税と対峙する – 19

平成16年3月05日号(第2268号)

消費税率アップは家計の所得を破壊する
一家で年間100万円の消費税負担が見えてきた

 消費税率をあげようとする動きは着々と進行している。平成18年までに明確な骨子をつくり上げ、平成19年には法案実施の方向である。

 消費税は1%で年間約2兆4千億円の税収となる。仮に国民の内、幼児・赤ん坊を除き消費者が1億人とみると一人当りの負担額は2万4000円だ。仮に税率が10%になれば2万4千円×10=24万円。一人当りの年間の負担額は24万円となる。一家4人の核家族でみると24万円×4=96万円だ。たとえばその家族の主人の年収が400万円とした場合、約25%、500万円とした場合約20%が消費税負担として徴収されることとなる。もちろん消費税10%を支払うためには1000万円の消費が必要であり、年収4?500万円では、そのための資金繰りがつかないのが普通であるからこうした形にそのまま陥ることはほとんどないかもしれない。しかしながら500万円の収入でいつも消費が必ず賄なえるわけでもなく、やはり必要不可欠な消費のためには他人から借りたり、貯金を取り崩して消費をするはずである。だからこそ1%で2兆4千億円もの税収が実際に起きているわけである。結果的には年収500万円の世帯でも家計においてはそれ以上の消費をすることは十分起こり得ることであり、仮に年間消費額を600万円とみた場合、消費税が10%になると60万円の税負担となる。これは年収ベースでの負担率で12%となり、年収500万円の人の所得税・住民税及び社会保険料等の負担額の合計とほぼ同額となる。つまり年収500万円のうち、約4分の1の125万円は公的負担となって消えてしまうのである。こうした事態が毎年起これば当然ながらやりくりでどうにか減らせる消費を削ることはまちがいないところだろう。

 事態は刻々と深刻な状況になっている。「税率アップは必ず消費を減退させることになる。」これを決して忘れまい。