ヨドバシの素質と資質 続編

※因みに本編は 2025年9月15日号 に掲載している。
月日の経つのは早いもので、また、この季節がやって来た。2025年版「従業員の不満投稿が多いブラック企業ランキング」が発表されたのだ。
小売部門のワースト10にはいつものように常連がならんでいる。
※それはそれで問題なのだが・・・ロピア、ヨーカ堂、ヤオコーといった食品系が多いのも気になる。
働き方ブラック企業 ワースト10
(2025年に従業員の不満投稿が多かった小売り企業)
1株式会社ネクステージ
2イオンリテール株式会社
3株式会社ライトオン
4株式会社IDOM
5株式会社イトーヨーカ堂
6株式会社ロピア
7株式会社いーふらん
7株式会社キャン
9株式会社ヨドバシカメラ
10株式会社ヤオコー
10株式会社カインズ
筆者が注目しているのは、9位のヨドバシカメラだ。その理由は2024年11月に上梓した、「セブン&アイはなぜ池袋西武を売ってしまったのだろう」にも記した。
ヨドバシカメラは、昨年から今年にかけてリニューアルの真っ最中の西武百貨店池袋本店の面積を半減させた当事者であるからだ。因みにランキング「ワースト5」はイトーヨーカ堂である。これも何かの縁か、それとも悪縁とでも言うのだろうか。
そこで働いているスタッフが不満を漏らす、ということは、その企業が顧客に対して「誠実だ」とは言えない、というのが筆者の持論だ。その企業が「小売業」であり、直接「顧客」との接触、つながりを持つのであれば尚更だ。
※製造業ならばブラック企業でも見逃して良いといっている訳ではもちろんない。
小売りとサービス業は顧客と直に接触する「商売」であるから、対外的な批判以上に内々の不満をなくす努力をすべきだと言っているのだ。
2025年ワースト9位
9位はヨドバシカメラで、投稿数は23件だった。主な投稿は下記の通り。
「女性でも男性と同じ仕事を求められるため、肉体的にも精神的にも大変な場面は多い。男性社会のため、世の中で言われるようなセクハラまがいの発言をする人もいる」
「普通に考えるとブラック。勤務時間が長く、責任者は勤怠を押してからまた働く。サービス残業が当たり前」
「本来の定時に4時間を足した時間が現実の定時。それより早く帰れることはない。体を壊す前に早く逃げ道を作ったほうがよい」
「とにかく残業しまくり。酷いときは一日14時間も働くため、睡眠がたった数時間しか取れない」
「1日に12時間以上働かされることに疑問を持った。途中から何のために働いているのかよく分からなくなった」
とにかく残業が多い、というのが不満の大半のようだ、もちろんセクハラも大問題だ。
念のため1年前に発表された2024年の記事を振り返って見てみよう。
従業員の不満投稿が多い「ブラック企業ランキング2024」の小売ワーストだ。
2024年ワースト2位
2位はヨドバシカメラで、投稿件数は42件。主な投稿は以下の通り。
「圧倒的に売り場の人手が不足しており改善する未来が見えない」
「なぜ社員が多く辞めてしまうのか、売り場の状況を確認すれば簡単にわかる。本部は毎度毎度『お客様を大切に』というが『社員を大切に』するべき」
「ワークライフバランスはかなり悪い」
「ほぼ毎日残業がある。辞める人が多くて、その分人が足りない」
「残業時間や悪質なクレーマーによる精神的な疲労、また、ずっと立ちっぱなしなので体力的にもきつい」
「システムが時代遅れで立ち上がる時間が非常に遅く、配送用伝票は手入力。配送業者との細かいやりとりはファックスを使うケースが多い」
「とにかく勤務時間が長い。すぐに人が辞めるので慢性的に人手不足で残業時間が増える」
「残業が多く、休みの日は寝るだけ。有給は取る時期をほぼ指定される」
「とにかく拘束時間が長すぎる。法定の時間数ぎりぎりの残業時間で常にシフトが組まれているため、ワークライフバランスどころではない」
「客に対して従業員が少なく、手が足りないので、残業が多くなる。月45時間超えてなければOKという風潮」
「取締役、役員とも前時代的な発言が多い。女性の社員や取引先に対し、年齢、外見、体型を揶や揄ゆする言い方が日常的」
「パワハラは当たり前。一族経営」
さて、ここまで見て購読者諸氏はどう思われたであろう。2024年がワースト2位(投稿数42件)で2025年が9位(23件)であれば、「1年間で7ランクも下がったのなら、だいぶ改善されたな。」であろうか?
とんでもない!!
ブラック企業ランキングの常連であるにもかかわらず、1年たっても、ワースト10に入っているのだから、社内で改善の動きは一切していないだろうことは、明らかだ。それこそが問題なのだ。企業としてアンコンシャス=この問題を意識していないのだ。
繰り返しになって恐縮だが、ヨドバシカメラは池袋駅直結の西武池袋本館北側の一等地を取得し、2026年中にはオープンさせるつもりなのだ。ヨドバシがこの場所に執着しているのは、既存店であるビックカメラやヤマダ電機よりも「良い立地」であるからだ。ヨドバシは、例え従業員が会社に不満があっても、好立地で価格が安ければ、ライバルに勝てる、と思っているのだろうか。池袋の消費者をなめて貰っては困る。
筆者は池袋の玄関には、顧客も従業員も大事にしてくれる企業が望ましいと思っている。なぜヨドバシはいつまでも、この不名誉な状況を改善しようとしないのだろう。不思議でならない。余計な事に手間も金もかけたくないのであろうか。であれば、その企業方針は間違っている。そして我々メディアは、こういったことにもっと敏感に反応すべきだとも思う。我らが百貨店は、今年から元旦営業を返上し、従業員の働き方を見直し、改善をつづけていることは、本コラムでお伝えした通りだ。ところで、池袋のヨドバシはいつオープンする予定なのだろう。筆者がAIに尋ねたら「2025年夏の予定」と回答してきた。「半年前やないか!!」思わず関西弁が漏れた。
冗談抜きで、ご存知の方は教えてもらいたい。どうぞよろしく。
尚、ご興味のある方は、デパート新聞2025年9月15日号のコラム「ヨドバシカメラの素質と資質」の中の「ヨドバシカメラに公取委勧告、PB家電の製造代金など不当に減額下請け6社に計1349万円支払い」をご参照願いたい。

デパート新聞編集長
