地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクトその27 暮らしのサポーターは、経営二刀流の象徴

暮らしのサポーターの役割

 CAプロジェクトの大きな柱は、暮らしのサポーターの育成です。暮らしのサポータは、デパートの販売員すべてが店から出て、顧客の自宅や事業所を訪問し、コミュニケーションを深めていこうという戦略です。

 そして、暮らしのサポーターは、地方デパートが掲げるべき経営二刀流―即ち、収益事業と公益事業の両方の事業に係るものになります。つまりどちらを目指すというのではなく、顧客の下に通い、自分を買ってもらうようになることで顧客の信用を得て、進んでデパートの商品の購買に繋がり、収益事業が成立するわけですが、同時に暮らしのサポーターは顧客と頻繁にコミュニケーションをとることで顧客の生活上の悩みについて相談に乗ったり、場合によっては具体的にヘルプをするというところまで踏む込むのです。


 それは、病院の付き添い、買い物代行、自宅の整備(修理、清掃、草刈り)の手配など種々あります。こうしたニーズは、高齢化し更に孤立化している人が急増している現代の日本において年々増えています。

 特に、交通機関が加速度的に衰退している地方において顕著であり、自分の生活における不都合に前向きに関心を持ち、関わってくれる人は今の時代ほとんど皆無といって良いでしょう。

 その役割を接客能力に長けたデパートの社員が担うのが暮らしのサポーターなのです。

暮らしのサポーターの立ち位置

 当然ながら、外商顧客に対して行なう「何でもします」というようなサービスは出来ません。顧客が「どうしても出来ないこと」「本当にやって欲しいこと」をピンポイントでサービスしてあげることです。

 むろん、そこでの収益性は考えません。相手への思いやりの心で行なうデパートとしての公益事業です。

 多くの小売業の事業理念でもある「損して得取れ」でもありません。サービスをした相手から収益を得ることは、結果的に全くないかもしれません。それでも、そうした公益事業を行い続けることで、地域の方々からデパートに対する信頼感は確実に高まります。無くてはならないデパートとしての共通認識が形成されていくわけです。

 そうした態勢をとることが出来るように、暮らしのサポーターを設けることが絶対に必要なテーマであるというもう一つの共通認識をデパート内で持つことが不可欠です。