えきの駅 食文化探訪 第9回西武福井店(後編) 販売部食品課 村瀬淳課長インタビュー

「食に関する地元との連携についてご紹介ください。」

(村瀬課長)
 毎年恒例の食に関する物産催事(6階催事場にて)に福井県主催の「ふくいのとっておきフードフェア」と福井市主催の「おいしいふくい大博覧会」があります。それぞれ今年で5回目、9回目を迎えました。

 県や市隅々から、出品・出店者集めをしています。物産展会場では、作る側とご来店のお客様の熱気が物凄く感じられ、福井県民・市民の地元愛が強いことを物語っています。

 また、当社のショッピングサイト「eデパート」の中に2019年から始めた福井の名産品だけを集めたサイト「福井の口福」があります。約200種類を掲載しており、年々売り上げが右肩上がり。昨年度は5%の伸びを示しました。

 この夏に開始した新たなプロジェクトは、地元の小規模店にもスポットを当てるために、商工会議所とタッグを組む「食品トライアル販売コーナー」です。商工会議所まちづくり・産業振興課が発信し、商工会議所に登録している事業者に対し、販路拡大のために西武福井店での販売を希望する、福井県産品を活用した加工食品業者や、地元で親しまれる飲食店などの事業者を9月末日まで募集します。

 法令に則った食品表示面でのアドバイスや、小分けにして販売したほうがいい等の商品面でのアドバイスを経て地下1階食品エリアにて一週間程度のトライアル販売コーナーを設け、新商品のテストマーケティングや顧客獲得の場を提供します。

福井の食の魅力を伝える活動の一助に

「ふくいの恵み」のパンフレット表紙(提供福井市)

(村瀬課長)
 福井市では市内事業者の魅力ある農林水産品や加工食品を「ふくいの恵み」として認定し(これまでに116品目・54業者を認定)、市内外にPRすることで商品の認知度向上や販路の拡大を推進しています。

 福井市は、海、山、そして豊かな里地が広がり、バラエティーに富んだ良質な食材の宝庫となっています。「ふくいの恵み」は、これら地元の新鮮な食材や文化、歴史、伝統技術といった様々な地域資源を活用して製造された良質な農林水産品や加工食品が認定されています。

 本年の認定商品の審査会に私も審査員として参加させて頂き、事業者の方々とたくさん貴重なお話をすることができました。

 いずれは当店でも全てを取り扱いできればと思いますが、すでに実績のある特産品から、魅力の伝え方を模索されている物まで認定商品は多岐に渡ります。

 小売りに携わる者として少しでも福井産品の魅力を広く伝える活動をお手伝いできればと考えています。

「地元企業との連携についてお聞かせください。」
西武福井店レストラン街賑わい創出プロジェクト

(田中店長)
「地域の皆様が、福井の西武を大事に思ってくれています。福井駅前の発展なくして西武福井店の発展もありません。新幹線開業に向けての福井駅前西口の再開発中は、人の流れも弱まるため、県内企業と一緒になって、先ずは当店の成長領域の食である8階レストラン街も来場者を増やし盛り上げようとリニューアルを始めました。

 リニューアル前までのレストラン街の閉店は19時半で、お客様の残念がられる声が多く、夜のお客様が呼べませんでした。そこで、既存のお客様へのサービス向上と、新幹線開業に向けた今後の観光客の集客を目指し、閉店時間を22時閉店に延長しました。

 福井銀行の関連会社である福井キャピタル&コンサルティングが新レストランフロアのプランニングと地元企業とのビジネスマッチングの役割を担い、福井テレビはレストラン街と個々の出店テナントの情報発信としての役割を担い、駅前の賑わい創出にむけた協力関係を築きました。レストラン街のリニューアルは、地元企業の協力が基盤にあります。これは新たなビジネスモデルになっていると考えています。

(敬称略)

田中香苗店長インタビュー「福井のおもてなしを磨く。

田中店長は今年1月に福井市の「観光おもてなしスーパーマイスター」に認定されました。

(田中店長)
観光客を笑顔で迎え、「福井に来てよかった。」と思って頂ける様な心温まるおもてなしができる方を「観光おもてなしスーパーマイスター」として福井市が認定するものです。市にはスーパーマイスターを県内の各企業に派遣し、おもてなしの講義ができるくらいのレベルにしたいとの構想もあり、コロナ禍でまだ実現していませんが市の要請があれば講義に行く協力体制を組んでいます。

 2024年3月の北陸新幹線の敦賀駅延伸に伴う福井駅開業で観光客が増えますから、福井市は地域でのサービスレベルの向上を目指しています。当店としては百貨店の使命であるおもてなしやサービスレベルの向上が大事なので、案内所勤務のチーフもこのマイスターを取得しました。
また、社内にエンゲージメント向上委員会を発足し、新幹線福井駅開業に向けての店づくりを今後どの様にしていくかを熟慮しています。当店の従業員の多くは福井県民ですが、福井に住んでいても意外と福井の事を詳しくは知らない方もいます。ご来店客から「30分時間があるので、これからお勧めの観光名所に行きたい。」と尋ねられたら誰もが同じレベルで応えられる様にするために、新幹線開業までに食や観光名所のワンポイントアドバイスができるよう、現在あるマップなどを活かし作成していきたいと思います。

西武福井店の北側エリア・通称三角地帯の再開発事業が進んでいます。

(田中店長)
2024年春にこの再開発地区に28階建大規模マンションやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が竣工し、大勢の元気なシニア層を中心とした入居が予想されています。その方々が求められるものは何かを考えていかなければなりません。当店と至近距離であっても自宅に居ながら出来るアプリ決済や宅配サービスという新しいサービスも強化する必要があります。当店の新たなお客様になって頂くためにハウスカードにご入会頂き様々な情報を発信したい。マンション居住者とのイベント交流も視野に入れています。

福井駅西口には恐竜王国福井をPRする恐竜広場があります。

(田中店長)
福井県は2000年に福井県立恐竜博物館を勝山市に開館するなど恐竜を観光資源のメインとしています。福井駅西口駅前広場に設置されている恐竜の動くモニュメントは福井の撮影スポット10選として昼夜を問わず人で賑わっています。街を挙げてこの身近にある恐竜をうまく活かせば、観光客の行動範囲が駅前だけに終わらず、当店周辺の商業エリアにも伸びると考えられます。

今後の抱負をお聞かせください。             

(田中店長)
今後増える観光客のご利用も有難いですが、福井の既存のお客様に信頼される店づくりをこれからも本部と連携しながら続けてまいります。「うのはながき」のような新しい発見があるMD面の充実が集客に繋がります。また、百貨店が永続的に続くには次世代の顧客づくりが大事。20~30歳代の方々が百貨店離れしないためには、県外に行かなくても当店で楽しめる期間限定ポップアップショップ企画等に力を入れます。県外のお客様はレベルが高い接客を受けられています。それに対応できるおもてなしにより一層力を入れていきます。

今年9月に販売された諸国銘菓「うのはながき」の日替わりお取り寄せ商品

毎月作る店頭チラシ「諸国銘菓うのはながき 日替わりお取り寄せ」