英雄たちの経営力 第6回 平清盛 その2

清盛登場
清盛は元永(げんえい)元年( 一一一八) 正月に生まれた。この頃は白河院の院政の全盛時代で、平家は祖父正盛が健在で、父忠盛も二十三歳という若さだった。
今回のテーマが「経営力」なので、軍事面の記述は割愛するが、清盛は保元・平治の乱を勝ち抜いたことで、絶大な権力を手中に収めていったのは言うまでもない。
しかしそればかりではない。見逃されがちだが、清盛は人間的魅力に溢れた人物だった。
『愚管抄(ぐかんしょう)』の著者の慈円(じえん)は、清盛を「あなたこなたしける平中納言殿」と評している。これはどっちつかずの風見鶏という意ではなく、政治的周旋に優れ、どちらかに肩入れしない、依怙贔屓(えこひいき)しないという意味だ。清盛は公明正大で、考え方に一貫性があるため、他人から信頼されやすいという側面があった。
また真面目で謹厳実直な一面もあり、責任感も人一倍強い。ただし誇り高く人に弱みを見せないので、うまく行かなくなると他責指向が強くなることもある。
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作 伊東 潤
『黒南風の海 – 加藤清正』や、鎌倉時代初期を描いた『夜叉の都』、サスペンス小説『横浜1963』など幅広いジャンルで活躍
北条五代, 覇王の神殿, 琉球警察, 威風堂々 幕末佐賀風雲録 など。