地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト そのその46 CA プロジェクトの松菱百貨店での(その2)

1.「食べる本屋さん」の開店

地方デパート逆襲(カウンターアタック、CA)プロジェクトは、令和6年12月4日松菱百貨店4階に「食べる本屋さん」をオープンさせました。
本屋さんの立ち位置
書店は本を売る小売業ですが、地域の方々とのコミュニケーションの場として、他のお店と比べて安全・安心・信頼を強く意識させる存在です。それは、書店主を頂点に本という文化を発信するという共通認識が顧客との間にあることが大きいからです。その点で、この数十年の間に次々と姿を消した街のカメラ店・家具店・八百屋・魚屋等とは少し違った立ち位置にあり、紙の本を求める一定の顧客層がいるというだけでなく、書店の存在を肯定する人は大多数であると考えられます。こうした状況も、デパートが現在置かれている立場と非常によく似ています。
さて、これからの時代本屋さんに求められるのは、地域の中で人と人とを結ぶ思いやり溢れる場を作ることです。本屋さんを象徴する店主とそれを支えるスタッフが、顧客を温かく迎え入れる環境を作るのです。食べる本屋さんの掲げる基本理念は、コミュニケーションという無形の場づくりをしていくことです。その思想を顧客が求める具体的内容に置き換えていきます。


具体的には、今までの書店と同じことをしていてはおそらく成立しないでしょう。つまり、安易に書店の収益を優先することは容認できません。顧客が本屋さんに行きたくなる要素を徹底して絞り込んで展開していくことが必須です。そこで、食べる本屋さんは他の店にはない魅力ある本を出版社の力を借りて見いだすことを主題としました。
そして、そうした本は全国の小さな出版社さんにこそ、潜在的に存在すると考えました。なぜなら、そうした出版社さんは取次店・書店の弱体化で、流通にのせることが困難になっているからです。これらの本は小さな出版社だからこそ、一冊ずつ大切に作られているはずです。当然に、本の顔である表紙にその思いが結集しているので、そういう陳列の仕方(面陳)が必要です。そして、その本について出版社自身がその本への思いをポップカードに書いて表示します。
また、本を基軸にして様々な商材を関連させて販売します。そして、そこに集う不特定多数の人たちの為のコミュニケーションの場を作ります。本は、非常に親和性のある媒体で、無数の商材に順応します。どんな商品でも、本に書かれていないものはありません。この特徴を活かすことで本を主体とした複合的な店づくりをすることが可能となります。だからこそ、あらゆる商品を扱うデパートでこの取組みを行うことは極めて有効なのです。
食べる本屋さんの具体的運営 ―デパートというブランドを最大限に活用―
食べる本屋さんは、知識・教養を文字通り食べようという意と、本屋(デパート)で美味しいものを見つけよう、食べて幸せになろうという2つの意味があります。そして、今までの書店とは一味違うのだというメッセージでもあります。
次回は、具体的な運営方法についてお話しましょう。