激震消費税 – 6

平成15年 3月25日号(第2247号)

「デパートは消費税の関所」の役割を検証しよう

デパートを守る政治家は誰だ

 デパートが社会的に消費税の関所としての役割を果たしているということは、2/25号で詳しく説明した。消費税を消費者から預り国に納付する、重要な立場にあるということである。改めて具体的な数字をみてみよう。日本百貨店協会の加盟デパートの(平成13年度)総売上高は8兆5千7百億円。全小売業の6.6%にあたる(経済産業省平成12年度データ)。預る消費税の税額は4,285億円である。仮にその内の20%を差し引き国に納めるとした場合、857億円となる。預った消費税は全消費税収入約12兆円の3.6%にあたる。全収入これだけの強力な影響力をもつたった280の事業者が全国数百万の消費税の納税義務者の中に存在するわけだ。

 国としてもこの徴税機能を軽視はできない。いうなれば、あらゆる業種の企業をみた場合にも、まず優先的に存続させなければならない業種といえよう。そごう、そして西武などが経営危機を乗り越えて再生していくことが最も必要なのは行政自身なのである。もちろん経営危機のデパートが債務免除を受けて生き返り、健全なデパートを脅かすようでは建設業の二の舞である。

当然ながらそこには一定の線引きが必要である。ここで政治の役割が問われることになるわけだ。

 ところで、今後消費税の税率が上るということは、そのまま消費税収が一段と国として重要な財源になっていくことを意味する。デパートの存在価値は当然に高まっていくわけである。しかしながら消費税は「だまっていても国に納付されるもの」と行政側は考えており、企業の事務手続については軽視されているふしがある。現状、政治家の言葉からもそうした問題点を明確に指摘する声はほとんど聞こえない。もう少し現場の状況を勉強してほしいところである。経営トップは消費税を巡る今後の情勢を見極めてデパートの将来を考えてくれている政治家は誰なのかを注目していかなければならないだろう。

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