英雄たちの経営力 第5回 日野富子 その2

室町時代と貨幣経済の発展

 鎌倉時代と比べると、室町時代は農業生産性が飛躍的に上がった時代だった。とくに畿内の一部でしか行われていなかった二毛作が西国から関東まで広がり、畿内では米・そば・麦の三毛作さえ行われるようになる。紙や着物の原料となる商品作物、また茶や漆などの贅沢品の栽培も始まり、農村に生活の余裕が生まれてきた。

 これにより人の多い場所には市が立ち、問屋(といや)と呼ばれる卸問屋が生まれ、連雀(れんじゃく)商人や振売(ふりうり)といった行商も増えていった。さらに鎌倉時代には珍しかった見世棚( 常設小売店) も姿を見せ始める。商業の時代が始まったのだ。

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伊東 潤
矢野 元晴