デパート新聞 第2726号 – 令和6年2月1日

12月東京は6.2%増

 日本百貨店協会は、令和5年12月東京地区百貨店(調査対象12社、22店)の売上高概況を発表した。売上高総額は1877億円余で、前年同月比6.2%増(店舗数調整後/28か月連続増)だった。店頭・非店頭の増減は、店頭6.9%増(91.1%)、非店頭マイナス0・4%(8.9%)となった。

百貨店データ

  • 都内各店 令和5年12月 商品別売上高
  • 関東各店 令和5年12月 商品別売上高
  • 12月店別売上前年比(%)
  • 3社商況12月

12月インバウンド売上高、過去最高477億円

3か月連続記録更新23年は過去最高3484億円

円安効果・客数増加・単価上昇効果
昨年比2.2倍、コロナ禍前比6割増

 日本百貨店協会が1月25日に発表した12月の全国百貨店のインバウンド売上高(免税総売上高)速報値は、前年同月比約2.2倍の約477億4千万円だった。円安効果や購買単価の上昇に訪日客の回復を追い風に3か月連続して最高額を更新した。コロナ前の19年12月(299億2千万円)比では、59.6%増となった。23年の免税総売上高は14年10月の調査開始以降で最高の3482億円となった。(図表1参照)購買客数、約44万人コロナ前に並ぶ 上位は中国・韓国・台湾・東南アジア

 購買客数は、水際規制が緩和された22年10月(7万人)から右肩上がりに増加し、12月は20年1月(45万4千人)以来最高の43万8千人となった。19年比では100.2%でコロナ前の水準に戻った。

 来店が多かったのは、中国本土、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシア。一人当たり購買単価、約11万円、コロナ前比1.6倍

 一人当たり購買単価は、19年同月(6万8千円)比1.6倍の10万8千円だった。売上の人気商品は、化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・用品。(図表2参照)

12月訪日客数、273万人 コロナ以降で最多更新 年間で2500万人突破

22年10月の水際対策撤廃以降急回復 円安も追い風にコロナ前8割回復 12月として過去最高

 日本政府観光局(JNTO)が1月17日に発表した12月の訪日外国人客数(推計値)は、コロナ前の19年12月比8.2%増え273万4000人だった。6月以降7か月連続200万人を上回り、23年の年間数値は2506万人で、19年(3188万人)比78.6%の回復となった。特に韓国、台湾、米国からの訪日客数増加が12月の数値を押し上げた。(図表3参照)訪日客数、韓国首位、次いで台湾・中国・香港・米国 上位5か国で7割香港、シンガポール、豪州、インドネシアは単月で過去最高

 国・地域別の順位は、前月と変わらず韓国が約78万人でトップ、次いで台湾(約40万人)、中国(約31万人)、香港(約25万人)、米国(約18万人)の順だった。この上位5ヶ国が全体の7割を占めている。(図表4参照)

 全23の国・地域別のうち12か国(韓国、台湾、香港、シンガポール、インドネシア、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、中東地域)が、12月として過去最高を記録したほか、香港、シンガポール、インドネシア、豪州は単月で過去最高を記録した。23年訪日外国人消費、5兆円 過去最高更新

 観光庁が、1月17日公表した23年暦年訪日外国人消費動向調査(速報)によると、23年の訪日外国人旅行消費額は、5兆2923億円と19年比9.9%増加し過去最高を更新した。

 国籍・地域別では台湾が最も多く7786億円次いで中国(7599億円)、韓国(7444億円)、米国(6062億円)だった。

 中国の旅行消費額は19年には1兆7704億円で全体の36.7%を占めたが、23年は7599億円(同14.3%)と大幅に低下した。

 費目別では、宿泊費が34.6%と最も多く、次いで買物代(26.4%)、飲食費(22.6%)の順で、19年は、宿泊費(29.4%)の構成比が増加、買物代(34.7%)が減少し、買物よりも宿泊、飲食、娯楽サービスに比重が移っている。

 訪日外国人(一般客)の一人当たりの旅行支出は21万2193円と19年(15万9千円)から33.8%増加し、国籍・地域別では、スペインが最も高く(34万2千円)次いで、豪州(34万1千円)だった。参考に19年は豪州(約25万円)、英国(約24万円)、フランス(約24万円)の順であった。

 一人当たり宿泊費は欧米豪で高い傾向がみられ、中でも英国とイタリアが14万円超と高く、買物代は中国(11万9千円)が突出し、娯楽等サービス費は中国(2万3千円)と豪州(2万2千円)が高かった。(図表5参照)

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 大都市のデパートはインバウンド客の売上が伸び続け、富裕層の高額商品に対する購入意欲が旺盛な状態と相まって好業績を続けている。その一方で、島根県松江市で65年間営業を続けた一畑百貨店が1月14日閉店をした。
 年商はピーク時と比べ激減し、テナントもオファーすれども空振りの連続で、売上向上への見通しが全く見えないということが決断の一要因であったようだ。
 地方百貨店は、大都市のデパートとは別の方法で戦うしかないと本紙では再三主張している。物販やテナント賃貸ではなく、コミュニケーション事業への変換である。人と人が結びつくことがそもそもデパート本来の在り方であり、また新たな道の始まりになるということを改めて肝に銘じて欲しいものである。

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