昭和24年10月創刊

えきの駅 食文化探訪 第11回 丸由百貨店 営業3課 安部行禮アシスタントマネジャー インタビュー

安部アシスタントマネジャー

 丸由百貨店は、1937年に開業した、鳥取市内に唯一ある百貨店。
1949年以来使用してきた「大丸」の商標・商号のライセンス契約が2022年8月31日をもって満了したため、翌9月1日から(創業時とは同じだが読みが別)の丸由百貨店(まるゆうひゃっかてん)に屋号を変更した。

 これにより「大丸」としては鳥取県内から完全撤退したものの、株式会社丸由への商号変更後も大丸松坂屋百貨店との一部商品調達(特選系ブランドの仕入れ)は継続するなど、JFRとの関係も少なからず維持される。

「丸由百貨店の立地と食品売場の商圏、顧客層をお聞かせください。」

(安部さん)
 当店は、鳥取県東部の鳥取市にあり、鳥取の玄関口、JR鳥取駅に隣接する鳥取駅前商店街(約80店)の入り口に立地しています。2013年には、鳥取駅前の顔となる開閉式大屋根と芝生広場の「バード・ハット」が当店の隣に完成。(当店を始めとする駅前商店街のフェア・イベント開催の場となっています。フェア・イベント開催は販売よりも人を集めることが目的です。)周辺商店街の賑わいと市民の交流の中心地として注目を浴びています。観光客、市民の集まる賑わいあふれる商店街の核となっています。集客は鳥取駅前商店街を含めて土日祝日集中型です。

 駅周辺にはホテルニューオータニを始め多くのビシネスホテルが進出しており、それらに宿泊される観光客の当店のご利用が開店時と夕方6時以降に多く見られます。

 中心商圏は、鳥取県東部の鳥取市、岩美郡、八頭郡です。鳥取県中部の倉吉市までを商圏としており、商圏人口は約30万人です。顧客の中心年齢層は50歳代~60歳代。全店的にも同様な傾向です。

「食品の各品目別の売上比率をお聞かせください。」

(安部さん)
 和洋菓子が約30%、酒類・瓶詰・缶詰等の保存食品が23%、生鮮3品・惣菜が26%、5階レストランが10%、その他約10%です。鳥取空港の売店ではみやげ物を販売していますが、コロナ禍で落ち込んだ売り上げが回復基調にあります。全店売上に占める食品の売上は約30%です。

「3年前から全店的にリニューアルを実施されてきました。」

(安部さん)
 若い世代の方に来て頂く戦略として、2019年9月に第1弾リニューアルを実施しました。1階化粧品フロアには山陰初出店となるロクシタンを入れ、4階フロアの無印良品を拡大させて再スタートを切りました。

 また、2020年4月には第2弾リニューアルとして、5階フロア、屋上フロアを人々の集う場とするためのリニューアルを実施しました。(詳細は後述)

 また、5階フロアの昔ながらのデパート食堂を一新し、本格窯を持つピザ店と様々な丼メニューランチも楽しめるカフェを導入しました。この2店の導入により若いお客様が劇的に増加しました。リニューアル前の食堂時代のお客様は暫く敬遠されていましたが、徐々にこの新店にお越し頂き始めています。(ピザ店については、産学連携・SDGsの取組みの取組みの章でも後述)

 地下食品フロアは、生鮮食品の充実を図る為、今年5月に山陰初出店となる北野エースを入れました。
リニューアル後は、土日祝日はもとより、平日の午後から夕方にかけてはご来店客が目に見えて増えました。

 5階フロアには、観光スポットとしての新名所・SNS映え間違いなしのフォトスポットとして、鳥取が誇る日本遺産「麒麟獅子舞」の巨大な獅子頭の設置。鳥取の景色を一望できる展望テラスは、学校帰りの高校生の良い意味での溜まり場になってきています。当店に来易くなったのでしょう(笑い)。これは当店の狙いひとつでもあります。

「恒例の催事について」

(安部さん)
 地下食品フロアでは定期的に、地元産品の5日間程の短期催事を開催しています。例えば、鳥取市内から米子市のある生産者まで車で1時間かかります。わざわざ現地まで買いにいかなくても、丸由に来て頂ければ地元の食を求める事ができる。お取り寄せ的なコンセプトです。

matsumoto_cheesecake(米子市)の「チーズケーキ」は毎回販売開始してすぐに売り切れます。米子屋旅館( 日野郡) の「大山おこわ」は、鳥取県の顔となる特産品。大山山麓の食材を使用したしょうゆ味のおこわで、県西部地区の郷土料理です。

 田村商店( 西伯郡) の「たまる手造り味噌」は、米・大豆ともに鳥取県産品を使用。こうじ作りから全てを手仕事にこだわっています。

「丸由百貨店の強い食品売場、特徴的な商品をお聞かせください。」

鳥のもの百貨

(安部さん)
「鳥のもの百貨」は、鳥取のこだわりの物産品を集めた売場です。おみやげのお菓子などの定番品から、まだまだ知られていない鳥取の魅力あふれる商品の中で自分でも食べたくなる、贈り物にしたくなるそんな「鳥のもの」を揃えています。「つながる、とっとり。」をコンセプトに生産者、お客様、そして贈り物を受け取る人すべてが鳥取でつながり、鳥取を好きになる。そんな人々が集まる場所を目指しています。

「ちむら(鳥取市)」は、1969年から当店に入る「とうふちくわ」専門店です。「とうふちくわ」は日本でここ鳥取だけの伝統食品です。鳥取県産大豆100%であり、豆腐と白身魚のすり身を細かく粉砕・練り合わせ、豆腐とすり身の比率はほぼ7:3、製造工程のほとんどは機械化されているが、練りだけは従業員が培った長年の勘だけを頼りに行っています。鮮度が勝負ですから、どうしても地元の自家需要向けです。知る人ぞ知るソウルフードです。低カロリー高たんぱくのヘルシー食品としても人気があります。

 鳥取市の老舗和菓子ブランドは、「亀甲や」と「京屋」を揃えています。「亀甲や」の「亀甲もなか」は、定番和菓子。鳥取市のソウルフードです。

 大山ブランド( 牛、鶏、豚)は、固定客がついています。大山牛は価格的には結構敷居が高いイメージを持たれていますが、20%オフの特売日には、「安く買えるんだね!」とのお声が聴こえてきます。また、大山牛の内臓をベトナム人留学生が好んで求められるのは一つの特徴です。

圧倒的な強さを誇るギフトブランド「大山ハム」

 百貨店と言えばギフト。ギフトと言えば当店では「大山ハム」です。「大山ハム」は中元・歳暮期いずれも全国ブランドのハムよりも売れるブランドです。ギフト選びに迷ったら「大山ハム」にされる傾向は年々増えてきています。
「ねばりっこ」は、「砂丘ながいも」と粘りの強い「いちょういも」を掛け合わせて誕生しました。鳥取県の園芸試験場で開発育成された新品種であり、鳥取県だけで生産される限定品です。県外から来られるお客様のギフトとして絶大の人気があります。11月から旬を迎えます。

「産学連携とSDGsの取組み」

(安部さん)
 2019年のリニューアルで、5階フロアに飲食店を2店新導入しました。そのひとつ、本格窯を使ったピザ店のKAENは、地産地消・国産国消を掲げ、鳥取大学と連携し、鳥取の桜から採取したラカンセアという天然酵母をピザ生地に使用しています。また、使用する野菜の90%は鳥取県産です。牛肉や鹿肉は全て鳥取県産を使用。規格外野菜も使用してフードロス削減にも貢献しています。また、クックチルシステム
※(真空加熱殺菌・急速冷凍)を活用しています。
※「クックチル」とは、加熱調理後90分以内に中心温度3℃以下まで急速冷却をして、0〜3℃で衛生的に保管しておき、食事を提供するタイミングで再加熱する調理法。保管しておける期間は、一次加熱をした日から提供する日を含めて5日間。

「地域の生産者の支援」

(安部さん)
「もったいない市」は、コロナ禍が始まった2年前から定期的に行っています。観光客激減により地元のみやげ物屋さんのお菓子が売れなくなり、その販売の手助けのために当店で毎回10ブランド程の割引セールを行ってきました。会場の地下食品フロアで文字通り「助けてください」のプラカードを掲げて販売します。

「5F・RFに市民参加型のトットリプレイスがあります。」

トットリプレイスの「展望テラス」

(広報担当営業企画課川本マネジャー)
 街に住む市民の高齢化、若者が進学・就職で街から離れていく中で、百貨店としても従来のスタイルを続けてはいけないと危機を感じていました。そこで2020年4月から2年がかりで「百貨店再生」をテーマに5階と屋上のリニューアルを行いました。これが丸由百貨店が運営する「TOTTORI PLAY,S(トットリプレイス)」です。百貨店の枠組みにとらわれず、市民が当事者になり、場づくりに参加できるフロアを目指しました。市民のハレの日だけではなく、日常に寄り添えることが大切だと考え、「消費者の立場から当事者の立場へ」というコンセプトのもと、起業支援などを含む運営コンセプトで鳥取市と手を組み、官民連携で市民の「やってみたい」(新規創業のきっかけ)を支えます。本来の売場であるべき場所を集いの場所にしているのは、大丸時代には無かったビジョンです。

①鳥取市との連携 =「輝なんせ鳥取」

「トットリプレイス」には、「輝なんせ鳥取」があります。( 「きなんせ」は鳥取地方の方言で、きてくださいの意。)「輝なんせ鳥取」は、鳥取市が運営する鳥取市男女共同参画センターです。各種啓発講座を実施しています。定借契約で誘致しました。(詳細は別表参照)

②市民参画により賑わいを創出する

「トットリプレイス」には、月単位で販売スペースを借りられるチャレンジショップの「プレイヤーズマーケット」、1日単位から自分だけの飲食店舗を運営できる「プレイヤーズダイニング」、1日単位から菓子製造ができる工房を借りることができる「プレイヤーズラボ」、料理教室など大勢が集まる場所として利用できる「プレイヤーズキッチン」があります。いずれも連日多くのご利用を頂いています。

(敬称略)

店舗データ

鳥取駅前から丸由百貨店と
バードハットを望む

①店舗名  丸由百貨店(まるゆうひゃっかてん)
②企業名 株式会社 丸由
②所在地 鳥取県鳥取市今町2-151
③アクセス JR山陰本線、因美線 鳥取駅下車
④沿革
 1937年12月:丸由百貨店を開業
 1949年12月:大丸と資本提携して㈱鳥取大丸を開業。
 2018年 9月:新旧分離を実施。新会社による運営開始。
        ※地元企業が100%出資する新鳥取大丸が発足
 2019年 9月:リニューアル第1弾(1F、4F)
 2020年 4月:リニューアル第2弾(5F、RF)
 2022年8月31日:「大丸」のライセンス契約満了に伴い、鳥取大丸としての通算約73年の歴史に幕を下ろす。
    9月1日:商号を株式会社丸由、屋号を丸由百貨店に変更。
    9月3日 :(新)丸由百貨店として開業。
⑤売上高(2021年) 39億2000万円
※丸由百貨店としての新年度は41.7億円の売上を目指す。
⑥売場面積・フロア  11,973 m²  B1F~5F
※周辺地域の人口:鳥取市 18.6万人、鳥取県54.4万人

中国地方の地方中枢都市である広島県広島市からは陸路では300 km離れているが、その一方
で、兵庫県神戸市から180 km、大阪府大阪市から190 km、京都府京都市から220 kmの距離に
位置している。山陰地方の中では特に京阪神地方との結び付きが強いことから、山陰地方にお
ける「東の玄関」となっている

鳥取市概要

 鳥取県の因幡地方にある。鳥取県の県庁所在地及び最大の都市で、中核市に指定されている。人口は約18.6万人。
 中国地方の地方中枢都市である広島市からは陸路では300 km離れているが、その一方で、神戸市から180 km、大阪市から190km、京都市から220 kmの距離に位置する。江戸時代は、国持の大大名池田氏の治める鳥取藩の城下町。
 山陰地方の中では特に京阪神地方との結び付きが強いことから、山陰地方における「東の玄関」となっている。
 山陰両県の都市圏では松江都市圏・米子都市圏が一番近い地域の都市圏である。観光地としては鳥取砂丘や白兎海岸など。