税と対峙する - 2
平成15年 5月20日号(第2250号)
外形標準課税の恐しさはここだ
所得10億円で数千万円規模の大増税
法人税は利益(所得)がでないと発生しない。
つまり儲からない企業はどんなに大きな企業でもこの税金は発生しないわけである。
長い間日本は高度経済成長に支えられこの大前提の上で儲かっている企業が税金を負担してきた。
しかしバブル崩壊後のこの10年長引く不況はそれでは税収はおぼつかなくなってしまった。
行政は消費税によって着々と税源確保を進めてきたのだが、それだけではとても税収不足は補えず、いよいよ赤字法人も含め大企業に対して一気に税収確保の措置をとってきた。
これが外形標準課税の導入であり、大規模な割りに所得の少ないデパート直撃の課税方式といってよい。とにかく法人の税負担を飛躍的に伸ばしてしまう制度である。前号でも実際に数字上の試算をしたが単純に所得の10%程度を占める危険性を持っている。
大企業でも年間所得10億円余りの所はいくらでもある。
今迄は法人税、事業税等合わせて税金は約4億5千万円つまり所得の約45%(平均的企業を元に試算)であった。
これがデパートのように人件費や家賃が多く、金利も負担している企業は五千万~1億つまり5~10%の税負担の上昇が見込れる。
手取り額としては実質10%~20%減となる極めて憂慮すべき事態といえる。
むろん赤字法人も課税は免れない。
今迄0であった税金が五千万円以上も急に発生するわけだからその金額はそのまま資金ショートにつながる。
本来多くの従業員を雇用することで社会的貢献をしているデパートの存在意義をまっこうから否定するようなこの課税は、10数年前に登場し、バブル崩壊ともに姿を消した地価税の再来のようでもある。
デパート業界は一致団結してこの税金と対峙していく必要があるだろう