地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト その41 営利事業と公益事業
三方良しと経営二刀流
デパートは紛れもない営利法人ですが、その事業の根幹には公益的思想が必要です。顧客も従業員も取引先も豊かになる「三方良し」の教えは、多くのデパートに創業精神として宿っています。ところが、資本主義の論理に縛られ、デパートの経営者は売上を伸ばし、利益を上げることに躍起になり、公益事業を行なおうという意識になることは、大変困難なようです。
そもそも、公益事業は事業を行なう最初の段階で、利益を上げることを目的にしません。事業を行なうことで、不特定多数の人々が幸せになることを優先して考えます。但し、事業である限りは当然に継続することが前提です。そのためには運転資金を得るために、収益を上げることは不可欠です。これが収益事業と公益事業の経営二刀流が必要であるという根拠です。
デパートの事業は当然その収益を上げるための多くの仕組みをもっているわけなので、その部門においては全力で営利事業を推進すれば良いのです。但し、それと同時に利益を上げることよりも、地域の方々のためになる事業を積極的に行っていくことを忘れないことが公益事業の実践につながっていきます。そして、営利事業(収益事業)と公益事業の両輪をしっかり意識して、両方の事業に全力を尽くすということが肝要です。
相扶ける関係を築く
顧客はこうしたデパートの姿を見て、地元にデパートがあることに誇りをもち、信頼感を高めます。そして、ここが大切なところですが、デパートに対してもその存続に強い関心を持ち、自分も出来る限りデパートで買物をしようと考えてくれます。自然な形で、顧客にデパートを助けてあげようという気持ちをもってもらうわけです。
公益事業を行なうということは、その事業を行なっている事業者は不特定多数の方々に小さな幸せを創造する一方、地域の方々から様々な助けを受けることができる立場になることなのです。これが、相扶ける関係という、公益事業だからこそ起こり得るかけがえのないコミュニケーションを生むのです。
デパート新聞社 社主