり始めています。

今後の百貨店への提言

百貨店の強みと弱点

 地下の食料品と、メインフロアのハイブランドは、やはり、百貨店の強みであると思います。
消費者が欲しいという欲求を満たす商品があります。
この点は今後も強みとして続くでしょう。
問題は上層階にあると思います。

百貨店の課題 – 販売スタッフ

 各フロアにレジと販売スタッフを配置して販売する旧態依然とした構成には、問題が有ると感じます。売上と人件費のバランスが悪く、利益を圧迫しています。また、百貨店を訪れた消費者は、人が少ない上層階で販売員の接客にプレッシャーを感じる人もいるしょう。販売員は売らなければならないという前提が、悪循環をうみだしています。

売り場には最終確認に来ているだけ

 賢い消費者は、商品知識をネットから十分に得ており、お目当ての商品めがけて売り場を訪れます。売り場で商品を始めてみて、欲しくなって、、、という流れではないのです。
ここで必要なのは、先述した、商品の本当の価値体験ではないでしょうか。

売るのではなく、体験を提供する

 ここで問われるのが、「体験価値を提供する百貨店」への転身ではないでしょうか。
具体的には、まず、昨今の消費者の購入までの動きを知る必要があります。
無理に売ろうとするのは、逆効果に働く時代ではないか。

思い切って頭を切り替え

1.売れてる商品、話題の商品、最新の商品などの情報
2.安さを打ち出すのではなく、商品自体の魅力的に見せていく

 もしかすると、店頭の目立つところに掲げられている値札こそが、一番余分なものかもしれません。

実際に、テスラ、Yogibo、DJI、マイクロソフトの売り場を見てみましょう。

テスラモーターズ – EV

電気自動車、急成長企業を続ける自動車メーカ
ディーラーでなく、ネット主体で販売する、新しい売り方を提案

ヨギボー – ビーズクッション

DJI – ドローンメーカー

マイクロソフト

マイクロソフト

値札は目立ちません。
商品を触り、体験し、感動を提供する場として、店舗が活用されています。

(次号に続く)