昭和24年10月創刊

メニュー
メニュー
編集部より

現代学生服業界を読む(3)

学生服業界が抱える問題点

 前回に引き続き、学生服業界が抱える問題点について探っていきたいと思う。新入生が注文した学生服が入学式までに未納品となった件について、当事者である学生服販売店A社は、その理由として次の点を挙げている。

  1. 事前に予測した各校の受注数と実際の注文数がずれた。
  2. 縫製メーカーからの納品が遅れた。
  3. コロナの影響もあり、受注時期が後ろにずれてしまっている。
  4. 生徒の進学先が最後まで判らず、受注数が読めなかった。

理由②は、東京都下の公立A中学校の制服に関して、縫製メーカーが生地メーカーへの生地の発注をし忘れたことが原因の様で、同社の責任ではないが、②以外の理由は販売店A社に限ったことではなく、全国の販売店にも起こり得る共通の事象であり、今後も全国の販売店で納品遅れが生じる可能性があると言えるだろう。

 では、ここで学生服の納品遅れを生じさせる可能性がある根本的な原因を探ってみよう。

①主に中学校の制服のモデルチェンジをきっかけとして生地、デザインが細分化され、汎用性が無くなり、多品種少量生産になったことで縫製に時間がかかるようになったこと。

②学校が採用する縫製メーカーを1社に絞っていること。
神奈川県内では私学の多くが、縫製メーカーを1社に絞っている。唯一の供給元である縫製メーカーが納品遅れを起こすと供給が出来なくなる。縫製メーカーを1社制にした場合、どうしても大手縫製メーカーの採用が多数となり、結果的に4大縫製メーカーに受注が集中する。これにより、4大縫製メーカーが供給能力以上の受注を抱える状況がうまれてしまう。

③入札制が影響していること。
東京都立高校の制服販売業者は入札制で決まっている。入札制は1社の販売店が数年間にわたり契約期間の供給を果たさなくてはならず、供給に支障が出ても他の販売店は関与できない
(複数の販売店が存在すればカバーが出来るのだが)。

④縫製メーカー各社が入学式間際(3日前〜7日前)に集中して制服を販売店に納めるので、販売店にはセット作業(制服上下、ワイシャツ、ネクタイ、セーター、ソックス等の付属品をピッキングし1箱に詰め合わせる作業)の能力を超える量の学生服が納品されることになる。このため、セット未処理品が溜まる悪循環が生じてしまうのだ。デパートの様な大組織であれば人海戦術でなんとか乗り切れるが、小規模販売店では納期までに作業を終えられないリスクを常に孕んでいることになる。