英雄たちの経営力 第5回 日野富子 その3
日野富子の理財センス
康正元年( 一四五五)、「かくれなき美婦人」(『応仁記』) と謳われた十六歳の富子は、二十歳の義政の許に輿入れした。ちなみに女性の美醜を書き残した史料は少ない。記録に残るのが高い身分の女性だったこともあり、美醜を書くのが憚られたからだ。管見ながら室町時代以前で、高貴の人で「美しい」と記録に残るのは推古天皇くらいだ。
その美しい富子が、幕府の主導権を握る以前の幕府の財政状況から見ていこう。義政将軍時代の初期にあたる長禄三年( 一四五九)、幕府は京都七口やその周辺に勝手に設けられていた旧関を廃止し、京都七口だけに新関を設けた。翌寛正元年には東海道の諸関を撤廃し、こちらも新関を設けた。関では通行人から関税を徴収する。それが幕府の財源の一つになっていく。
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『黒南風の海 – 加藤清正』や、鎌倉時代初期を描いた『夜叉の都』、サスペンス小説『横浜1963』など幅広いジャンルで活躍
北条五代, 覇王の神殿, 琉球警察, 威風堂々 幕末佐賀風雲録 など。