デパート新聞 第2689号 – 令和4年6月15日
4月全国は19.0%増
日本百貨店協会は、令和4年4月の全国百貨店(調査対象73社、190店〈2022年3月対比±0店〉)の売上高概況を発表した。売上高総額は3778億円余で、前年同月比19・0%増(店舗数調整後/2か月連続プラス)だった。
百貨店データ
- SC販売統計4月
- 都市規模別・地域別 売上高伸長率
- 神奈川各店令和4年4月商品別売上高
地方百貨店の時代 その41 - セミロングの企画
デパート新聞社 社主
田中 潤
新しい企画の提案
デパートの催事は通常1週間、せいぜい1ヶ月くらいを目安で終了する。それ以外の場合は、テナントとして無期限でデパートに常置することがほとんどである。これからの地方百貨店は、半年〜1年くらいの期限で催事を展開するスタイルも考えていきたい。
例えば、催事フロアにスパゲティ・ピザの専門店を集結させ、イタリアンフェアを催す。全国の有名店をテナントに招いて、顧客にはその地域ではなかなか味わえない様々な料理を提供してもらう。そのためには、こうした有名店が一定期間参加できるような環境整備が必要である。
事前に研修を行い、デパートの社員であるシェフ等が、ある程度自分たちでできる技術を引継ぎ、テナントの調理人が直接滞在する必要を出来る限り減らす。つまり、どのテナントでも一定部分はデパートが自前でこなせるような調理集団を作るのである。また、テナント側の利益も最大限保証する。委託販売の出店とは違うレベルの待遇を提供するのである。
方向性のある催事
こうした態勢を構築するので、ある程度腰を据えてできるような期間を設ける必要がある。更に、催事は通常そのフロアだけのものとされているが、イタリアンフェアの期間は他のフロアもイタリア製の鞄、アパレル、靴といった仕入を行ない、関連ビジネスでの訴求を図る。文化催事も、イタリアに縁のある作家・音楽家などを定期的に動員していく。旅行会社と提携して、イタリア旅行などの提案をしていく。つまり、デパートを挙げて一つの方向を示していくわけである。こうした中長期的な催事のコンセプトをじっくり練って行っていくことで、地域の方々の夢と楽しみが大きく膨らむことになるだろう。
核となる催事フロアは、これまで行ってきた催事とはかなり異なる規模と設えが必要になることも多いだろう。そこが、地域のデパートで勤務する人々の新たな夢とやる気の源泉になっていくはずである。
朧
6月は、紫陽花、梔子、泰山木など、大小様々な花が鮮やかに咲き比べる時節である。梔子は、花の中でも最も甘く高貴な香りを漂わせ、一つの花の見ごろは2日あまりと短いが、衰えた後もその場所には豊かな香りが何日も続く。
これだけの香りを味わえる素敵な場に今日本中のどれだけの人が接し、楽しめているのかを考えると寂しい限りである。
コロナ禍が続き、人々の生を楽しむ時間が大きく制限されて久しい。五感で楽しむ自然との触れ合いについて真剣に考えるべき時である。
連載小説 英雄たちの経営力 第3回 徳川家康 その2
デパートのルネッサンスはどこにある? 2022年06月15日号-48 去年の今頃は
今現在、全国の新型コロナ感染者数は減少傾向にあり、政府も遂に6月から外国人観光客の入国制限緩和など、経済・社会活動の再開に向けた検討を進めている。
一昨年(2020年)の4月に、初めて緊急事態宣言が発出されてから、2年以上経過し、関係者からは「やっとか!」という声が聞こえて来る。
どの業種もだが、人が集まったり、対面接客を伴ったりする業種は特に、大幅な売上マイナスを被った。もちろん百貨店も例外ではない。それどころか、都心立地の老舗店舗ほど「不振を極めた」と言っても過言ではない。各デパートの経営陣は、足並みを揃える様に、売上をコロナ前(2019年)の水準まで戻す、という目標を掲げた。
先ずはコロナ真っただ中の1年前に遡ってみよう。
2021年2月期通期決算を公表した髙島屋と、大丸松坂屋百貨店を擁するJ.フロントリテイリングの決算資料には「百貨店の再生と、グループ収益基盤の強化」「完全復活から、再成長へ」といった新型コロナウイルスの影響から立ち直るための力強い文言が並んだ。
巨額の最終赤字から再生し、復活することができるのか。1年前の時点でその戦略を検証した。
※結果を見て、後から占いの「答え合わせ」する様ではあるが・・・
勿論、本当の「答え」は年を跨いで2023年に初めて判る。2022年の数字が両社の通信簿となるからだ。
続きは デパートのルネッサンスはどこにある? 2022年06月15日号-48 を御覧ください。