デパート新聞 第2699号 – 令和4年12月01日

10月東京は17.0%増

 日本百貨店協会は、令和4年10月東京地区百貨店(調査対象12社、24店)の売上高概況を発表した。売上高総額は1225億円余で、前年同月比17.0%増(店舗数調整後/14か月連続増)だった。店頭・非店頭の増減は、店頭17.7%増(92.2%)、非店頭9.1%増(7.8%)となった。

百貨店データ

  • 3社商況10月
  • 都内各店令和4年10月商品別売上高
  • 関東各店令和4年10月商品別売上高

地域を活性化させる公益活動を担う 「松菱百貨店」

松菱

 三重県の事業者の方々を取りまとめ、一つの物産展を企画して他の地域のデパートにおいて物産展催事を展開させる~この提案者である松菱百貨店(三重県津市)は、三重県の地元経済を活性化させる公益活動の担い手である。

 令和4年11月には、神奈川県のさいか屋横須賀店で三重県物産展が開催された。赤福餅、松阪牛弁当、手こね寿司など三重県の人気商品が勢揃いした。松菱百貨店自慢のお薦めコーナーも設け、デパートの地域協力をアピールしている。この仕掛けは、松菱百貨店が三重県と連携して行ったものである。

 デパートは地域のすべての人々に幸せを与えることができる数少ない存在である。年々人々のコミュニケーションが疎遠になって来た最中、新たに人間関係を築こうとすることもコロナ禍により困難な状況が続いている。遠くの友人とも会えず、ご近所の交流も廃れている中で、多くの人々は日常空間でのコミュニケーションを求めている。

 そうした中で、デパートが地域の事業者をまとめて、他の地方に乗り込んでいくことは、極めて意義深いことである。呉越同舟する事業者の信頼関係は深まり、更なる事業への連携、そして地元での事業活動の活性化を呼ぶ一方、三重県物産展が開催されたことで、横須賀の人たちは送料負担などなく、お目当ての物産を購入できるのである。そこには物産展という場の中で、買物に来た人々のささやかながらかけがえのない店の人々とのコミュニケーションが生れる。これこそが、営利企業であるデパートが持つもう一つの顔、公益企業としての活動でもあるのだ。

 松菱百貨店が行う物産展の「輸出」は、あるデパートのバイヤーが産地の名店を釣り上げて行う通常の物産展とは異なり、地域の事業者が一体となって参加して他地域で繰り広げる町おこし事業なのである。これからの時代、地方百貨店が求められる重要な役割なのではないだろうか。

えきの駅 食文化探訪 第12回 天満屋岡山本店食

天満屋岡山本店は、株式会社天満屋が運営する、岡山県岡山市にある百貨店。天満屋の基幹店であり、売上、売り場面積ともに中国地方屈指の百貨店である。

「天満屋岡山本店の立地と食品売場の商圏をお聞かせください。」

食品チーム 高原剛部長

(高原部長)
天満屋岡山本店は、JR岡山駅東口から東へ約1・5㎞の位置にあります。東側には、岡山城や後楽園、公官庁が広がっています。当店は、約400店舗から成る表町商店街(別表参照)に隣接しており、当店と表町商店街が一体となったエリアと岡山駅東口駅前エリアが岡山の2大商業核を形成しています。駅前商業エリアとは行政が主催するイベントに共に参画する等して共存しています。駅前の活性化にも当店が参加することで地域全体の賑わいに繋がると考えています。

 中心商圏は岡山市内です。岡山駅から僅か15㎞、電車で15分の倉敷駅の駅前には弊社の倉敷店(倉敷市)がありますが、岡山本店と比較すると店舗の規模がかなり違います。倉敷市内のお客様はデイリー商品を地元の倉敷店でお求めになりますが、食品、アパレルを問わず岡山本店にしか取扱いが無いブランドのお求めについては、品揃えが充実する本店に、土日祝日を中心にお越し頂いています。広域商圏は岡山県全域です。県北部にある津山店(JR津山線津山駅〜岡山駅約60㎞)は岡山本店との関係性が倉敷店のそれと同じです。香川県から瀬戸大橋を渡ると岡山県です。(香川県の坂出駅から岡山駅まで50㎞、JR瀬戸大橋線で40分。)とても有難い事に、香川県をはじめとする四国からのお客様が大型のイベント開催時などにお越しになります。テレビ局が岡山県と香川県の両域に放映するので、テレビを通じて香川県の方が岡山県の情報をキャッチし易いことも影響していると考えています。ちなみに広島県の福山店が弊社の規模・売上から見た2番店です。

続きは えきの駅 食文化探訪 第12回 天満屋岡山本店食品チーム 高原剛部長インタビュー を御覧ください。

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 大相撲九州場所は、今場所も平幕力士の阿炎が優勝した。横綱・大関の低迷が招いた結果だが、新たな若手の台頭を感じさせられる年納めとなった。

 一方で、元大関の高安が千秋楽までトップを走りながら、またしても優勝に手が届かなかった。ここ一番になると、体の動きがまったく変わってしまうのは、見ていても気の毒なほどである。それだけに、こちらも応援に力が入るのだが、本当に今場所は惜しかった。ただし、優勝するよりも、記憶に残る力士としての地位は、不動になってきているようである。

 それもまた、プロとしては重要な資質であり、誇っていいと声をかけてあげたい。

連載小説 英雄たちの経営力 第5回 日野富子 その2

英雄たちの経営力 第5回 日野富子 その2

デパートのルネッサンスはどこにある 2022年12月01日号-58 そごう・シリーズ「そごう・西武」売却 第3弾

「売却難航から混迷へ」

 連載コラム「デパートのルネッサンスはどこにある?」では今年に入りセブン&アイ・ホールディングスによる、百貨店「そごう・西武」の売却のニュースを2度に亘って伝えて来た。
(1)2/15号「そごう・西武」売却
(2)4/1+15号

「そごう・西武」売却はデパート業界を変えてしまうのか?

 ざっと経緯をおさらいしておこう。
そごう・西武をめぐっては2006年、前身であるミレニアムリテイリングをセブン& アイが2000億円超で子会社化した事に端を発する。しかし、百貨店業態の地盤沈下もあり、長期的には最終赤字に陥るなど、不振が続き、未だ回復基調には至っていない。百貨店事業だけでなく、元々のイトーヨーカ堂でさえ、好調とは言えない中で、昨今はグループの「お荷物」という位置づけとなっていた。

続きは デパートのルネッサンスはどこにある? 2022年12月01日号-58 を御覧ください。

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