税と対峙する – 20

平成16年3月20日号(第2269号)

行政、マスコミは消費税率上げの前に財政のディスクロージャーを国民にきちんと行なえ!
大本営発表の「景気回復↓増税」の路線を許すな

 消費税負担が今後増えることは共通認識となってきている。行政とマスコミが結託した産物であると思われるが、弊紙もその一担にかかわっていることを鑑みると極めて遺憾である。

 無駄な財政支出について、国民へのディスクロージャーと今後の改革の見通しが全く明確化されない状態で、「将来の日本のために消費税による税収確保は不可欠であり、それが国民のためになる」という理論は冷静に考えれば極めて虫のよい話である。国民への財政のディスクロージャーは複雑であるからできないというならばこれこそ役人の怠慢であろう。

 前号でも具体的に論述したように消費税率が10%になれば税負担は4人家族の世帯で100万円に届こうかという事態になり得る。

 こうした危険な状態を多くのマスコミ等は放置したまま、その流れの大きな第一歩となる消費税総額表示の義務化が4月からスタートしようとしている。

 すでにデパートの売り場では総額表示プライスを商品に付けた形での販売を行なっている。今後、消費税率の切り上げがおこればデパートの本体価格の値下げ圧力になる総額表示は、非常にリスクがある。本体価格の明示を続けるための主張を強めることが大切である。

 ところで経済状況を示す各種指標や表現は最近過剰に高い数値が報告されている感がある。

 これは、過去に消費税が5%に上がった時の動きと酷似している。景気が良くなったから増税するのでなく、増税するために景気が良いと吹聴されている嫌いもある。大多数の国民の生活実感とは程遠い話である。

 今後デパートは、最前線の消費者への対応について一層の繊細さが必要とされよう。消費者対デパートという対立軸は絶対に避けなければならないところである。