連載小説 英雄たちの経営力 第3回 徳川家康 その5

秀吉と家康の考え方の違い
同じ天下人でも、秀吉と家康の考え方は明らかに違う。秀吉は海外との交易や鉱山を独占することで巨万の富を築いたが、その富を注ぎ込んだのは、自らの権力を誇示するための普請作事に限られた。つまり巨大城郭、豪壮華麗な屋敷、大仏などだ。その反面、農民たちが望む治水や新田開発には関心を示さなかった。
これは豊臣政権が国家統治ビジョンを持たず、単に軍事的に勝ち上がった結果、政権を担うことになったことを端的に表しているだろう。こうした初代がいる限り、仮に豊臣政権が何代続いたにしても、政権の基盤は安定せず、民は困窮し、各地で一揆が起こっていたはずだ。それだけ初代は大切なのだ。
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『黒南風の海 – 加藤清正』や、鎌倉時代初期を描いた『夜叉の都』、サスペンス小説『横浜1963』など幅広いジャンルで活躍
北条五代, 覇王の神殿, 琉球警察, 威風堂々 幕末佐賀風雲録 など。