昭和24年10月創刊

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編集部より

現代学生服業界を読む(1)

届かない学生服

 東京都内の中学と高校で入学式の直前になっても一部の新入生に注文した学校制服が届いていない問題で、制服を受注した当事者である学生服販売会社の社長が記者会見で、「学校生活の初日に不安を与えて申し訳ない」と謝罪した。
同社は都内を中心に約320校から制服販売店に指定されている。
今春は約3万着の学校制服を受注したが、まだ約100着を届けられていない。

その理由について、
事前に予測した各校の受注数と実際の注文数がずれたことや、メーカーからの納品の遅れなどを挙げた。
コロナの影響もあり、受注時期が後ろにずれていることに加え、生徒の進学先が最後まで判らず、受注数が読めなかったという。
メーカーには一刻も早く作るよう求めているが、まだ全員に制服を届けられるめどは立っていないなどと述べていた。

 ある公立中学校は、この事態を受けて同社と競合する販売店に未納入分を注文をしたところ、すぐさま納品されている。
学校制服の営業経験が長い首都圏の百貨店マンによると、「メーカーに責任の一端を押し付けているが、身の丈に合った商売をせず、取扱い学校数を取引きメーカーの供給能力以上に増やしすぎた。同社が能力を上回る受注を抱え、更にその重大性を軽視していた営業体制に起因している。」と指摘する。

学生服業界の異変

 そもそも学校制服は学校生活のためには買わざるを得ないもの。また、親御さんにとっては子供の成長を感じ祝う「晴れ着」でもある。その制服に憧れて入学する者もいる。制服のモデルチェンジで偏差値が上がる例もあり、あらゆる点から観ても「一服飾品」ではないのだ。

 今回の一件は、「これまでの学校制服業界ではあり得ない事例となってしまった。」(前述の百貨店マン)が、今回の事件はそうした中で起きた一つの異変に過ぎず、背景には業界の構造的な問題が潜んでいるのではないのか。業界は今、深刻な危機に陥っている気がしてならない。学生服とデパートの歴史的な関係を改めて振り返りつつこの事件の背景を掘り下げ、学生服業界のあるべき姿を探求していきたい。