激震消費税 – 5

平成15年3月5日号(第2246号)

デパートの常識プライスが変わる

粗利益死守に全社的意思を強固に

 デパートの商品の販売価格の値入の方法には長い伝統がある。とくにいつも顧客から支持されてきた一定の金額表示のやり方があり、19,800円や29,000円といった“大台”を少し切った金額は消費税導入後も消費税が外税であったことでそのまま生かされてきた。レジで消費税が加算され”大台”に乗ることは消費者の購買意欲にはそれほどマイナスには働かなかったのである。しかし、内税表示になると購入時点でなく、購入を決断する時にズバリ大台に乗った金額が表示される。19,800円の商品は税込20,790円になって目に飛びこんでくるのである。当然のことながらバイヤー(販売価格決定者)としては19,800円の価格は維持しつづけなければならないと考えるだろう。
つまり、同じ商品なのに、税込価格は据置きになってしまうわけである。

 当然、粗利益は減少する。或いはこんなケースもある。元々「~万円台」の商品を売る場合には、バイヤーは価格設定の際は、端数の出ない、いわゆるきれいな数字で販売価格を考えるはずである。本体に消費税を上乗せして端数がでればその分はカットするだろう。たとえば、消費税がついて税込価格が19,895円なら95円をカットして19,800円にするわけである。この点でも確実に粗利益が減少する要素が生れる。値入れの際のこのリスクに備える方法を徹底しておかないと粗利益率は必ず低下することになる。値入れの問題は、利益を計上する上で今後ますます重大な影響を与えることになるはずである。バイヤーにまかせるだけでなく、全社的方針をもって消費税内税表示に対する備えが必要となるだろう。

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