特別寄稿 NY視察2019から見る、百貨店のさらに恐ろしい未来 第5章の3
第5章ニューヨーク郊外ショッピングモールの衝撃その3
前回に引き続きニューヨーク郊外のショッピングモールを視察しました。
ポストモール - コネチカット州ミルフォード
コネチカット州最大のショッピングモール、ポストモールにきました。シアーズとターゲットがキーテナントであり、ボスコフスも出店していました。
この「ポストモール」では、まさに、10年後の日本の厳しい未来が見えました。トイザらスもキーテナントの一つとなっていましたが、すでに閉店しており、後継テナントが見つかっておらず残念な感じです。その 影響もあり、全体的に車の数は少なく、定休日かと思わせる雰囲気でした。
ちなみに、この日は土曜日の午前中です。休日ですから、本来ならもう少し多くの来客があってもいいのでは?と感じました。
キーテナント百貨店の閉業〈シアーズ〉
ここでもまた、キーテナントであった百貨店のシアーズが閉館に追い込まれており、次のテナントが決まってない状態でした。キーであり大型テナントであるシアーズの閉店は、集客に大きな影響があるが、大型ゆえに後継テナント探しは極めて困難でしょう。
百貨店の中は全て綺麗に片付けられており、どうやら次のテナントは決まっていない様子でした。
それでも、どうにか頑張っている百貨店〈ターゲットとボスコスフ〉
ターゲット
シアーズは閉館しましたが、もう一つのキーテナントであるターゲットは営業しておりました。土曜日の朝なので、多くの客を期待して訪問しましたが、店舗内はスカスカでした。比較的きれいな店内であったので、新しい店ではないかと思います。
「ディスカウント百貨店」として、しぶとく頑張っているターゲットであっても、ポストモールでは厳しいかもしれません。
ボスコフス
また、アパレル中心の百貨店「ボスコフス」もキーテナントとして出店。「ボリュームゾーン商品」を中心に展開しており、価格での訴求力がある百貨店でした。生活雑貨なども幅広くあり、日本の無印良品にようなポジションに感じました。
キーテナントがない連絡通路の人影の少なさ
キーテナントのシアーズとターゲットをつなぐ通路。シアーズは閉館しており、土曜日の朝にも関わらず、通路には人影はなく、寂しい限り。
アメリカ人はゲームが好きなのか通路の至る所にゲームをする機械が置いてありました。人件費が必要なく、賑わいを作れるツールではないでしょうか。また賃料収入も見込めるのではないでしょうか。
オープン後なのにスタッフが居ない店舗
複数の店舗が、モールのオープン後も関わらず、営業しておりませんでした。「15分後に戻ります」という紙が貼ってありますが、15分経過後も、この店は営業しておりませんでした。
人件費を考えれば、確かに、都合のいい時間に開けたくなるテナントもいるのでしょう。
閉まっているテナントも多く寂しい気持ちになりました。
営業できているナショナルブランド
営業している店舗に目を向けると、ナショナルブランドが多いようです。
結局、残るところは、ナショナルブランドのアパレルだけになってしまうのではないでしょうか。
日本で言うところの、ユニクロ、GU、ニトリ、無印良品、ABCマートなどが、大型モールのキーテナントになるのと同じではないしょうか。
例えナショナルブランドであっても、店舗の売上だけでは経営が苦しくなりますが、すでにブランド力を活かしたネット通販にも注力しており、店舗がタッチポイント(試着)やショールームとしての機能を果たしているのではないしょうか。
フードコートも元気がない
気になるのがフードコート。大型モールのフードコートといえば、日本では大賑わいが当たり前です。
今回訪問したのがお昼前ということもあり、あまり期待をせず訪問しましたが、入口から店舗が閉店しており、やはりここも元気なし。
ALL IN Adventures - 大人向け脱出ゲーム
子供向けの娯楽施設ではなく、企業研修の一環としての、従業員同士のチームワークづくりのための施設として活用されている。
最後まで残るのはスポーツジムとキッズスペース
キーテナント失ったショッピングモールにおいて、最後に何が残るのか。このモールには、そのヒントがありそうです。
朝から華麗に運動をしているアメリカ人。そうですフィットネスジムです。そして子供が遊べるキッズルームの業態。この二つの業態が、大きく展開されていました。
アメリカは平均時給が2000円を越すと言われており、もはや小売業ではショップ店員を雇用しきれないのかもしれません。店舗運営は効率化を求めていく必要性があり、最後には、このようなサービス業態が残っていくのではないでしょうか。
次回
ボストンでの都心型モールから読み解く、今後のモールとは
株式会社クリック&モルタル 代表取締役