西武秋田店 即日お届け列車便「はこビュン」開始

新幹線での定期的な商品輸送を開始

リーシング本部フード担当 斎賀久輝さん

東京駅から西武秋田店まで約4時間でデパ地下グルメを輸送し販売

 そごう・西武はジェイアール東日本物流が提供する、即日お届け列車便「はこビュン」を活用し、秋田新幹線で西武秋田店へ東京などで製造されたお弁当や和菓子などのデパ地下グルメを輸送し販売を開始した。第一回目の5月21日(土)の商品輸送では8ブランド26種類を販売し、その内6ブランド23種類が秋田県で初の販売となった。
そごう・西武リーシング本部フード担当の斎賀久輝さんに詳細を伺った。

「先ず、この企画の主眼をお聞かせください。」

(斎賀さん)
 秋田新幹線での商品輸送は5月21日(土)が初回となりました。以降は毎週水・土曜日に実施します。不定期でのイベント的な利用ではなく、定期的に新幹線を輸送手段として活用することで環境にも配慮した商品輸送を持続的に実現致します。西武秋田店では今まで距離など立地上の問題もあり、東京などで製造されたお弁当や和菓子などの日持ちが短い商品を提供することが困難でした。

 今回、秋田新幹線を活用することで、なだ万厨房や叙々苑のお弁当の他、浅草草梅園の和菓子など、東京で人気のデパ地下グルメを初めて秋田のお客様へ提供することが可能になりました。今後は洋菓子の他、季節に合わせた商品を秋田新幹線での商品輸送でご提案してまいります。

「商品はどのような流れで西武秋田店へ納品されるのですか。」

(斎賀さん)
 運送会社が各取引先を廻る集荷便で東京駅に届ける手段と、取引先が直接東京駅に届ける手段があります。発車の一時間前までに東京駅構内の納品口に届けて頂きます。秋田新幹線の車内に商品を運び入れるのはジェイアール東日本物流です。発車から約4時間後に秋田駅構内の荷受所に到着した商品は、トラックにより300m先の西武秋田店に納品されます。

「この企画に至る経緯をお聞かせください。」

(斎賀さん)
 「はこビュン」はジェイアール東日本物流が企画した列車輸送サービスで、その需要はかなり高く、これまでは主に地方で採れた魚や野菜等の産品を東京に運んでいました。しかし、その逆ルートである東京から地方への輸送の機会はほとんどなく、その列車の荷室(にしつ)は比較的に空いていました。荷室は本来、車内販売用の商品を置く部屋ですが、駅ナカの充実もあり、在庫スペースが空いてきていました。

 ジェイアール東日本物流はその空きスペースを有効活用が出来ないかと考えたそうです。それを進めるに当たり、根本的な制約がありました。列車運行に影響が出る恐れがある途中停車駅での荷積み・荷降ろしは難しく、始発駅と終着駅のみでの荷積み・荷降ろしをする必要がありました。また、終着駅界隈に目ぼしい商業施設があることも絶対条件です。秋田駅はその条件に見合うJR東日本管内の数少ない駅のひとつであったことで西武秋田店に白羽の矢が立ち、今回の企画のお話しを頂いたのです。

「貴社としてもその打診を受けるメリットがあったのですね。」

(斎賀さん)
 東京・秋田間は600㎞余りの距離があり、これまでは日持ちのしない商品はトラックによる陸送は難しく、どうしても前に進まなかったプランでした。今回の輸送体制では今まで扱えなかったその日の内に食べなければならないお弁当などが、朝、新幹線に載せられて昼には売場に並べられるようになる。納品時間も確実でしかも輸送コストはトラックに比べて安い。是非それはやってみたいという事で実現しました。

 本来は、この企画をゴールデンウイークからスタートさせる予定でしたが、3月16日の宮城・福島での震度6強の地震発生による東北新幹線の運休、減便、徐行運転が解消されるまでは延期となっていました。仕切り直しのタイミングはJRと再三協議、確認して5月21日としました。

「秋田店では販売開始にあたりどのような事前の告知をされましたか。」

(斎賀さん)
 店頭でのチラシ配布と西武秋田店のHPでの告知を行いました。加えて、JR東日本秋田支社にご協力頂いて、秋田駅構内にJR東日本秋田支社作成の告知ポスターを掲載して頂きました。事前のアピールとしてとても効果がありました。

「5月21日を皮切りにこれまで3回の商品輸送・販売が行われました。(取材日:5月31日)3回の販売状況をお聞かせください。」

(斎賀さん)
 すべての商品が完売し滑り出しは好調です。2回目は僅か一時間で完売致しました。大きな反響があったと実感しているところです。11時半からの販売開始を待つお客様の列は認知も拡大したこともあり、日に日に長くなり、3回目は100名のお客様にお並び頂きました。お客様には、なだ万厨房、叙々苑の様な全国的に有名ブランドで、東京に行かないと買えない商品がとても喜ばれています。私は開催初日に商品と共に新幹線で秋田店に入り、店頭で秋田のお客様の多くのお声を伺いました。「これは東京で食べたことがある!」「これはおいしいのよ!」とのうれしいお声を頂きました。お客様は実によくブランドをご存じです。懐かしがって買って行かれるお客様もいらっしゃります。コロナ禍でなかなか東京に行けない方が多く、「もう一度食べたかったのよ!」とのお声もありました。和菓を目的に並ばれたお客様もいらっしゃいました。

「取扱い商品は、どのような過程で決められたのですか。」

(斎賀さん)
 本部同様に秋田店にも地元秋田出身者を含め食品担当のメンバーがおります。彼らから様々な意見を聴いた上で初回は、「本部ではこの様な商品が集められる。」と本部主導で行いました。

 毎回、同じ商品は飽きられますし開催を重ねることによってお客様のご意見が出てきますので、お客様のニーズを見極め、季節によって中身を変えながら色々な商品提案をしていきたいと考えています。既に、店舗からは今後取り扱いたい商品の要望があります。

「まだ、初段階ですが、今後の課題はありますか。」

(斎賀さん)
 課題といえば、やはり企画の鮮度を保つことです。この「はこビュン」という企画自体は素晴らしく、色々な可能性を秘めています。

 いかに新鮮な魅力ある商品を提案し続けていくかが、非常に難しいところです。

 現状、荷物のサイズや数量の制限や、早朝の納品時間の問題、常温商品のみの取扱い、など様々な制約があります。

 今後、JR東日本物流や取引先と共に協議をし、秋田のお客様に少しでも喜んでいただける商品を提案していきたいと思います。 

(敬称略)

西武秋田店 店舗データ

①開店:1984年4月
②所在地:秋田市中通2-6-1
③アクセス:JR奥羽本線(秋田新幹線)秋田駅下車徒歩3分
      ※秋田新幹線 東京・秋田間662㎞ (約4時間)
④フロア構成:地下1階、1階、2階
⑤秋田市人口:30.4万人

輸送・販売の概要

①会期:毎週水・土曜日開催
②輸送体制 <5月21日(土)の場合>
 ・こまち1号 6時32分東京駅発、10時24分秋田駅着
 ・こまち5号 7時32分東京駅発、11時25分秋田駅着
 ・こまち11号 9時8分東京駅発、13時02分秋田駅着
③販売会場:西武秋田店 地下1階・食品売場 特設会場 11時30分より順次販売開始
④販売商品:8ブランド26種類(6ブランド23種類の商品が秋田県初の販売)
 お弁当(なだ万厨房、日本橋弁松総本店、とんかつ まい泉、刷毛じょうゆ 海苔弁山登り、叙々苑、古市庵)
 和菓子(浅草梅園、祇をん ににぎ)