英雄たちの経営力 第11回 大久保利通 その2
藩政の中心となる大久保
文久二年の久光の率兵上京は、かねてから大久保たちが目指していた薩摩藩による京都の守衛が実現したことになる。だがこれに沸き立った尊王攘夷志士たちが、こぞって京都を目指したことで、恐怖した朝廷は久光に浪士たちの取り締まりを命じる。
四月、伏見の寺田屋に集まっていた薩摩藩の尊攘志士たちが、久光の命によって派遣された藩士と斬り合いになった。寺田屋事件である。この事件に接した大久保は傍観者的立場を崩さず、何の感懐も述べていない。冷徹な政治家としての一面が、この頃から萌芽してきていたのだろうか。また久光一行が勅使を連れて江戸まで行った帰途、生麦事件を起こしてしまい、英国との関係が悪化する。
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作 伊東 潤
『黒南風の海 – 加藤清正』や、鎌倉時代初期を描いた『夜叉の都』、サスペンス小説『横浜1963』など幅広いジャンルで活躍
北条五代, 覇王の神殿, 琉球警察, 威風堂々 幕末佐賀風雲録 など。