日本の百貨店のあゆみ 11 ~阪神百貨店

大阪駅の沿線拡大事業からターミナル百貨店誕生へ

阪神電鉄の沿線拡長

1925年 阪急うめだビルに出張契約していた「白木屋」が契約満了となる。後任として、阪神電気鉄道梅田停留所構内に「白木屋阪神出張店」を出店する。

1929年 阪神電鉄の路線延長による巨額の費用を百貨店経営で回収するため、御堂筋に面した駅前の土地を取得する。

1930年 高島屋との間に計画中の大阪駅前ビルの賃貸予約の覚書を交換する。直営ではなく、テナントの招致によるターミナルデパート開業を目指した。

ターミナルデパート誕生まで

1933年 ターミナル百貨店経営に先立ち、阪神電気鉄道梅田停留所構内に「阪神マート」を開業

1937年 阪神電気鉄道の子会社として「株式会社阪神百貨店」を設立。百貨店を直営する方針へ転換。用地の取得にあたり阪急電鉄と激しい対立となる。

1938年 大阪市の決定により用地取得に成功するが、日本は戦時体制にあり、鉄材の節約などの理由で、高層ビルの建設計画が中止となる。高島屋との覚書を白紙に戻す。

1940年 梅田阪神ビルディングの地下1階に「阪神マート」を移転(本店の現在地)

1951年 阪神ビル北側地下道の両側に「全国銘菓名物街」を開業。売り場拡張に伴い「阪神マート」を「阪神百貨店」と改称

1952年 1階に一流の店を集めた「阪神甘辛のれん街」を開設。この画期的な試みが人気を呼ぶ。

1957年 阪神電気鉄道株式会社より百貨店業を譲受。株式会社阪神百貨店を設立。新館を開館

1958年 梅田阪神ビルディングの5階から8階を増床

成長期と小型店の出店

1963年 23年の年数をかけて、戦前から構想にあった規模(現在とほぼ同じ)となり、西日本最大のビルとして全館が完成。「梅田阪神ビルディング」を「大阪神ビルディング」へ改称。階ごとの「ラインズ・ロビング・システム」により、独特の売場を構築、既存の問屋系列とはひと味違う専門店・有名店の商品を動員して、独自性を編み出した。大阪の各百貨店が万国博を目がけて、増床、多店舗化を進める中、大阪神ビルの全館百貨店化を決意する。

1964年 阪神タイガース優勝記念セール「優勝カーニバル」開催

1967年 大阪証券取引所第2部に上場 1969年 第1部に上場

1970年 大阪万国博覧会開催

1974年 「若いみどりに赤いまごころ New Wave Hanshin」をテーマに大阪神ビル拡張開店。

都市型百貨店への脱皮を目指す

梅田地区における大規模商業施設の集積の対応として、都市型百貨店への脱皮を目指し「ストア・リフレッシュ」を敢行する。

1977年 CI(コーポレート・アイデンティティー)ビジュアル委員会が発足。(関西の百貨店業界初となる)包装紙、ショッピングバッグ、封筒、印刷物にCIデザインを使用したイメージ戦略は抜群の好評を得る。ロゴを現行のものに変更する。

1980年 第2次ストア・リフレッシュ 1983年 第3次ストア・リフレッシュをが完了する。阪神百貨店は異質化、差別化の戦略で起死回生の成功を収める。

再成長期へ

1985年 阪神タイガース日本一優勝記念セール開催

1995年 三枝 輝行社長就任。新しい発想で「デパ地下」ブームを作り上げる。

2002年 外壁工事が終了リニューアル

2003年 駅直結エピスタ西宮内に西宮店(阪神・にしのみや)開業。阪神タイガースセリーグ優勝記念セール開催

2005年 阪神電気鉄道株式会社との株式交換に伴い、大阪証券取引所市場において株式の上場廃止。阪神電気鉄道株式会社の完全子会社となる。

2006年 三宮店(さんのみや・阪神食品館)開業

阪急阪神百貨店へ

2007年 株式会社阪急百貨店と経営統合

2008年 御影クラッセに御影店(阪神・御影)開業。株式会社阪急阪神百貨店の運営となる。阪急阪神百貨店、新田信昭1代社長就任

2009年 JR尼崎駅前COCOE(現あまがさきキューズモール)にあまがさき阪神開業

2010年 三宮店(さんのみや・阪神食品館)閉店

2011年 県民百貨店(2013年閉店)との業務支援終了。熊本から撤退する。

2012年 荒木直也2代社長就任

2014年 梅田本店のふるさと名産を閉店

2015年 大阪梅田ツインタワーズサウス(1期棟)竣工のため、大阪神ビル東側を閉鎖する。

2018年 梅田本店、大阪梅田ツインタワーズサウス(1期棟)にてグランドオープン。大阪梅田ツインタワーズサウス(2期棟)建設のため、大阪神ビル西側部分を閉鎖する。

2019年 阪神百貨店梅田本店の建て替えプロジェクト2期部分の工事を着工。38階建ての「大阪梅田ツインタワーズサウス」を建設中

2020年 山口俊比古3代社長就任

2021年 阪神梅田本店建て替え先行オープン

2022年4月 阪神梅田本店グランドオープン

2023年現在の店舗

阪神うめだ本店

あまがさき阪神

阪神・にしのみや

阪神・御影

参考:阪急阪神百貨店公式サイト