地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト その34 大都会のデパートと地方デパートの違い

大都会のデパートの戦略

 CAプロジェクトを進めるにあたり、大都会のデパートと地方デパートの戦略がどう違うのかを考えることは重要です。今回は、その点を掘り下
げてみたいと思います。
都心にあるデパートの売上は破竹の勢いを示し、過去最高益を記録しています。これには、大きく3つの要因があります。

 まず第一は、富裕層に対する徹底的な囲い込み戦術が大きな成果を上げていることです。これは、外商を活かし、コミュニケーションを幅広く進めていることに起因します。
次は、外国人顧客の隆盛です。コロナが一段落し、円安が急速に進んだことで、来日外国人は増え続け、大きく売上を伸ばしています。
そして、3つ目は大型テナントへのフロアー貸しないしはそれに近い形での賃貸戦術です。
デパートでありながら、量販店のように特定アイテムの商品を徹底的に積み上げる物量戦術は顧客の心をくすぐります。以上のように3つの大きな柱が強力に機能して、大都会のデパートは素晴らしい実績を誇っています。

 一方、地方デパートは、外国人客の招聘がほとんど不可能なこと、大規模なテナントの誘致も顧客誘引力を考えると極めて困難なことは争う余地はなく、大都会のデパートのような戦い方は出来ません。しかし、富裕層は全国どこにでもいます。この点を改めて見直す余地は十分あると思います。

富裕層へのコミュニケーションの方法

 地方デパートでは富裕層への対応が遅れたのは、外商員を始め人手不足が深刻なことが大きな要因です。しかし、そこから逆転するのはそんなに難しいことではありません。コミュニケーション力をしっかり教育した社員を再整備し、改めて営業活動を仕掛ければ、すぐにも結果を出すのではないでしょうか。

 キーワードは、顧客に対して理念あるコミュニケーションを行なうということなのです。それは、モノではなく販売員である自分を買ってもらうことにつきます。同時に、その考え方は先義後利。まず、顧客の利益を重んじていこうという公益的姿勢を持つことです。
自らの合理性を優先させずに、思いやりをもって接するということです。徹底した合理的戦略を掲げる大都会のデパートも、富裕層へのアプローチではこの立ち位置は変えていません。だからこそ、勝っていけるのです。デパートならではの在り様をもう一度見直し、地方デパートは大都会とは一味違う地域ならではの文化と歴史を踏まえて、コミュニケーションを進めていきましょう。