地方デパート 逆襲(カウンターアタック)プロジェクト その2 資本主義の改良は、人が核となる

資本主義の社会性・道徳性

 資本主義という考え方は一定の社会性・道徳性を有した概念であると、私は考えています。今更そんな非経済的なことを、と思う方もいるかもしれませんが、共産主義や社会主義などと比較しても、資本主義は「そこで生活を営む人々を豊かにすること」「幸せにすること」を大きな目標にしていることについて、多くの人に異論はないでしょう。つまり、単なる経済行為とは一線を引いて資本主義を考えることは、これからの時代、間違ったこととは言えないと思うのです。

 岸田総理が再三唱える″新しい資本主義″とはそういう要素を含んでいるのではないでしょうか。そして、社会性・道徳性の見地から最も見直しの必要があるのは、ごく一部の人にのみ富が集中する仕組です。

富が富を呼ぶシステム

 本紙令和5年1月15日号でも述べたように、富を得た人が、金融システムの枠組みの中で確実に富を増やしていくことが当り前である今の形を変え、一定額以上富を蓄えたら社会に投資をさせる、寄付をさせる仕組を作ることこそ、民主的な資本主義社会であると思います。

 一定額以上儲けたら国に税金を納めて、社会に還元するというのはすべての人の共通認識です。その考え方はずっと変らず続いているのに、儲け過ぎて余った分については、ほとんど拘束なく更に増やすことができるようになってしまっていることは矛盾しています。

デパートが資本主義を変える

 国家がこの形を変えられないならば、私たち国民が強く声を上げるべき時かもしれません。そのためには、まず、今の資本主義の枠組みを脱却するためのコミュニケーションを育む必要があります。それが、地域での文化交流活動であり、日々の営みの中での助け合いなのです。そうした仕組が機能しなくなっている今、新たにその形を作るための核となるのが、デパートに他なりません。人そのものを企業の財産として歴史的に雇用し続けてきたデパートが、今こそその人の力を最大限活用し、地域の人々のために新たなコミュニケーションの扉を開くべき時です。

デパートが人を幸せにする

 その流れが盛り上がっていけば、たくさんの人が自分たちの地域のためにその人が出来る範囲で、公益活動を行なう意識を持ち続けることになるでしょう。不特定多数の人々に心の豊かさが共有されることになるのです。それこそ、デパートの存在意義である人々に幸せをもたらす道に他なりません。