地方デパート 逆襲(カウンターアタック) プロジェクト その22 必ず相対で接客出来る形を作る ~暮らしのサポーターに向けて~

 デパートは、人と人とがコミュニケーションをとることで付加価値を生み、ビジネスを拡げていく事業です。その際のコミュニケーションにおいては、非合理的見方が絶対に必要です。但し、そのためのシステムの作り方は、徹底した合理性をもって進めることが必要です。そのためには、データを活かすことが不可欠です。今回は、デパート内の各セクションでのコミュニケーションを具体的に考えていきます。

1.一般の売場

 デパート店内の売場は、まず売上を上げているところには必ず人が配置されていることを確認します。売上があるのでその売場は大丈夫と判断せずに、混んでいる時に「顧客を待たせていないか」「接客が粗くなっていないか」などを検証し、より良い接客を心掛けます。

 次に、売上の上がらない売場については来場客の動向を見極め、その売場は閉鎖してしまうことも考えます。売上を上げようと頑張ることは、必ずしも必要ありません。店の人が付いていない売場でたまに来た顧客を待たせるよりも、売場として成立させない勇気も必要です。その場所は、来店客の休憩スポットなどの活用や、思い切ってストック場として利用していくことも一つの方法です。最も気を付けるべきは、接客に支障をきたさないことなのです。

2.食品・贈答品売場

 顧客が最も賑う地下や1階の食品、贈答品売場への従業員の十分な張り付けは絶対に欠かせません。顧客は購入について必要性が高く、かつ滞在時間も限られていること、更に固定客が多いということを踏まえると、接客サービスの質は一般の売場より高い確率で吟味されるからです。したがって、他の売場を閉鎖してでも、この売場には人手不足をさせないシステム作りが必要です。

3.外商

 外商員は自ら出向いて顧客のところに行くので、相対の接客は必然的に生じると考えがちですが、大きな落し穴もあります。それは、外商員を待っている顧客に外商員が気がつかなければ、いつまでも待たせてしまうことになるからです。表面的には、顧客の不満は表れませんが、いつまでも待ってくれるわけではなく、そのデパートを使わないという最終選択に直結してしまうリスクがあります。これを防ぐために、外商員及び外商事務員は皿回しの皿が落ちないように顧客データを常にチェックし、足の遠のいている顧客への訪問を欠かさないようにしなければなりません。この作業が、デパートとしての立ち位置を守るために必ず行わなければならないことなのです。

 人とは不思議なもので、事務作業やデータ集計など機械的に進められることを非合理な考えで行ない、人と接点が生じることを自分本位の合理性で進めてしまうところがあります。それは、どの事業においても起こり得ることですが、デパートは何をおいても人とのつながりのために、自分の立場の合理性を捨て、徹底的に非合理な神経を使わなければいけないのです。

 こうした形をしっかり固めた上で、いよいよ暮らしのサポーターが投入されることになります。